◆番外編3.たけやぶやけたら、まものがあらわれた!
◇その1
自分でも、潔癖症というかお節介というか面倒な性格をしているという自覚は一応あったし、この性格で損をしたことも一度や二度じゃないんだが……。
「はぁ~~、今回ばかりは、やめといたほうが良かったな」
目の前の大きなケモノを精いっぱい気力を振り絞ってニラみつけながらも、内心そんな風に溜息を漏らしてしまうのは仕方ないだろう。
目の前で「ブシュルルルーー!」という覇気に満ちた唸り声を上げている生物は、パッと見は動物園や図鑑で見る
──『もの●け姫』か『モ●スターハンター』に出てきそうなくらい大きくなければ、だけど。
ア●タカでも村付きハ●ターでもない俺としては、ションベンちびりそうなのを堪えるので精いっぱいだ。
しかも、ただの突然変異で巨大化した個体というわけでもないらしく、
こうして対峙しているだけで暑いし、火の粉が触れた葉っぱが燃えてるみたいなので、幻覚とか赤い鱗粉みたいモノという線はなさそうだ。
(某槍使いが殺されたのも、こーゆー“INOSHISHI”だったのかな)
ケルト神話の英雄でさえ相打ちに持ち込むのがやっとなバケモノ相手に、元陸上部所属とは言え、ただの高校生である俺が何かできるはずもなく……。
逃げ回った挙句、1分ももたずにこんな風に追い詰められて風前の灯状態になってるってワケ。
(あ~、こんなことならで親父たちと一緒に旅行行っとけばよかった……)
シルバーウィークの始まる日の前々日、いつもは仕事人間の親父が珍しいことに家族4人で温泉旅行に行かないかと誘ってきたんだ。
なんでもお袋の出した雑誌の懸賞が当たったらしい。北陸地方のそれなりに名の通った温泉旅館に4人まで二泊三日できて交通費以外は無料という太っ腹さに、「たまには一家団欒もいいか」と親父も腹をくくって休みをとったんだとか。
けど俺は、旅行初日に最近ハマってるネトゲの大型イベントがあったし、あまり目的地に食指が動かなかったから、家に残るって言っちゃったんだよなー。
両親と中学生の妹(&俺の代わりの妹の親友)を二泊三日の旅行に送り出したあと、俺はつかの間のひとり暮らしを楽しんでたんだけど……。
二日目の朝、俺は家の外から焦げ臭い匂いがすることに気づいた、気づいてしまった。
庭に出てみると、家の裏手にある直径50メートルほどの小さな山の方から、その匂いは漂ってきているようだった。
「! もしかして火事か? どっかの馬鹿が焚火かタバコの不始末でもしでかしたのか!?」
この時、俺が真っ先になすべき行動はたぶん“119番に電話する”だったんだろう。
けれど、個人的に少なからずこの裏山に思い入れのある俺は、とりあえず家の玄関にあった消火器と、枝払い用のナタを持って、裏山の方に駆け出しちまったんだ。
思い入れって言っても、そうご大層なもんでもない。
単に、小さい──それこそ幼稚園にあがるか否かという頃から、この小山の端で遊んでいたことと、中学ぐらいからは趣味の竹細工のための材料をよく採りに来ていたことぐらいだ。
山肌の半分が雑木林、残りの半分が竹藪に覆われたこの小山は、俺の趣味の材料を集めるのに格好の場所だった。
ちなみに土地の持ち主は少し離れた場所に住んでる父方の祖父だから、多少竹や木を持って行っても問題ない──さすがに丸坊主にしたら怒られるだろうけど。
とは言え、物心ついたころから、何百回となく足を踏み入れてきた場所だ。それなり以上の愛着はあるし、そこを踏み荒らすようなヤツらを放置したくもない。
──と、まぁ、そんな義侠心とも独占欲ともつかない気分で「こらー! 何しとるぅ!!」と昭和のカミナリオヤジ的ムーブをするつもりで裏山に来たところで……。
「あっ、やせいのオツ●トヌシがとびだしてきた!」な状態に陥ってるわけだ。
正直、コレ、今手に持ってるのが猟銃なり散弾銃なりで、俺が熟練のマタギだったとしても、勝てる確率ほぼ0だよなぁ。
──しかも、“装備”してるのが“しようずみしょうかき”と“ほむせんのなた”と“とれーなー”という時点で、「ほぼ0」が「完全に0」になってるし。
「Fsyurrrr!!!」
しかも、先ほど破れかぶれで噴射した消火器が上手い具合に眼つぶし代わりになったらしく、“INOSHISHI”のヤツ、ある程度距離をおいて警戒していたんだが……。
最悪なことにどうやら視力が回復してきたようでコチラに突進する気配を見せている──っていうか、突っかかって来た!
何とか回避しようととっさに右方向に大きくジャンプしたものの、推定1トン近い巨体がホーミング機能でもついているかのごとく、慣性を無視して俺の方に突っ込んでくる。
(あ、コレは死んだな)
よけようのない空中で跳ね飛ばされ、山肌に叩きつけられたあげく、追い打ちで“INOSHISHI”に轢かれて肋骨ごと心臓を踏みつぶされた俺は、激痛とともに呆気なく息絶えた。
──いや、そのはずだったんだが。
気がつくと、壁も天井も真っ白な広さ8畳ほどの部屋の床に寝転がっていた。
「えっと、ココは……」
もしかして、さっきのは夢……と思うには、あまりにも臨場感たっぷりだったし、何より此処は俺の部屋どころか、まったく見覚えも心当たりもない場所だ。
一応、床(?)には申し訳程度に畳が一畳敷かれていて、その上に寝かされてたんで、身体が痛いってことがないのは幸いだけど……。
というか、踏みつぶされたはずの胸の傷どころか、服に血ひとつついちゃいない。
“?(はてな)顔”という言葉のサンプルのような表情を浮かべつつ、俺は首をひねった。
畳の上に胡坐をかいて座り、色々考えてはみたものの、なにしろ情報が少な過ぎて推理のしようもない。
「ああ、アキちゃん、目ェ覚めたんか」
と、そこでいきなり背後から声をかけられたので、俺は慌てて振り返った。
そこには、黒地に銀糸の刺繍が施された、かなり高級そうな和服を着ている30歳くらいの焦茶色の髪の女性が、ホッとしたような表情で立っていた。
華があるとか絶世の美人だってわけじゃないけど、それなりに整った顔立ちだし、何より優しそうというか母性的な印象を受ける
俺と面識はない──と思う。
(うーん、どこかで見たような気はするんだけど……)
あるいは今はそれほど接点のない、昔の(それこそ子供の頃の)知り合いって線もあるか。俺のことを幼少期によく呼ばれていた「アキちゃん」って愛称で呼んでるわけだし。
とは言え、すぐに名前を思い出せそうにないので、俺としてはこう聞くしかなかった。
「すみません、どちら様ですか?」
たぶん意識を失っていた自分を心配してくれていたであろう人に対する呼びかけとしては、間抜けで少々失礼な問いかけだが、幸い相手は気にしてないようだ。
「ああ、そうか。アキちゃんにこの姿を見せるのんは初めてやったなぁ」
ポンと右の拳で左掌を打つと、その女性はクルンとその場でターンしてみせる……と、「バフッ!」という小さな爆発音とともに女性の姿が一変していた。
半白の髪を束髪(って言うんだっけ? 大正時代のご婦人みたいなヤツ)に結い上げ、推定年齢50代後半だけど、顔に皺やシミの類いはほとんどなくて、非常に健康的な感じだ。
服装は同じく着物姿ながら、濃い目の藍染めの縞模様とだいぶ地味になっている。
上品で優しそうな初老の婦人──って印象のその人のことを、俺はよ~く知っていた。
「え!? もしかして、岩永のおばさん?」
岩永さんは、ウチの隣の家に住む独身(正確にはバツ2らしい)女性だ。ウチとは家族ぐるみでつきあいがあって、俺や妹なんかは幼稚園に入る前から色々世話になっている。
子供がいないせいか俺達のことは甥姪か孫みたく可愛がってくれてて、下手な親戚なんかよりずっと親しい関係……のはずのその人は、心底申し訳なさそうに俺に頭を下げた。
「アキちゃん、今回のことはホント堪忍なァ。うちも妹に任せきりにせんと、もう少し気ィ張っとくべきやったわ」
??? 何を謝っているのだろう。
「あ、いや、顔をあげてよ、おばさん。そもそも、さっきの変装っていうか変身? みたいなのは何かってトコから聞きたいんだけど」
「そやなぁ。ほしたら、座れる場所用意しとこか」
パンッとおばさんが柏手を打つと、殺風景な部屋の中央にいきなり新たに2畳分の畳とそのうえに置かれた卓袱台が出現する。卓上には湯呑みと急須のセットに加えて、お茶請けの煎餅まで置いてあった。
「ちょーっとこみいった話やさかい、お茶でも飲みながら話させてな」
「は、はぁ……」
ワケがわからないまま、俺はおばさんに促されて卓袱台の前に座るのだった。
* * *
「えーと、つまり、岩永のおばさんは本当はとある神様の分身のひとりだったってこと?」
「そうや。“分霊”と呼ぶんやけどな。遥か天界におる本体に人間の立場から現世の情報を届けるのんが役目なんよ」
まぁ、ここまではいい。
おばさん本人への信頼と、さっきから見せられた一連の事象──変身やら卓袱台セットの出現やらを考え合わせると、おばさんが嘘をついてるということもないだろう。
「で、俺はさっきの化物に殺されて、今ここにいるのは魂とか霊体とかいう状態だと」
「うん。認めとうはないやろけど……」
「あ、いや、それは大丈夫。あんまり思い出したくないけど、死ぬ間際のことキッチリ覚えてるから」
あまり……というか全然有り難くない話だが、自分が死んだということについて“納得”はしてないが“理解”はしてるつもりだ。
問題はその先だ。
「──あの化物はこの世界にはいない、異世界から紛れ込んだ異物で、そのせいで本来あそこで死ぬはずなんてなかった俺の運命が捻じ曲げられてしまった、と?」
「そうなんよ。まったく、あの子も忙しいのはわかるけど、そういう境界の管理はキチンとしてくれんと(ブツブツ……)」
ここで言う“あの子”とは、おばさん(の本体)の妹である女神様で、現在、日本における異世界との交流を主に担っているらしい。
つまり俺は、神様の管理不行き届きで死んじまった、ってことかよ!?
「──その件については、申し開きのしようもありませんわ。此度の失態、誠に申し訳ありません、イワナガヒメ様」
と、そこで俺とおばさんが差し向かいですわっている卓袱台の横に、いきなり別の人(?)が現れた。
ピンクブロンドって言うんだっけ? どこぞの虚無メイジか魔法少女の守護者みたいな綺麗な桃色の髪をした、20代前半くらいに見える美人さんだけど……出現の仕方からして、この人も神様かそれに類する存在なんだろうなぁ。
「おや、ジオラちゃんが来たんかいな」
「はい、今回の一件につきましては、アールハイン側の責任者たるわたくしがイワナガヒメ様に直接お詫びを申し上げるべきかと思い……」
会話から察するに、アールハインってのがその異世界の名前で、この女性はそこの神様ってことか。
「謝るんやったらウチやのぅて、被害者であるアキちゃんにしといて」
「はい、それはもちろん──ササモリ・アキラさんですね」
神様かもしれない人にいきなりこちらに話しかけられたので、ちょっとビビる。
「あっ、はい。その笹森明です」
とは言え、これまでの話の経緯からすると、たぶん非は向こうにあるはずだから、ヘンに下手に出る必要はないよな?
「わたくし達の世界からの
「ああ、謝罪に関しては、岩永のおばさんに頭を下げてもらったので、俺の方はもういいですよ。それより気になるのは、俺の今後の身の振り方なんですけど……」
と、俺が切り出した途端に、気まずげに顔を見合わせるおばさんとジオラ(?)さん。
「その反応を見る限り、「神様パワーで即ふっかーつ!」ってワケにはいかないんですね?」
虫のいい話だとは思うが、せっかくモノホンの神様が来てくれたのだから、それくらい期待しても罰は当たらないと思う。
「残念ながら、ササモリさんの遺体が病院に収納されてしまいましたので……」
「江戸時代か、せめて明治の初め頃なら、こっそり蘇生してもよかったんやけど、現代日本かつ衆目にさらされた死者を復活させると、ウチらの
うん、まぁ、病気とか心臓発作とかならまだしも、俺の記憶だと心臓というか左胸を完全に踏み潰されてたからなぁ。確かにその状態から死人が甦ったらゾンビ扱い不可避だ。
「じゃあ、俺はこのまま天国だか地獄だか黄泉の国だかに飛ばされるんですか?」
「いえ、それではあまりに理不尽だということで、わたくしからひとつ提案があります。ササモリさん、わたくしどもの世界、アールハインに転生なさいませんか?」
! まさか、ここで異世界転生のお誘い!?
わざわざこう言うってことは、記憶とか意識の保持はしてくれるんだろう。
でも──今の高校生としての意識や知能を持ったまま赤ん坊からやり直すのって、逆にキツいような……。
「あ、その辺りは大丈夫です。“転生”と言っても、あくまであちらで身体を再構成するというだけで、肉体自体は貴方が死亡する直前と同様のものを用意しますから」
それを聞いて安心した。
とは言え、そもそもジオラさんが治めて(?)いるアールハインとやらが、どんな世界かわからないと不安なんですけど。
(世紀末ヒャッハーな無政府状態だったり、逆に超コンピュータに完全管理されたディストピアとかだと、ちょっとなぁ)
「安心しぃ、アキちゃん。ジオラちゃんトコは、アキちゃんがテレビゲームとかでよぅ遊んどるような“剣と魔法のふぁんたじー”的世界やで」
! マジで!? 行く、行きます、行かせてください!!
「(これ教えると日本人の方は大抵好反応になるんですよねぇ)は、はい、わかりました。わかりましたから、少し落ち着いてくださいね」
その後、ジオラさんから、具体的な異世界転生(というより体感的には転移?)に関する説明を聞かされた。
なんでも、俺みたいな異世界のモンスターに殺されたことへの弁償というのはさすがにレアケースらしいが、
で、正規ルートである神様による転移の場合、不慣れな向こうでの生活をフォローするために、ある程度の「
「とは言っても、“ぼくのつくったさいきょうのちょうじん”みたいなトンデモ能力は無理ですよ? あくまで、その人の魂が持つ
逆に言えば、キャパが許す限りでは複数のギフトをもらい受けることもできる……というか、よほどのことがない限り、汎用性の高いものを2、3個と独自性の強いものを1、2個というのが普通らしい。
「わたくしが担当する人にまずオススメしているのは、“言語理解”と“環境適応”と“身体能力底上げ”ですね。3つ目のはともかく、最初のふたつがないと、向こうでの暮らしがいきなりハードモードになりますから」
そりゃそうか。言葉がわからない状況で人と交流するのは難しいし、向こうの大気中の細菌とか広く偏在している物質とかが身体に合わなかったりするとシャレにならない。
「“身体能力底上げ(初級)”の方は、アキちゃん陸上部やったさかい、必要ないんとちがう?」
「うーん、どうかなぁ。部活を辞めて半年以上たつし。一応、朝のジョギングとか柔軟とかは続けてるけど」
現代人がクルマも電車もなかった昔の人と比べてひ弱だというのは、よく言われることだし。
「それやったら、いっそ“身体能力底上げ”の中級を付与してあげてんか。その分の
クリスマスプレゼントに不足分の金額の補填を申し出る、親戚のおばちゃんみたいなコトを言ってくれる。
おばさんの申し出は辞退しようかとも思ったんだが、「せめてもの餞別に、これくらいさせとぉくれやす」と言われては、断れない。
「あとは形に残るモンも持たせてあげたいんやけど、たしか地球の物品の直接持ち込みには制限があるはずやし……そや! ジオラちゃん、あんたとサクヤちゃんのお気に入りで変わった能力持っとる子がおったやろ。あの子に協力頼めへんかなぁ」
「フミナリーのお店ですね。ええ、確かにあれなら制限を受けずに済むと思います。そうですね、事前にわたくしから話を通しておきますから、アチラに送った際、まずあの子の店に出るようにしておきましょう」
よくわからないが、話の流れからして、便宜をはかってくれるらしい。
「まぁ、それは後々の話として、アキちゃん、メインとなる固有権能は、どんなんが欲しい?」
いや、いきなりそう聞かれてもなぁ。
「そうですね。非汎用タイプのギフトは本当に千差万別ですので、アドバイスもしにくいのですが……」
と断ったうえで、ジオラさんが説明してくれた。
「まず、大雑把に分類するとすれば、魔法系、身体強化系、エネルギー操作系、生産系の4つが挙げられるでしょうね。無論、この4つに含まれない特異なギフトも存在しますが」
魔法系は特定の魔法の強化や変質(“魔法の習得”自体については汎用で相当するものがあるそうな)。
身体強化系はそのまんま筋力や耐久力、スピードといった特定の身体能力を非常識なまでに強化し、かつその反動を極限まで抑えるタイプ。
エネルギー操作というのは、目からビーム撃ったり、波●拳出したり、自力でバリヤー張ったりといった感じの、要は一番必殺技っぽいもの……らしい。
で、生産系は読んで字の如く「魔力なり生命力なりを代償に何かを生み出す能力」あるいは「天才的技量で素材を加工して飛び抜けた品質・技術力の製品を作る能力」なんだとか。
その説明を聞いて、俺の中にひとつのイメージが湧いてきたので、ジオラさんに提案してみる。
「──って感じなんですけど、どうでしょう?」
「そうですね……うん、問題ないでしょう。できるだけササモリさんの希望に沿うギフトを付与しておきますね。計算したところ、まだほんの少しキャパシティに余裕がありますから、“魔法習得(初級)”には足りませんが、その一部である“利便魔法習得(初級)”も付けておきましょう」
利便魔法というのは、“可燃物に火を点ける”、“ランプ程の明るさの灯りを生み出す”といった、まさに“知ってると便利なちょっとした魔法”の系統なんだそうな。
「もっとも、初級ではたいしたことはできませんが……そのほかは“コップ一杯程度の水を生み出す”、“体に付着した汚れを落とす”、“うちわで扇いだくらいの風を生み出す”といったところですね」
び、微妙だ。とは言え、野外で冒険という名のサバイバル生活してる際には、どれも地味に役立つかな。
「それでは、早速ですがアールハインに向かってもらってよろしいですか?」
「あ、ちょっと待ってください!」
俺はジオラさんにタンマを申し出て、岩永のおばさん(本当はイワナガヒメという神様らしいけど)の方に向き直った。
「その……可能ならでいいんで、ウチの家族には、俺が別の世界で元気にやってるってことを伝えてもらえないかな?」
「うーん、直接口頭でというんは難しいけど……まぁ、アキちゃんの家族3人にこっそり同じ夢を見せるくらいやったらアリかなぁ」
ああ、それで俺が異世界で元気にやってる姿を見せる、と。3人揃って同じ夢を見たなら、まったくの妄想じゃないとわかるだろ。
「加えて、あちらで何処かのわたくしの神殿まで来ていただければ、一度だけ、手紙をお預かりしてこちらに届くようにしましょう」
うん、詳しい事情説明とかは、その手紙ですればいいか。
そうして後顧の憂いをできる限り断った俺は、今度こそ未知なる異世界──アールハインに旅立ったのだった。
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