第33話 取引所から交換所へ

仮想通貨の取引所とは主に日本円で仮想通貨を買うサイトである。サイトにログインして自分が欲しいコインを買う。


取引所内にも自分専用のウォレットがあり、そこにコインが貯まってゆく。


これは簡易ウォレットであり、セキュリティの高いウォレットにコインを移すのが基本である。


2018年、ミナトは多くのコインをハードウォレットで管理していた。パソコンにつないだ時だけ送金と受け取りが可能である。


AI搭載のパソコンではAIトレードが頻繁に行われている。さらにマイニングをする海外の会社へも投資を進めていた。


パソコンにもウォレットをダウンロードしていたがそれは一時的なコインの保管用としていた。


こういったウォレット一つでも実に様々なものがある。ミナトは仮想通貨の財布にも興味があり可能性を探っていた。


正月休みでテレビにも飽きた頃、ネットでウォレットを検索しているとミスターエクスチェンジという名のサイトがあった。


ミナト「なんだ?これは・・・」


元ミスターリップルというサイトが名前を変更してミスターエクスチェンジとなったらしい。


ミナト「そういえば2017年の初めごろにこのサイトを見たことがある・・・」


ミスターリップルというネーミングとよくわからないサービス・・・。あの時はまったく意識していなかったが・・・。


元ミスターリップルは華麗に生まれ変わり、仮想通貨の交換所として活躍の場を広げていた。


国からの承認も経て、仮想通貨の交換所を営んでいるというわけだ。

試しにミナトもこの交換所に登録してみた。


この交換所では一体なにができるのか?という話である。

取引所との違いは何か?


仮想通貨の交換所では自分が持っているコインを別のコインとトレードできるのだ。さらにコインごとにウォレットを生成することが可能となっている。


自分が持っているコインを財布で一覧表示させることができる優れものである。それに加えてまだコインチェックや他の取引所でも扱われていないコインまでもが交換対象となっていた。


自分が持っているビットコインやライトコインを聞いたこともないようなコインとトレードできるのだ。


これは実に面白い!とミナトは思った。しかし、保有している資産の多くはアルトコインであり、とくにイーサリアムとリスクに力を入れているミナトにとって無名のコインはそれほど欲しいものではなかった。


海外でもこういった交換所はある。どんなコインでも交換できるようなところもある。


取引所も日本と違って100種類の仮想通貨を扱おうとしているところがいくつもあった。


米国のポロニエックスに続けと言わんばかりに取り扱うコインの種類を増やしているのだ。


取引所はどこで利益を得ているか?それは手数料である。


顧客が仮想通貨を売買するときに手数料を取る。それが取引所の利益である。逆に仮想通貨の面白いところはそういった経営側がアフィリエイトとして”顧客に宣伝・集客してもらって顧客にお金を払う”ことだ。


ミナトのようにブログに仮想通貨のことを載せているとそこから登録する人がたまにいる。その人が登録・投資することによって取引所はまた一人顧客が増えたことになる。

顧客を増やしてくれたミナトに取引所はお金を還元する。


当たり前といえば当たり前だが仮想通貨の取引所だけではなくマイニング事業を行っている会社や交換所にもアフィリエイト機能がついている。


仮想通貨に関してはアフィリエイトが当たり前のようにある。


これは他のサービスや事業ではあまり見かけられない性質である。


ミナトはブログでアフィリエイトのバナーやURLを載せている。たまにツィッターでつぶやくこともあるがサイトを運営している人に比べれば微々たる収益である。


国内でも仮想通貨のインフラ整備は整いつつあった。


取引所、交換所、ATM、クレジットカードへのチャージ、お店にある仮想通貨の決済ができる端末機など・・・。


その最先端にいるのがミナトである。


彼はAI搭載のパソコンを使いこなし短期トレードを自動でさせている。さらに海外のマイニング企業への投資、コツコツとやっている積み立て投資と仮想通貨の投資に関して多岐に渡っている。


アルトコインを多く買っていることもありビットコインより安定的に資産を増やすことに成功した。


短期トレードではビットコイン、長期保有・マイニングはアルトコインと決めていた。


新年も気を抜かずに仮想通貨の情報収集に努めるミナトである。


美術部顧問の秋山先生と正月休みに一度会っていた。そのときにやはり秋山先生のわからないことをたくさん質問されるミナトであった。


秋山先生「交換所の登録ってどうやってやるの?」

ミナト「登録は取引所で登録したように初期設定やプロフィールを記載するのが先です」


あとから免許証、住民票、公共料金の支払い用紙などをアップロードして運営側に承認してもらうのが定番である。


海外の取引所にアカウントを開設する場合はさらにパスポートが必要となる。


秋山先生「いろんなコインをウォレットに入れることができるの?」

ミナト「コイン別にウォレットを作る必要があります。一度、作ればそれをずっと利用できるしコイン別にウォレットが一覧表示されるのでわかりやすいですよ」


秋山先生「なるほど・・・・。でも、手元にコインを置かずにサイトにログインしたときだけコインが見れるってなんか不安・・・」(汗)


ミナト「それなら一部だけを交換所に預けておいて量が多いコインはパソコンのウォレットやハードウォレットに移せばいいんじゃないですか?」


秋山先生「う~ん、そうね。でも、サイトに入れて置いたほうが送金や受け取りがスムーズよねぇ・・・?」


ミナト「たとえば僕ならビットコインを買って、マイニング事業を手掛ける会社に投資します。そして、コインの受け取りを交換所のウォレットにしています」


秋山先生「なるほどー!そういう使い方があったか!」


ミナト「マイニングで増えたコインだけがサイト内にあるウォレットに入っていくのでいくら増えたかわかりやすいですよ。それに自分が好きなコインに交換できるのも嬉しいですね。そこでもやはりコインの価格の高騰などがあったタイミングで他のコインに交換するようにしています」


秋山先生「コインが高騰して別のコインにすると・・・。交換してもらえる量が増えるってことね。差益がそのままコインの量の増減につながっているわね。

賢いわー♪ミナト君」


秋山先生はミナトの頭をなでた。


ミナト「いやぁ照れますねぇ・・・」(汗)


なんか子供扱いされてる感が否めないと思うミナトであった。


コインの保有数や資産でいうと秋山先生の2年分の年収を軽く超えてしまっているミナトであるが秋山先生はそこまでミナトが資産家であることは知らなかった。


2017年の夏過ぎから年末にかけて仮想通貨の高騰があった。さらにマイニングとAI搭載のパソコンの短期トレードでミナトの資産はうなぎ昇りである。


そんなミナトが少し憂鬱になるのは正月明けの学校が始まったときにまたメイちゃんに言い寄られることである。


彼にとってそれは嬉しいものではなかった。


ヒナちゃんとの関係の修復にも時間がかかり、やっと機嫌が直ったところなので・・・休み明けにはどうかメイちゃんが僕を忘れていますように!と神に祈っていた。


投資では百戦錬磨のクリプトカレンシーボーイであるが女の子の前では弱腰である。


ミナトは論理的な思考の持ち主なだけに女の子の予想できない行動や言動に振り回されてしまうのであった。


女の子からすれば相手の気持ちを揺さぶって”どういう気持ちか確かめる”といったありがちな行動なのだった。


それは自分に自信がないから・・・ということや自分以外の女の子とどういう関係でありたいか・・・を知るすべである。


夕方、秋山先生に料理を作ってもらいミナトは先生と一緒に夕食を食べた。


ミナト「このまま中学生のまま先生と一緒にいたいです」


秋山先生「アハハッ♪私もミナト君がずっと私の弟のようにいてくれたら嬉しいわ」


マイニング事業のICOやクレジット会社のICOなどが2018年には目白押しであり、これから社会がどうなるかをある程度、予想しているミナトであったが先生の前では子供でいることにしていた。


あんまり複雑なことを言うと先生が困るのでできるだけ単純な言葉を選んで話しているのだ。


2月から5月にかけて・・・・・ミナトはとくに楽しみにしているのだった。

それは世界の投資家たちが注目している新しいビジネスチャンスでもあった。


ICOをして資金調達するその企業の中には将来、大企業になるようなところもきっと存在しているのだろう。


そんな可能性に世界の投資家たちは胸を躍らせていた・・・・。

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