第16話 インフラ整備
世界では徐々に仮想通貨の取引所が増えている。
取引所だけではなくイベントも多い。コンセンサス2017が開催されて各々がこれから展開する課題を発表するのだ。それぞれのコインの特性を生かした進展が期待される。
世界が同時に仮想通貨に注目しつつある。仮想通貨のインフラ整備はまだ始まったばかりだ。
今年の年末には人工衛星によるビットコインの送金が始まるという話がある。これにはネット環境がない約20億人の人が仮想通貨の売買を始められる可能性があり、僕はとても期待している。
携帯だけではなく車でも仮想通貨の送金や受け取りが可能になるかもしれない。
カーナビは人工衛星を使って現在地を受信するシステムだ。人工衛星が受信できるものがあれば仮想通貨も送金ができるということになる。
きっとビットコインは車でもどこでもインターネットがなくても送金や受け取りができるようになるに違いない。
仮想通貨の情報サイトではドバイで空飛ぶドローンタクシーがデビューしそうな話があったし、仮想通貨の話題は普段の日常からやや飛躍したテクノロジーのように感じる。
きっとこれからは当たり前になるのだろう・・・。
今は最先端の技術として話題になっているがいつか当たり前になる日が来るはずだ。
これらの情報と並行してパソコンもどんどん進化しつつあるという。今までのパソコンはCPUが主体だったがGPU・グラフィックボード(?)の進化が著しく、これからはAI(人工知能)が搭載されてCPU+GPUをうまく使いこなしてくれるパソコンが登場しそうだ。
タケル君のお父さんがこの話をいち早く僕に教えてくれた。
ドイツでは既にAI搭載のパソコンが販売されているという。いずれ他の国でも他のメーカーでも同じようにAI搭載のハイスペックのパソコンが売り出されていくだろう。
そのとき僕はそのパソコンを購入してみたい。きっと投資に役立つはずだ。
タケル君のお父さんから譲り受けたこのノートパソコンも十分機能しているがこれからあらゆるテクノロジーが繋がってゆくのがわかる。だから、僕もそれに順応したい。
ミナトは仮想通貨の投資に真摯に向き合っていた。
小学生のときに始めた投資は、中学生になった今も好きなままだ。
きっとこのまま大人になってゆくだろう。
中学校では自分が投資家というのがバレたくないので「投資なんて全然わからないよ」という素振りを見せているが同じクラスになったメイちゃんと目が合うとちょっとドキッとする。
いつかバレるんじゃないか・・・という気持ちがある。
既にユメリちゃんには投資家ということも彼女がいるということもあっさりバレたが彼女は秘密を守ってくれている。
ブログのほうでは投資仲間が少しできた。この投資仲間とはライングループで繋がっている。情報交換が主なチャット内容だ。
彼らから良い情報をもらうときもある。ほとんどは僕から情報を発信しているが・・・。
今日の放課後はとくに予定がないので美術部へ顔を出した。ヒナちゃんも一緒だ。
彼女と一緒だからそのまま帰宅してもいいのだが僕も彼女も美術部に行くのが楽しみになっていた。
上下関係もほとんどないし女の先輩たちは優しい。男の先輩は物静かな人が3人だ。
美術部の秋山先生は女の先輩たちから「ミカポン」とか「ミカタン」と呼ばれている。まだ23 才なので生徒と歳が近くて話しやすい。
なんかパッと見た感じが大学生っぽいなぁと思ったけど新任教師だったんだね・・・・どうりで。
口調もおっとりしててあんまり怒りそうにない。ふわっとした感じがいつもしている。服装もお嬢さんって感じがするもんね。
口調や見た目でいえばユメリちゃんのほうがお姉さんっぽい・・・・。
もちろん行動も・・・。
僕が食べようとしたチーズケーキを・・・・。
ユメリちゃんは僕のフォークを持った右手を両手で包み込むように掴んで自分の口に持っていったんだ・・・。
なかなかそんな女いないよなぁ。全校生徒に自慢したいぐらいだ。
それも自然な動きで色っぽかった。奪い取られた感覚はまったくない。
なんならそのまま時間が止まってくれたらよかったのに・・・と思うほどだ。
いつかヒナちゃんもあんな色っぽさを手に入れるのだろうか・・・・。
大人になってもヒナちゃんはヒナちゃんのママのように笑顔で家庭的な人になってるような気がする。
今は部活中だ。こうやって絵を描くことに集中していると頭の中がどんどん真っ白になってゆく。一つのことに集中するって楽しいなぁ。
帰る頃には頭の中でグルグル回っていた想いや考えがリセットされている。
「あれ?なんだったっけ?」と思い出すことができないほどだ。
それでいい。余計な悩みや煩悩など消し飛べばいい。
帰り道、ゴールデンウィークのときに旅行に行った「USJ楽しかったね」とヒナちゃんと話していた。
二人とも洋画が好きだし乗り物も大好きだった。記念写真もUSJのスタッフに撮ってもらった。人気キャラのグッズが販売している店も全部まわった。
東京からだと大阪まで新幹線でけっこう時間がかかるが二人でべったりくっついて席に座っていたので、なんだかその移動する時間さえも楽しかった。
帰りは二人とも遊び疲れてぐったりして寝ていた。気づいたら東京だった。
ゴールデンウィークが明けてからしばらく経った。
次の休みの日はヒナちゃん家に僕とヒマリちゃんが遊びに行く予定だ。
ヒナちゃんはヒマリちゃんと仲が良い。USJに行ったときのお土産を密かに買っていたようだ。
僕は自分の両親とタケル君、タケル君の両親、ヒナちゃんのパパとママにお土産を買った。美術部の先輩と先生にもみんなで食べられるクッキーとチョコを買って持って行った。
密かにユメリちゃんにも買っちゃったけど・・・・。(これは内緒)
ヒナちゃんには「さすが投資家!あっぱれな金遣いだ」と言われた。(爆笑)
ミナト「そりゃ利益が出てるからみんなにもちょっとぐらいお土産を買って帰りたいさ。いつもお世話になっているからね」
ヒナちゃん「私はそんなに買うのムリだわ~」(汗)
ミナト「いいよ。僕がヒナちゃんの分まで買うから。でも、両親とUSJに行ったってウソつくけど・・・」
学生っていうのはめんどくさい。みんなには本当のことが言えないときが多々あるから・・・。
ミナト「ヒマリちゃんには僕らが付き合ってること言ってもいいよ。ヒナちゃんの一番仲が良い友達だから僕も信用してる」
ヒナちゃん「オッケー♪ヒマリちゃんには付き合ってること話すね。冗談だと思われたらイヤだから次の日曜日は3人で会おう」
ミナト「わかった。そうしよう」
この一連の流れで今週の日曜日はヒナちゃんとヒマリちゃんと僕で会うことになった。
日曜日にヒマリちゃんへ一通りの説明が終わった。
彼女は僕たちが思っていたよりも理解力があり賢い人だと思った。
僕はヒマリちゃんとあんまり話したことがなかったがヒナちゃんと同じようによく笑うイメージがある。「いつも笑顔だな」っていうイメージだ。
実際、こうやって僕とヒナちゃんが重要なことを話したときは何も疑う表情を見せずに受け入れてくれた。
ヒマリちゃん「そうなんだね。確かに私たちはもう小学生じゃないし、これから進路を考えていく歳になったし、あいまいな関係のままだったら高校に行くときに離ればなれになっちゃう可能性もあるもんね」
ミナト「そう、早く言っておいたほうが安心だったんだ」
ヒナちゃん「私はけっこう驚いたよ・・・。嬉しかったけど」
ヒマリちゃん「小学校6年生の冬休みにトワ君がヒカルちゃんに告った(告白した)話あったじゃん。覚えてる?」
ミナト・ヒナちゃん「うん、覚えてる」(ハモったw)
ヒマリちゃん「あれはね。なんでそうしたの?って聞いたの、トワ君に」
ミナト「えっ?聞いたの?なんか勇気あるね」
ヒマリちゃん「そしたらトワ君は理由を教えてくれたの」
ヒマリちゃんが回想するトワ君の言葉。
トワ君「僕らはもうすぐ小学校を卒業して中学生になるでしょ?
僕らが進学する中学校は3つの小学校からたくさん同い年の子が集まってくるんだ。
もしかしたら中学生になったらヒカルちゃんを好きになる人がいて告白しちゃうかも・・・って思ったんだ。
逆にヒカルちゃんが好きになることも考えられるしね。
そういうの考え出すと止まらなくなるから・・・。だんだん考えるのが面倒になってきて”嫌われてもいいや”って思って告白したんだ」
ヒマリちゃん「私が思ってたよりトワ君の考えは深かったわ。確かにそれは”あり得る”と思った。実際、中学生になってみると他の小学校からあがってきた男の子がカッコよく見えるし・・・・」
ヒナちゃん「おおー!やるねぇヒマリちゃん♪誰よぉ?だれだれぇー?」
めっちゃ食いついてるじゃん・・・・(汗)
ミナト「確かにトワ君って物静かだけど芯があって思考深い人って感じがする。僕がヒナちゃんに告白できたのもトワ君のおかげだからね」
ヒマリちゃん「そうよね。なんか私たちより前に進んでる感じがするよね」
ヒナちゃん「トワ君、ありがとぉーーーー!で、ヒマリちゃんが好きな人って誰なのぉ?」と言いながらヒナちゃんはヒマリちゃんに抱き着いた。
二人は抱き合ったまま爆笑しながら横に寝っ転がった。
めっちゃ仲良しなのはわかるけど・・・。もはやジャレ始めたな、ヒナちゃん(笑)
僕はヒマリちゃんからトワ君が告白した本当の理由が聴けてよかった。
僕も”あのタイミングで告白してよかったんだ”と思うことができた。
トワ君には感謝の気持ちでいっぱいである。
恥ずかしいとか周りの目を気にしている場合じゃない・・・。
そうだ・・・、そうやって大人になっていくんだ。
時には自分に正直になり、そのタイミングじゃないとダメなことがあるはずだ。
自分に正直で周りを気にせずに”あるがままの素直な行動”ができる人を考えたときに真っ先にユメリちゃんが頭に浮かんだ。
そうだ・・・・。彼女は周りなんて気にしていない。
自分の生き方に確固たる自信を持っている。
見た目の良さもあるが彼女なりの積み上げた”何か”があるような気がする。そういうところに僕は魅了されてしまったんだな・・・。
投資も同じように”小学生だった、あの時”に始めていないとダメだったのかもしれない。
今とは情報もずいぶん違ってきているし取引所で扱われているコイン全体の価格が数倍は上がっている。
もし今、投資を始める・・・となると最初の資金でつまづいた可能性がある。
やる前に諦めていたかもしれないな・・・。
ミナトがユメリちゃんに惹かれる理由は、まだ本人は自覚しきれていなかった。
ミナトは”同じ人種”にあったのだ。自分の気持ちに素直に生きる人に出会ったのだ。
ユメリちゃんも少しミナトのことが気になっていた。彼女もまた”同じ人種”に惹かれているのかもしれない・・・。
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