第20話 爆上げ

8月を過ぎたあたりからビットコインが爆上げしている。

ミナトの資産は200万円を突破してしまった。


お金を使っても投資した分が増えるほうが早いので資産は増える一方だ。それにミナトはジェネシスマイニングに定期的に投資を行っているのでさらにコインが増える。


ミナトはまだまだお金を増やしたいと思っている。それはAI搭載のパソコンを買うためである。さらに自動売買ソフトも合わせて買いたいと考えている。


そのためミナトは投資関連の情報サイトを小まめに探すクセがついていた。


個人のプログラマーが開発して作られた仮想通貨の自動売買ソフトも存在しているそうだ。

それは元々FX為替取引に使われていた自動売買ソフトを仮想通貨用に改良したものらしい。


さらに自動売買ソフトで売買パターンを設定しなければいけないのだがこの売買パターンだけを売っている人もいるそうだ。

売買パターンを販売しているサイトではこれらをEA(売買パターン)ソフトとして1万円ほどで売り出されていることが多かった。


ミナトは仮想通貨の詐欺セミナー以来、美術部の顧問・秋山先生からラインがよく送られて来るようになっていた。


秋山先生「そういえばどうやってビットコイン買ってるの?」

ミナト「僕はコインチェックとビットフライヤーに登録しています」


秋山先生「ビットコイン以外にお勧めのコインはある?」

ミナト「他のコインも将来性があるから分散投資がお勧めです」


秋山先生「ミナト君、儲かった?」

ミナト「内緒です(〃艸〃)ムフッ」(笑)


夏休みが終わる二日前、8月30日に秋山先生の家に行くことになった。

銀行から取引所にお金を振り込んでから「どうしたらいいか分からない」ということだったのでミナトが直接、秋山先生の家に行って教えることになってしまった。


秋山先生は中学校の近くのハイツに一人暮らしをしていた。住所と号室はラインで教えてもらっているのでグーグルマップを見ながら行くことにした。


ミナト「たぶん、ここだな・・・」インターフォンを鳴らした。

秋山先生「ああ、ミナト君。待ってたよ、あがって」ドアを開けて秋山先生が出てきてくれた。


ミナト「一人暮らしにしては広い家ですね」

秋山先生「そうね、一人にしては広いよね。家賃の補助があるから助かるわ」

ミナト「そうなんですね」


秋山先生は僕にコーヒーを入れてくれた。ドーナッツも買ってきていたようだ、冷蔵庫から箱を取り出して皿に乗せてテーブルに置いてくれた。


リビングのテーブルにノートパソコンを開いて、二人で寄り添うように画面を見ていた。


秋山先生は取引所にコインチェックを選んだようだ。一番わかりやすいかもしれない。

秋山先生「取引所にお金を入れたんだけど、ここからどうしていいか分からないの。一応、買い方はなんとなくわかるんだけど、どれをどう買ったらいいの?」

ミナト「最初に買うべきなのはビットコインです。これが仮想通貨の王様ですから・・・」


ミナト「他のコインだとイーサリアム、リスク、ダッシュ、ライトコインがお勧めです」

秋山先生「そうなんだ、わかった。買ってみるね」


ミナトはコインの特性と将来性について話した。コインによって世界の大企業がスポンサーについていることもあるというのも情報として伝えた。

さらにマイニングについても話をした。


秋山先生「ええー!?マイニングって採掘っていう意味だったの?知らなかったー」

ミナト「仮想通貨は地球に埋まっている設定なんです」


秋山先生「地球に埋まってるー!?」


いちいちリアクションが面白いのでミナトは説明するのが楽しかった。(笑)


一通りの説明が終わり、ミナトも投資で出た利益をさらにマイニングに投資してさらに利益を伸ばしていることも伝えた。


秋山先生「あの投資のセミナーより、よっぽどわかりやすかったし、とても重要な情報をこんなにあっさり教えてくれていいの?ほんとにありがとー♪」


ミナトは秋山先生に抱きつかれてしまった。

やっぱり23才にもなると大人の女性っていう感じがする・・・・。

胸のふくらみや先生のとっても甘い香りがなんとも・・・。


ユメリちゃんとはまた違った良さがあるなぁ・・・。


ミナト「今日はいろいろ投資の話ができてよかったです。でも、学校では内緒にしておいてください。投資家であることがバレたら学校ではかなり面倒なので秘密にしておきたいんです」

秋山先生「そうなんだ。君もいろいろ大変ね・・・。ミナト君が投資家ってこと知ってる人はいないの?」


ミナト「います。彼女のヒナちゃんとタケル君、それにユメリちゃんも・・・」

秋山先生「3人はとくに仲が良い友達ってことね。なるほど」


ミナト「じゃあ今日はこのへんで帰りますね」

秋山先生「あ・・・ちょっと待って、晩ご飯いっしょに食べようよ♪」

ミナト「はぁ・・・ありがとうございます」


秋山先生は大学から一人暮らしだったが大学時代はしょっちゅう同期の友達が家に遊びに来ていたらしい。そのときは寂しさを感じたことがなかったという・・・。


新任教師になって、今の中学校に決まってからの一人暮らしでは毎日、自分ひとりだけの生活になって寂しかったようだ。


先生もなんかいろいろ苦労しているなぁ・・・。


秋山先生「はい、できたわよー。食べて食べて♪」

ミナト「おいしそうですね。いただきます」


ミナト「うん、おいしい」

秋山先生「でしょ?私、料理は得意なんだから」


秋山先生「それよりなんでミナト君は美術部に入ったの?それも気になるなぁ」

ミナト「運動部は時間が大幅に取られるのでムリでした。文化部であればなんでもよかったんですが美術部か英語部にしようと思っていました」


秋山先生「そうなんだ・・・」

ミナト「英語部も見学に行ったんですが美術部の見学でヒナちゃんがいたから・・・。もちろん美術も好きですよ」


秋山先生「ふ~ん、でも、けっきょくは彼女がいたから入ったんだね・・・。別にいいけど(笑)」

ミナト「ハハッ(笑)、ヒナちゃんと一緒にいると楽しいし美術部のみんなと一緒にいるのも楽しいです。絵を描くのも好きですから・・・」


秋山先生「じゃあ私がモデルになるからちょっと描いてみてよ」

ミナト「えっ!?今ですか?」


秋山先生は食事中ちょっとだけお酒の飲んでいたけど、かなりお酒に弱かったようだ。これは絡まれるな・・・。(笑)


秋山先生が部屋の温度を上げて上着を脱ぎだした。

周りを見て何かを探しているが・・・?


秋山先生「あれ?ない!私のお気に入りのスカート知らない?」

ミナト「いやぁ・・・最初からそんなの見てないですけど」

秋山先生「ああ!クリーニングに出したままだった」


なんだ、この人・・・・。記憶が飛び始めたぞ・・・。(笑)


秋山先生が鉛筆とスケッチブックを僕に渡してきた。


なぜかタンクトップになってお腹が丸見えの状態で下は短パン姿だった。

髪をかき上げる仕草のままヨガのようなポーズを決めた。


秋山先生「ほら、ミナト君。私を描いて!この体勢疲れるからなるべく早くね」


かなりのムチャぶりをする先生がどこか「可愛いな」と思わせる。

ミナトは真剣に秋山先生をスケッチブックに描いた。


ミナト「先生、描けました」

秋山先生「どれどれ、見せて・・・。あら、いいじゃない。あなた才能あるわ」

ミナト「先生、めっちゃ酔っぱらってますね・・・。ゆっくり休んでくださいね」


僕は帰ろうとしたが・・・・。

秋山先生に引き留められた・・・・・。


秋山先生「ヤダ!ヤダヤダ、私を一人にしないで!」


まいったなぁ、完全に女の子に戻っちゃってるじゃん・・・。先生という立場を忘れてしまっている・・・・。(笑)


ミナト「いいですよ。秋山先生の気が済むまで今日は一緒にいますよ」

秋山先生「え!?ほんと。ミカうれしいー!」といって僕に抱きついてきた。


あらら・・・。気持ちいいけど・・・♪


けっきょく僕は秋山先生の家で一泊してしまった。なんだかんだお世話になってしまった。


次の日の朝、しらふになった秋山先生がかなり慌てていた。


「あれ?私、何してたんだっけ?」と言っているのを聞いて僕は爆笑した。


ちゃんと仮想通貨のことが頭に入ってたらいいけど・・・・。


ミナト「いろいろお世話になりました。ありがとうございます。秋山先生」

秋山先生「あら、私もミナト君と一緒にいてすごく楽しかったよ♪ありがとう。また遊びに来てね。ラインで誘うから♪」


ミナト「はい、また誘ってください。僕も投資仲間が増えるのは嬉しいです」

秋山先生「ミナト君は根っからの投資家ね!天才が味方だと頼もしいわ」


僕にとってとても思い出深い夏休みの終わりになった。

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