1/6サイズの皇女

酔梟遊士

第1話

その夜はいつもと変わらない静かな夜で、高校1年生の須田すだ 歩人あゆともいつもの様に夕食後の時間に部屋で宿題をしていた。


 その日の宿題は歩人にとっては難解であった為、途中で一息つこうと席を立つが、そのタイミングで突然部屋の明かりが点滅する。


 思わず部屋の中を見回し、何の異常も無い事を確認していたが、突然、外から轟音が聞こえると同時に、部屋は真っ暗になり、やがて家がギシギシと音を立て揺れ出した。


「地震?」


 揺れは数秒で収まったものの停電は回復しなかったので、歩人は窓から外の様子を確認すると、付近一帯はまだ闇に包まれている。


「歩人、大丈夫?」


 一階から母親である杏奈あんなの声が聞こえてきたので、歩人は机の引き出しに置いてあった懐中電灯を取り出すと、慎重に移動して部屋のドアを開ける。


「僕は大丈夫。母さんは?」


「大丈夫よ。一体何なのかしらね」


「何か事故でもあったのかな? それとも隕石とか」


「隕石?」


「隕石が落ちると、けっこうな衝撃らしいよ」


「そう、どちらにしても、大した事無ければ良いわね」


 その時、照明機器に反応があり、再び部屋の中が明るくなる。


「とりあえず一安心だね」


「そうね」


「歩人はまだ起きているの?」


「宿題がもう少しかかりそうだから」


「そう、頑張ってね」


 歩人は再び机に向かうも、何が起きたのか気にはなってスマホを一度手に取るが、やはり宿題を終わらせる事を優先するべく、スマホを伏せた状態で机に置く。


 そして宿題を終えた頃には睡魔に襲われ、既にそれどころではなくなり、歩人は素直にベッドに入っていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る