第39話 リブランディング
仮想通貨の中には時折、そのコインの名前を変えるものがある。
ダークコインという名前だった「ダッシュ」もそうである。
運営サイドと企業が業務提携したり方向性を変えることでリブランディングがあるようだ。
たかが名前が変わるだけじゃん・・・ふつうはそう思う。
しかし、その名前の変更の時点で水面下では運営サイドと企業は既に動いているのだ。
リブランディングするコインは紛れもなく将来が有望なコインとなる。
数十倍~数百倍の価格に高騰する。
ミナトはネオやダッシュを調べているときにこのことに気づいた。
これからリブランディングするコインがあるとすればそれは「買い一択」だ。
名前が変更されるという時点ではまだ価格は安い。しかし、みんながどうしてそれをやったのかを知ると価格は高騰する。
確か2017年の始め頃にダッシュが登場したときは2万円前後だった・・・。
今や10万円を超えるメジャーコインになりつつある。
海外の無名コインの中にもきっといつか企業との業務提携によって方向性が定まるコインが登場するはずだ。
ミナトの心は高鳴った。
今日はヒナちゃんとデートだ♪準備しよう。
2018年2月が過ぎてコインチェックのNEM流出事件は落ち着きをみせた。
もしコインチェックが経営破綻したり業務停止となればミナトの資産のうち100万円ほどが消えてしまうことになっていた。
ミナトにとってその100万円が消えるというのはとくに問題ではなかった。なぜなら自宅のパソコンの短期トレード、AIトレードで日々数千円の利益を得ていることもあって彼の心は動揺すらすることがなかった。
さらにマイニング事業への投資は200万円以上あり、海外の取引所には200万円近くが入っている。
ミナトも自分の資産がどれぐらい増えているのかわからなくなるほど、どんどん資産が増えていた。
ミナトは年末年始のマルイの通販のバーゲンセールで買ったジャケットを着て、TAKEO KIKUCHIのグレーのチェック柄の四角い形をしたバッグを背負った。
靴はスエードのキャラメル色をしたブーツを履くことにした。
中学生になったミナトはオシャレに目覚めた。これはユメリちゃんの影響である。
ちょくちょく彼女とデートしたりプレゼントする服をお店で見ているうちにミナト自身の服のセンスも磨かれていった。
服装や髪型を少しずつではあるが流行りに合わせていくようになったミナトは出かけるのが楽しくなっていた。
街に出てオシャレな人を観察するようになり、街ですれ違う人に「あの子の来ている服いいなぁ」と言われることがある。
純粋にオシャレを楽しむミナトであった。
ヒナちゃんの家に着くとヒナちゃんのお母さんが玄関に出迎えてくれた。
ヒナちゃんのママ「あらぁイイ男になってきたじゃない♪ほらあがって♪」
ミナト「ありがとうございます。おじゃましまーす♪」
リビィングでヒナちゃんがモンブランを用意してコーヒーを入れてくれた。
ミナト「ヒナちゃん、やぁ♪」
ヒナちゃん「ミナトくん、やぁ♪」
ヒナちゃんのパパ「ミナトくん、やぁ♪」
ミナト「あ・・・どーも、こんにちは」(汗)
ヒナちゃんのパパ「アハハッごめん、ごめん、戸惑っちゃったね」
ミナト「パパさん珍しいですね、今日は在宅ですかぁ?」
ヒナちゃんのパパ「学校の休日の部活は昼までだったからね。早く帰って来れたよ」
ミナト「ああ、そうだったんですね!最近、仮想通貨で何か良い情報ありましたか?」
ヒナちゃんのパパ「あっ!そうだった。それも言おうと思ったんだ。今年Liskがリブランディングするらしいよ」
ミナト「えっ!?本当ですか?」
ヒナちゃんのパパ「情報通に聞いたから間違いないよ。本当は同じ学校で働いてる同僚だったんだけど・・・・億り人になっちゃったよ」(苦笑)
ミナト「おお!億り人ーーー」
ヒナちゃん「すごいよねー!仮想通貨に投資して億り人になったら、その先生は学校辞めちゃったんだってw」
ヒナちゃんのパパ「今でもちょくちょくラインで情報もらってるんだけどね。そいつが今年Liskがリブランディングするから買っとけって教えてくれたんだ」
ミナト「おお!それは凄い情報ですね!リブランディングするなら何かとても大きな情報があると思います。僕も買います」
ヒナちゃん「リブランディングって何?」
ミナト「コインの名前が変わるんだ。そのコインを運営している人たちと企業だったり仮想通貨のプログラマーのスゴイ人が加わって、共同開発があったりするんだよ」
ヒナちゃん「へぇーーーすごーい」
ヒナちゃんのパパ「へぇーすごーい。そういうことだったんだね」
ミナト「パパさんも知らなかったんですね」(汗)
ミナトは2018年の2月にLiskがリブランディングするという情報から他にもたくさんの情報をかき集めて今年、予定されているイベントを時系列に並べてみた。
ミナト「Liskを中心にこんなスゴイことになっていたんだ・・・」
今までクリプトカレンシーボーイと囁かれるほどの投資の天才ミナトであっても絶句するほどの情報がそこには在った。
さっそくジンさんや投資仲間にも情報を共有することにした。
それとは別に2018年1月にも今年一年を左右するほどの情報を得ているミナトであった。
いろんな点が重なって線になってゆく。一つのコインだけじゃなくいくつかのコインが同じ線上に重なっている場合もあることをミナトは理解した。
海外にもたくさん未知の可能性を秘めたコインは存在する。
去年1万円を海外の草コインと呼ばれる買うだけでも笑われそうなコインに投資した人が5憶円を手にしたニュースがあった。
仮想通貨には夢がある。
ミナトたちが買っているのはコインではなく「夢」と「未来」なのかもしれない。
2018年、なぜかミナトは意気揚々としていた。自信満々である。
今年は何かスゴイことが起きる!そのスゴイことは既に僕が持っているコインの中から起きるのかもしれない。
学校の勉強では得られない高揚感と充実した日々。
ミナトにとって仮想通貨への投資はなくてはならないものへ変わっていたのだった。
世界が同時に同じ方向へ動く、シフトチェンジする・・・・。
こんなことが今まであっただろうか?
国々は資源を得るために戦争していがみ合っていた時代がある。力こそがすべて・・・そんな時代である。
そこから終戦を迎えて各国が復興することに忙しくなった。
世界では戦争が過去のものになりつつあり、インターネットの普及とともにグローバルな社会になりつつある。
そして、仮想通貨や仮想世界が世に広がりつつあった。
仮想通貨が世界に普及するためには取引所がなくてはならない存在だ。その取引所は世界中で”同時に”どんどん開設されている。
そして、仮想通貨はいろんな国で売買され、インフラ整備は整いつつある。
決済に使えるコイン、売買益が得られるコイン、世界中どこでも送金できるコイン。
便利な世の中になるためには世界中の国々が協力する必要がある。
法定通貨が過去のものになり携帯やカードで支払うのが当たり前の時代が来るのかもしれない。
ミナトが大人になって社会人になるころには現金で支払うことがなくなっている可能性がある。
今、販売されているコインがアップデートを繰り返しているのも新しい技術が導入されていくのもコインの名前が変わって企業とのタイアップが実現されていくのも必然だったと気づく日が来るのかもしれない。
ミナトはその第一線でトレードをする天才の少年トレーダーである。
彼が大人になってから”そんな少年がいた”と都市伝説になっていた。
今は現在も投資を続けるクリプトカレンシーボーイだが仮想通貨への投資を引退するのもそう遠い未来ではなさそうだ。
あり余るお金と社会貢献。きっとこれがミナトの未来である。
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