第34話 自然エネルギーとマイニング
2018年、正月休みが終わって学校が始まった。
リップルラボ社が発行するコインXRPの価格が高騰してかなりの利益を得たミナトであった。
amazon.jpの決済にXRPが使えるということになり、ますますネット通販の業界は革新的なサービスを展開し始めている。
中学1年生の3学期がスタートしたが、どこか浮世離れしてしまった気分になっているミナトであった。
彼の心の中には社会や労働に対する疑問が浮かんでいるのであった。
小学生から始めた投資でサラリーマンの2年分ほどの収益を得てから、ミナトの世界観や大人に対する考えが変わりつつあり、自分が大人になったときに”果たして働いているのだろうか?”という疑問が浮かんでいた。
社会に対する不安、会社に雇用されて働く意味、投資という世界、そのどれもがまだすべてを理解したわけではなく、ほんの一部を見たに過ぎない。
”今”何をするべきなのか?
彼の頭の中にはそんな疑問が浮かんでいた。
疑問が浮かび、自分がやっていることと現実が離れていることを知る。
学校の勉強だけがすべてではない。そして、お金持ちになれるのは学校の勉強をやったからではない。
漠然とした考えではあるが確信をついているミナトであった。
新しいことにチャレンジするのは良いことだ。新しい技術やサービス、今までなかったものに取り組んでいく。そういうところにお金が集まっていく。
ミナトにはそんな風に思えた。
2018年もミナトにとっては仮想通貨の投資の1年になる。
同級生たちが学校の勉強と部活動を必死でやっているときにミナトは仮想通貨の投資に必死である。
米国の高校生だった男の子が1年半ほどの期間をアルバイトをしながらビットコインを買い続けて数千万円の利益を得たというニュースがあった。
その高校生だった男の子は教師にこう尋ねた。
男子生徒「僕は投資で数千万円の利益を得ました。これから僕はどうすればいいですか?」
教師「今すぐに学校をやめて起業しなさい」
その高校生の男の子は高校を自主退学して、起業したのだという。
インターネットで自分が好きな時間に好きな教科が勉強できるシステムを作って、それでさらに収入を得たらしい。
そして、そのシステムはある企業の目に留まり、ビットコインと引き換えにそのシステムを売却することとなった。
今頃、その高校生だった男の子は億万長者である。
仮想通貨には夢や希望がある。そして、このチャンスは何度も訪れているのだ。
ただみんなが気づかないだけで何度もチャンスはあった。そして、これからもまだまだチャンスはある。
ただこれが10年後、20年後に仮想通貨が社会に浸透したらどうだろうか?
きっと今ほどのチャンスはもう二度と来ない・・・。
ミナトはこの中学生という立場で「自分は大人じゃないから・・・」と諦めるのがイヤだった。
ミナト「僕も億万長者になりたい!そして、親孝行をして、さらにヒナちゃんと物価の安い海外でゆったり暮らしたい」
自分の夢を叶えるためにも学校の勉強や部活ではなく投資をがんばらなければ・・・と思うミナトであった。
ミナトの今の投資は未来に対する投資である。
自然エネルギーを使ったマイニング事業への投資も彼にとっては一つの賭けである。
ソーラーパネルを使ったサンマイニング。
ソーラーパネルと風力発電を組み合わせたエンビオン。
水力発電を使うハイドロマイナー。
電気代が安い国、広大な敷地がある国、寒くて冷却機関を必要としない国。
日本よりも立地条件がよくてさらに自然エネルギーを多用した世界のマイニング企業は優れていた。
既にあるジェネシスマイニングやサンマイニング、これからダムを建設するハイドロマイナー、ソーラーパネルやコンテナの製造に取り掛かるエンビオン。
これらの企業には夢があった。
どれもが一大プロジェクトであり、これらの企業に投資すればマイニングによってコインを増やすことが可能なのだ。
もし増えたコインの価格が上がれば投資金額よりも遥かに多い利益が得られる。
電気代がタダに等しく、土地代もタダに等しい・・・。
そんな条件を備えたマイニング企業も存在している。
保有しているコインの値上がりを待つか、それともビットコインを投資してマイニングでアルトコインを増やすか・・・。
さらに2018年はICOでも将来性が見込まれている企業が目白押しなのだ。投資しないわけにはいかない。
例えば2018年1月18日からトークンセールが開始されるGRAFTなど、これから世界を変える企業が現れはじめていた。
クレジットカードの決済をあらゆる仮想通貨で支払いを可能にするシステムを作るのだという。
既にクレジットカード決済で100種類の仮想通貨を使えるものはあるがGRAFTは決済スピードに特化したシステムを構築しているそうだ。
ミナトもこのトークンセールに参加する予定である。
いずれGRAFTが発行するコインは価値が出る。そう考えているのであった。
マイニング事業でICOして新しいコインを発行したハイドロマイナーはH2Oというコインを発行してみせた。
そのコインは海外の取引所で見事、上場を果たしてコインの価格も高騰したそうだ。
話題性のある企業、機能が優れたコインであれば価値が上がる。
これは誰もが理解できることである。しかし、日本人の多くは「よくわからない」「仮想通貨なんて知らない」「どうやってやるの?」とまだそんな状態である。
社会に出て働き出した社会人ですらそんな状態なのだ。タケル君のお父さんやヒナちゃんのお父さんと会話していなかったら自分も同じだったかもしれない・・・。
もしかしたら”わからないまま投資をしなかったかもしれない自分”を想像するとゾッとするミナトであった。
保有している資産、マイニングを含めて500万円を超えた投資家のミナトがもし投資をしていなかったら10万円~30万円ほどの貯金だけであり、その貯金は増えることがなく、きっと高校を卒業するまでそのまま・・・。
もしくは服やデートでお金を使い切っていたかもしれない・・・。
改めて考えるとゾッとする。背中がゾクゾクするミナトであった。
正月休みの間にSF映画をたくさん観たせいか、気づかずに生きることが恐ろしいと思うことが多くなっていた。
SF映画でもミナトが好んで観るのは「仮想世界」が舞台であるもの、「ロボット・AI」が活躍するもの、「地球の荒廃」が進んでいる映画などであった。
洋画はメッセージ性が強く、そして、未来を暗示させるものが多かった。
「オートマタ」「マトリックス」「タイム」「エリジウム」など、テクノロジーや仮想世界、さらにはお金に関するものまで、自分たちが持っている固定概念を覆すものばかりである。
テクノロジー、医療技術、仮想通貨、仮想世界、AI・・・これからの時代のキーワードになる単語である。
10年後、20年後の未来は今とはまったく違うシステムで社会が動いている可能性がある。
ミナトの持つ”危機感”は未来に対する不安である。これから普通に生きることが難しくなっていくだろうと漠然とした考えがあった。
日本だけではなく借金が多い国は多い。そんな国々はいつ崩壊するかわからない。社会のシステムが正常に機能できるのはお金が正常に流動しているからに他ならない。
社会情勢が悪く法定通貨が信用できなくなったベネズエラではビットコインを使って決済を行っているそうだ。
他にはベラルーシのようにICOを合法化して仮想通貨は非課税とする国も存在している。
確かオーストラリアも仮想通貨は非課税だった・・・。
ミナトはそんな国で暮らしたいと考えていた。
国の借金が少なくて広大な面積を持った国、物価が安いこと、ネット環境が整っていること、とくに他には条件はなかったが暮らしやすそうな国でヒナちゃんとゆったりと暮らせることを夢見ているのだった。
ミナトの今年の課題は、将来性がある企業ICO、トークンセールへの投資、アルトコインへの投資、さらにマイニング事業への投資である。
自宅のAIパソコンのトレードも順調である。
タケル君のお父さん、ジンさんのツテがなければこのAIパソコンで自動売買させることはできなかっただろう。
まだ世間一般では販売されていない代物であった。それにカスタムしてくれたジンさんじゃないと使いこなせないほどプログラムの設定は難解であった。
まだ世間ではMT4を使ったシステムトレードが主流である。これにはEAという売買パターンをいくつか覚えさせる必要があった。
しかも、その売買パターンどおりにやっても勝率は3割~4割程度である。
AIトレードは勝率が4割~6割なのだ。
高額なAIパソコンであったが十分に元を取れたミナトであった。
海外でもAIトレードできるシステムを構築しつつある取引所がある。それがビットプラスという新しい取引所である。
この取引所には投資が有利になる様々なサービス、特典がついていた。
用意周到に”未来”を準備するミナトであった。
これから彼が向かっていく方向は実に素晴らしい投資家への黄金ルートであった。
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