第27話 ブロックチェーンの技術・応用

中学1年生になったミナトは冬休みも相変わらず仮想通貨のニュースを見ている。

その中で面白い話題は”米国の大学の卒業証書にブロックチェーン技術”とある。


仮想通貨ではなく大学の卒業証書にブロックチェーン技術をヒモ付けして使うらしい。


これが一体何の意味があるのか?ということである。


これはブロックチェーン技術を使うことによって学歴詐称を防ぐことができるのだ。履歴書にウソを記載するとすぐにバレるという仕組みになっている。


もしかしたらこれからは至る所にブロックチェーンの技術は応用されていくかもしれない。


ミナトには”良くないブロックチェーン技術の応用”が頭に浮かんだ。しかし、それはきっと将来、どこかで使われることになるだろう。


北欧やヨーロッパでは体内にマイクロチップを埋め込んで、そこにいろんな情報を入れることができる。

もちろんビットコインやイーサリアムをチャージすることさえできてしまう。


もし体内に埋め込んだマイクロチップの個人情報にブロックチェーン技術を応用させたらどうなるのだろうか?


そうなるとすべての国民がウソ、偽りなくちから学歴、職歴、過去に受賞した表彰、役職、資産や結婚歴など、どんな情報もわかってしまうのではないだろうか・・・・。(怖)

さらに犯罪歴や未遂があれば再就職は不可能な社会にすらなる可能性がある。


人の一生をヒモ付けするブロックチェーン技術はいつか実現されることになるだろう・・・・。


その時代では非常に生きにくくなる。その代わり、偽善かもしれないが人に対して優しくなるはずだ。

誰もが自分の身の保身を考えて、バカな行動を取らなくなる。


世の中に”良い人”が溢れかえる・・・・。表面上だけ・・・・。


なぜならトラブルや問題が自分の一生の履歴に残ってしまうからだ。

就職だったり昇格に影響が出てしまう。

そうなったとき人は利口になり、自分の人生に汚点を残すまいとするに違いない、とミナトは思った。


民間企業だったらまだ入れるかもしれないが公務員や官僚、政治家を目指すならブロックチェーン技術で自分の人生の情報がヒモ付けされてしまうと”過去にあったトラブルや問題”によって自分の人生が潰されてしまうということも十分に考えられる。

キャリアを積み上げるには何年もかかるのに失うときは一瞬ではかない。


ミナト「そう考えるとデジタルの進化、仮想通貨の登場は必然だったのかもしれない」


冬休み前にメイちゃんに散々、言い寄られていたときは弱腰で低姿勢だったにもかかわらず投資や仮想通貨のことになると頭が冴えわたるミナトであった。


そんなブロックチェーン技術について考察していたミナトは今、2018年にコインの価格の上昇率が高そうなものをピックアップしている。


コインのそれぞれの特性も考慮しながら、スポンサー企業がどこがあるかを調べながら慎重に選んでいた。


その結果、2018年に上昇率が高いコインは、イーサリアム、リスク、ライトコイン、ダッシュである。


モネロやジーキャッシュも上がりそうだとにらんでいるが匿名性が高いコインという特性がどういう働きで人気があるのかミナトにはいまいち理解できていなかった。


実際は世界のダークサイト”アルファベイ”では大人気のコインである。

なぜなら彼らはミサイルや武器を売っているのだから・・・。


2017年、春ごろにヨーロッパでモデルが誘拐された事件があった。その数日後に闇取引をするサイトで「モデル」をオークションにかけた男がいた。


その男は逮捕され、オークションにかけられたモデルの女性は無事保護されたがそのオークションの価格は日本円にすると1000万円だったそうだ。


日本では考えられない発想を外国人は当たり前のようにやってのける。ミナトにはまだ理解できない世界ではあったが、そう考えると日本の基準や尺度ではなく、海外の基準や尺度が見えてくる。


そして、闇取引などをするマフィアや裏の住人たちにとって匿名性の高い仮想通貨というのは非常に希少価値がある。


仮想通貨として最初に生み出されたビットコインをかわきりに実に様々なコインが生み出された。


それらのコインの特性は”そのコインを欲しい人たち”がいずれ使うために存在している。


世界の人口が増えることが”わかっている”から、必然的に自然の無駄遣いを減らしリサイクルを志す必要がある。


毎年、刷新して作り直す法定通貨・紙幣を世界の国々が電子マネーや仮想通貨にするだけでどれだけ森林破壊を止められるだろうか・・・・。


デジタル署名やデジタル証明書も同じく、パソコンの画面の中で記録されていくものを増やせば自然破壊を止めて地球全体が良い方向へ向かうはずだ。


不正を防ぐためにもブロックチェーン技術は使われるべきだ。


そんなことを考え思いふけていたとき、ミナトの頭の中に自分が将来こういったデジタルに関連した職業に就いているのではないかと予感した。


仮想通貨を使った関連企業に就職する自分の未来が一瞬だがよぎったのは、ミナトが無意識にそういった仕事に就きたいという願望かもしれない。


テレビやユーチューブで見る評論家・専門家の言葉とは裏腹に仮想通貨に関連した企業は業務を拡大させていた。


あのサイバーエージェントも仮想通貨の関連企業へ出資しているほどである。


未来を見据えた企業の多くは仮想通貨の関連企業へ投資を活発に行っている。


2018年からはビットコインの送金が人工衛星を使うようになり、ビットコインの利便性はさらに向上する。


ビットコインとライトコインを使ったライトニングネットワークでは高速送金が可能になり従来の取引量の倍の処理能力が実現される。


今までの100倍とも1000倍とも言われている。


ミナトはこのライトニングネットワークの実現をとても心待ちにしている。

そのためマイニングではイーサリアムだけでなくライトコインも多く投資しているのだ。


ビットコインのマイニング(採掘)の難易度が高いことを考えると”今”安いコインであるイーサリアムとライトコインをマイニングしたほうが資金効率がいいという判断である。


女の子の扱いをミスするミナトではあるが、こと投資に関しては百戦錬磨の強者つわものである。


彼の考察とこれから1年後、2年後のコインの価格の予想は誰よりも長けていた。


ベテランの投資家も舌を巻く、唯一無二の天才である。


自分では無自覚なままに、それこそ伝説のクリプトカレンシーボーイになろうとしていた。


これほど正確に未来を予測している投資家の少年が今までいただろうか・・・・。


投資家の多くは一度や二度の失敗を経験している。

借金を作ったり破産を経験する者が多く存在しているのだ。しかし、ミナトは一発目で投資に成功したために恐怖心がない。


面白い、楽しいという気持ちのほうが強く、仮想通貨の情報に対して実に興味津々である。


目先の価格の上下ではなく少し未来を見ているのがいいのかもしれない。彼の投資スタイルは中・長期の資産運用である。


ミナトが保有しているコインの価格は1日で3万~10万円の乱高下をするときがあるが、本人は一切、気にしていない。


そのコインの価格の値動き、時価の変動を容認してこそ投資家である。


少しの価格の上下で震え上がったり悲観的になる人間や恐怖に囚われる人間は素質がない。


それは情報力と知識が乏しいという単純な理由である。


ミナトが毎日、仮想通貨の情報サイトを見ているのは中・長期投資に最適な選択を考えるためでもあった。


彼が大人になるまでに蓄える資産はとても大きい。


2016年から仮想通貨の投資を始めたミナトこそが直感を信じた天才と称されてもいいだろう。


今から30年の間に世界が変わるとは誰も気づいていないのだから・・・。

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