第29話 チャンスは一度きりではない
ミナトは机に向かって可能性について考えていた。
すでにビットコインは1BTCが200万円を超えてしまった。
ミナトの資産はとうとう300万円に達した。
彼は可能性について考え、自分の至らなさに改めて気づくのだった。
ビットコインが誕生したとき、1万円をビットコインに投資していたら今いくらになっているだろうか?
1BTCが1円のときがあった。そのとき、もしミナトではなくても両親あるいは親族が1万円投資していたら・・・・?
今頃、200億円になっていたであろう。
ミナトはこれを考えると頭を抱え込んで心の底から「ああー・・・・」と絶望の声をあげ悶絶したくなる。
確かにビットコインが誕生したときはTVで言われていた反応は「胡散臭い」「おもちゃ」「詐欺」など散々だった。
国民はTVの影響を強く受ける。専門家、評論家がそういったことを言えば・・・、あるいは好きなタレントがそんなネガティブな発言をすれば誰も買わないだろう・・・。
それにそのときは取引所すら整備されていなかった。今のように国の許可がいるような状態でもなかった。
そう、誰もビットコインが1BTCが200万円を超えるなんて想像もしていなかったのだ。
同じような事例は株式でも腐るほどある。
任天堂が花札を売るのをやめてファミリーコンピューターと名付けられたゲーム機を販売したとき、100万円分を任天堂の株に投資していたら今いくらになっていただろうか?
2億~3億円を手にすることになっていた。
代表的な会社、新しいビジネスで大きく成長した会社を見て、みんなは頭を抱えてミナトと同じように叫んだはずだ。
「ああ・・・・・」絶望の叫びが聞こえる。
時間は元に戻らない。
ただチャンスというのは一度きりではない。
今までチャンスがあったように、これからもチャンスはある。
人々がいうチャンスの正体は「経済の波」のことである。
この経済の波に訳もわからずに小学生だったミナトは乗ったのだ。
ビットコインや他のコインの上昇するタイミングに見事にミナトは乗っていた。だから、10万円を300万円まで増やすことができた。
ビットコインだけではなく他のコインへの投資も功を奏した。
そう考えるとチャンスは一度きりではなく何度も訪れていることがわかる。
その訪れるチャンスにうまく乗ることができればお金持ちになれるのだ。
時代が変わっていくことに気づき、今から必要なものを見る目があればお金はいくらでも稼げるということになる。
国も性別も学歴も問わず、時間だけは万物に平等なのだ。
チャンスは一度きりではない。
ビットコイン以外のアルトコインにも投資していたのでミナトの資産は好調ではあるが米国では16才の少年がビットコインへ2年間投資してすでにミリオネアになったというニュースがある。
ミナトからすればあと3年ほど時間があるが果たして自分が16才にしてミリオネアになれるだろうか・・・?
まだ2017年だ。来年、2018年さらなる飛躍の年としよう・・・・ミナトは来年さらに投資をがんばろうと誓うのだった。
頭の中が整理できて落ち着きを取り戻したミナトであった。
机の前でパソコンのモニターを見ながら深く考えていたが、ふと我に返った。そのときミナトのスマートフォンに着信があった。
美術部顧問の秋山先生だ。ミナトはすぐに電話に出た。
秋山先生「ミナト君!ビットコイン以外のコインがかなり上がって来てるよ!見てる?」
ミナト「ええ、知っています。ネムやライトコインが上がっていますね。イーサリアムも順調です」
秋山先生「ミナト君に教えてもらったコイン全部、買ってたんだけど利益すごいんだけど・・・♪ほんとにありがとー♪これからもよろしくね!」
ミナト「先生よかったですね!これからもどんどん投資してお金持ちになりましょう!」
秋山先生「アハハッ!頼もしいわ。じゃあね!」
先生との通話はそれだけだった。
2018年の各コインの指標が仮想通貨のサイトに載っていた。
それによるとほとんどのコインが倍の価格になっている・・・。
ミナトはツバを飲み込んだ。
きっと2年後なら・・・。もしかしたらミナトはミリオネアになれるかもしれないと可能性を見出した。
ミナトは大きく目を見開いて
一歩ずつ確実に進めばいい。焦らず落ち着いていくんだ。そう自分に言い聞かせている。
木を見て森を見ず・・・にならないようにしよう。
今はビットコインが主役だがこれからは他のコインが主役になるかもしれない。
とくにイーサリアムは主役に
そうだ・・・・。イーサリアムとリスクは将来、活躍の場を広げているはずだ。
これらのコインを買っていこう。
ビットコインは確かに2020年の東京五輪オリンピックまで上昇を繰り返すであろう。しかし、ビットコインは一番最初にできたコインということで人気と知名度があるが、もし多くの人が仮想通貨を知ることになり、さらに投資するようになれば・・・。
きっとこの数百万円のビットコインではなく、イーサリアムやリスクを買うのではないか?
ライトコインや他の安いコインを決済に導入する店舗もあるはずだ・・・。
この年末に机の前で2年後の未来を想像して震えるミナトだったが自分の両親やヒナちゃんのお父さん、タケルくんのお父さんのジンさんとも2020年にはどうなっているかという話をしていた。
あくまで可能性、あくまで指標ではあるが仮想通貨の未来は明るい。
法整備が進んだことと世界で同時に仮想通貨に対する関心が高まっているのは確かだ。
2018年からビットコインは人工衛星を使って送金が可能になる。
今までの国際送金のシステムを
ビットコインが可能となればいずれ・・・・イーサリアムやライトコインも可能になるはずだ。
ミナトが考える可能性は「仮想通貨の王様」ではなく、その二番手に位置するコインや時価総額が10位以内に入っているコインへの想いだった。
ここが彼にとって”ターニングポイント”になっているのはいうまでもない。
そう、彼こそがクリプトカレンシーボーイと呼ばれるに相応しい資質を持った投資家なのだ。
大人たちも想像できない未来を夢見る少年は目に見えない仮想通貨を手に取るように見ているのだ。
2年後・・・・、4年後・・・・。
彼の資産は2桁以上、上がることになる。
子供たちが学生時代を経て「さぁ今から働くぞ」と労働するころには既にミナトはミリオネアなのだ。
今、このタイミングでアルトコインに意識を向けていなければ、ビットコインこそがすべてと考えていたとしたら・・・・。
彼はミリオネアにはなっていなかった。
チャンスは一度きりではない。これからもずっといろんなものにチャンスは訪れる。
ただ人々の目には見えない形で訪れることが多いのだ。
「これをチャンスだ」とはっきり意識できる人間は100人に一人、1000人に一人のレベルなのだ。
ミナトの周りの大人たちはミナトの方針に従って仮想通貨を買い、すでに数千万円の利益を得ているが”彼には頭が上がらなかった”。
自分たちの意思で買ったというよりは”ミナトの意見に従って利益が出た”だけなのだ。
ただこのミナトの周りにいる大人たちが素晴らしいのは”相手は子供だから言いくるめよう”という考えや”騙そう”とはせず、自分たちが利益を出せたのはミナトのおかげだと伝えていることだった。
そうしなければとっくに信頼関係は崩壊していたはずだ。
ミナトが中学1年生の年末を迎えても平和に楽しく過ごせるのは周りの大人たちが彼に配慮しているからだといえよう。
こういった素晴らしい大人がいてくれるからミナトは投資に集中できる環境にある。
もし子供のものを何でも大人が勝手に介入して、めちゃくちゃにしていたら、社会から外れた生き方になっていたのだ。
”自分たちの子供だから”とか”まだ未成年だから”という大人の勝手な考えは多くの子供の心を犠牲にしている。
それに気づかない大人のほうが多く、自分たちは正しいことをやっているつもりである。
実際は「
理解力がある親、子供が育つ環境に配慮できる親というのは、仮に投資の才能がなくても素晴らしいのである。
その尊い考えこそがミナトのような少年に投資する機会を与えている。
そう、小学6年生で仮想通貨を買いたいと言ったあの時さえも普通の親なら「ダメだ」で終わった話である。
ミナトと両親は気づかないうちに”普通の家族”が乗り越えられないハードルをいくつも乗り越えているのだった。
こうやって乗り越えられるのは”親の愛情”に他ならない。
2017年の年末、最後の日をミナトは両親と共にこたつに入って過ごすのだった。
とても幸せな伝説の少年である。
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