第7話 周期的な進化

タケル君のお父さんと話しているときにミナトは面白い話を聞くことができた。それはミナトにとってとても重要かつ実に興味深い話であった。

タケル君の家に呼ばれて一緒に鍋を食べているとき、タケル君のお父さんがパソコンの話を始めた。


タケル君のお父さん「ミナト君、ノートパソコンの調子はどうだい?」

ミナト「調子いいですよ。詳しくわからないですが今のところ問題なく動いてます」


タケル君のお父さん「そうか、それはよかった。昔のパソコンだったらよくフリーズしたりエラーがあったんだよ。今のパソコンはそういうのがなくなってきてるからね」

ミナト「そうなんですかぁ。昔のパソコンってどうしてそんなことになってたんですか?」


タケル君のお父さん「パソコンの容量不足が主な原因だよ。CPU,メモリー,ハードディスクのそのどれもが今のパソコンの能力の3分の1にも満たなかったのさ」

ミナト「そうなんですね。CPUやメモリーの容量も昔に比べてアップしてるんですね。どうりでサクサク動くと思った」


タケル君のお父さん「CPUは容量がアップしたのと機能が追加されてよくなったね。メモリーも大幅に改善されているんだよ」


タケル君のお父さん「それはパソコンだけではなくあらゆる電子機器、電化製品がよくなっているんだ。そういった電子機器の進化は2年周期だと言われている」

ミナト「2年周期?2年経ったら新しい電子機器が誕生するんですか?」


タケル君のお父さん「だいたい2年だね。昔、こういった電子機器の進化を予言した人がいるんだ。その人の名前にちなんでムーアの法則と呼ばれているよ」

ミナト「ムーアの法則・・・・。覚えておきます」


タケル君のお父さん「もしかしたら仮想通貨もムーアの法則が当てはまるかもしれないね」

ミナト「えっ?仮想通貨もですか?」


タケル君のお父さん「そうだよ。仮想通貨はプログラムでできているからね。OSだってバージョンアップを重ねてどんどんよくなってきたんだ。仮想通貨もハードフォーク(アップデート)したり周辺機器が進化するはずだよ」

ミナト「そうなると・・・・どうなるんですか?」


タケル君のお父さん「そうなると・・・・さぁどうなるかな?もしかしたらビットコインは今の価格よりさらに上がっていくんじゃないかな?」

ミナト「それは楽しみですね」


携帯が折り畳みのガラケーと呼ばれているものからスマートフォン・タッチパネルの携帯に変わったように仮想通貨も年々進化するというのは嬉しい話だった。

ブラウン管のテレビから液晶テレビになったり有機ELのテレビになったり・・・どんどんテレビは薄くて大きな画面になり画質は良くなってきている。


確かに2年周期で進化するというのはパソコンだけではないなぁ。

携帯や電子レンジ、冷蔵庫もそういう風にどんどん進化しているんだ。


「これからのパソコンの進化に期待して待っていよう」とミナトは思った。

もし仮想通貨が進化するなら一体どういう進化だろうか?

想像もつかないような進化をするかもしれない。

ビットコインがお店で決済ができるようにどんどん導入する店舗が増えるとか、ATMのような機械で携帯に入金できるとか・・・あり得なくはない。

携帯や時計、カードにビットコインをチャージできるようになれば確かにお金は持ち歩かなくてよくなる。


それには一体どれぐらいの時間がかかるんだろう・・・・。

もしかしたら今、保有している仮想通貨はこれからもっと高くなるのかもしれない。

2年周期の進化だったらけっこう時間がある。その間にマイニングで保有するコインの数をできるだけ増やそう。

僕が大人になるころにはきっと大きな資産になっているはずだ。


タケル君のお父さんはプログラマーなのでいろんな知識を持っていた。

ミナト「ビットコインや他の仮想通貨って電子マネーとどう違うんですか?」


タケル君のお父さん「いいところに気がついたね。電子マネーっていうのは価格が変わらないんだ。使ったら使った分だけ減るし増えない」


タケル君のお父さん「ビットコインは金や銀と同じように投資する人たちが売買するから価格が変わるんだ。でも、同じデジタルで表示されるだけの数字だから違いがわかりにくいよね?」

ミナト「そうですね。表示された数字だけ見れば同じようなものに感じます」


タケル君のお父さん「でも、電子マネーで取引所から取引所に送金したり受け取ったりはできないだろ?」

ミナト「ああ、確かに。それは電子マネーではできないですね」


タケル君のお父さん「ビットコインなどの仮想通貨はそれが強みでもある」

ミナト「強みですか?」


タケル君のお父さん「取引所から取引所に送金したり、取引所で換金したり、受け取ることができるのはセキュリティが保たれているっていうことでもある。単純なプログラムではそんなことはできない。複雑なんだよ、仮想通貨は」

ミナト「なるほどです。そういう風にパソコンを使ってネット上でやり取りできるっていうことが凄いんですね」


タケル君のお父さん「そうだよ。みんなが認識できてパソコンやネット上で存在しているからね」

ミナト「実態はないけど存在している・・・・。凄いプログラムなんですね」


タケル君のお父さん「ネット環境さえあればどこにでも送金や受け取りができるっていう利便性も兼ね備えているんだ。つまりお金以上の価値があるコインということになる」

ミナト「お金以上の価値?」


タケル君のお父さん「日本で使う紙幣、海外で使われている紙幣とも違うからね。紙幣はお金としての価値しか持たない。銀行から銀行へ送金したり受け取るのは手数料が高いし時間がかかる。仮想通貨だったら数分で世界中どこへでも送金できてしまうんだ」

ミナト「それは凄いですね。確かに送金の早さには驚かされます。ネット環境があれば確かに仮想通貨っていうのは便利なものですね」


タケル君のお父さん「そうだよ。お金や貴金属とは違うんだ。国が扱う通貨を法定通貨っていうんだけど仮想通貨は法定通貨じゃないからね。何かと便利に使えるようになるさ。国が扱う法定通貨は政治次第では価値がなくなることもある。でも、ビットコインなどの仮想通貨には影響がない。そういうメリットもあるんだよ」

ミナト「なるほどです。勉強になります」


タケル君「なんかこれからどんどん仮想通貨の人気が出そうだね」

ミナト「うん、楽しみだよ」


ミナトは家に帰るとパソコンを開いて仮想通貨の情報サイトを見た。

そこには「ビットコイン人工衛星で送金テスト稼働」とあった。

ミナト「これは・・・・!?」

人工衛星でビットコインを送金できるようになる・・・?

ネットではなく携帯だけで送金や受け取りができるようになるのだろうか?

そのニュースの内容では、これからビットコインは人工衛星を使った送金や受け取りができるようになり、ネット環境がない国でも取り扱いが可能になるとあった。

この地球でネット環境を持たない人たちの人口は約20億人らしい。


それがビットコインの売買を始めたら・・・・。

ミナトは大きな希望に胸が高鳴った。

地球にいるみんなが仮想通貨を買う。ビットコインを使い始める。

まるで映画のようだ。洋画で見るSF映画ではそういう設定がありそうだがこれは実際に現実として起きていることなんだ。

なんだかミナトは夢を見ているようなフワフワした気持ちになった。

人気のアニメキャラがいつでもどこでも便利なアイテムを出してくれるようなそんな夢の世界に入ったような気分だった。


僕が大人になるころには一体どうなってるんだ・・・・。

未来を想像すると背中がゾクゾクして武者震いした。


これから凄いことになる。今も既に凄いことになってるけど・・・。

ミナト「待てよ・・・・。ビットコインが人工衛星ならパソコンはなんだ?」

今から数年後に起きる2年周期の進化「ムーアの法則」が起きるとしたら次のパソコンの進化は一体なんだろう?


どちらも同時進行で進化する。そのどちらもミナトにとって大切なことだった。

ますますミナトは仮想通貨に興味を持ち、のめり込んでいくのであった。

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