【カクヨム短歌賞】中間選考会のようすをお届けします(前編)

「カクヨム短歌賞」10首連作部門は、11/16(日)に中間選考会を行い、最終選考に進む10名のファイナリストを決定いたしました。
ファイナリストは、以下の記事でお知らせしています。

kakuyomu.jp

中間選考においては、3名の選考委員が1,783作から事前に選んだ上位15作(全38作)を議論の対象としました。
この記事では、どのような議論を経てファイナリスト10名が決定したのか、中間選考の記録をお届けします。

※前編、中編、後編の3回にわたってお届けします。この記事は「前編」です。

選考委員(50音順)

青松輝

1998年生まれ。YouTubeでも活動。歌集『4』(ナナロク社)。

郡司和斗

1998年6月生。茨城県出身。第62回短歌研究新人賞、第4回口語詩句賞新人賞受賞。著書に歌集『遠い感』(短歌研究社)、川柳句集『ヒント』。短歌アンソロジー『海のうた』、『月のうた』、『雪のうた』(いずれも左右社)に参加。歌誌「かりん」、俳誌「蒼海」、文芸同人誌「焚火」所属。修士(専門職)。専攻は不登校研究。高校教員。

初谷むい

1996年生まれ、北海道在住。第一歌集『花は泡、そこにいたって会いたいよ』(書肆侃侃房)、第二歌集『わたしの嫌いな桃源郷』(書肆侃侃房)、第三歌集『笑っちゃうほど遠くって、光っちゃうほど近かった』(ナナロク社)。共著に『スペース短歌』(時事通信社)。

各選考委員の上位15作

中間選考会にあたり、選考委員がそれぞれ選んだ上位15名は以下の通りです。

順位初谷むい郡司和斗青松輝
1小池耕甲斐相澤零
2由良鴻波穴根蛇にひき椎本阿吽
3@sknct834194高橋寧高橋寧
4篠原仮眠夜羽ねむる紺野藍
5夜夜中さりとて瀬斗みゆき篠原仮眠
6烏海大智京野正午植垣颯希
7水埜青磁篠原仮眠瀬斗みゆき
8綿引つぐみ唯織明なかの
9巣々木盥瀬名蛍甲斐
10太朗千尋たべ山湯島はじめ
11織原禾夜夜中さりとて緑川すに
12京野正午榊隆太山口遼也
13砂崎柊阪口十和仲井澪
14羽水繭川口番志田冷
15品口回ロ衣井くう小杉セオ

選考会

全体の印象

――まずは全体の印象や、どのような基準で上位15作を選んだかを伺っていければと思います。初谷さんから順にお願いいたします。

初谷:はい。全体として本当にレベルが高く、読んでいてすごく楽しかったです。1,700以上の10首連作を選考するのは大変ではありましたが、それ以上に作品のきらめきを味わえて、読むたびにワクワクさせていただきました。選考基準として、1首単位でおもしろいのは当然ですが、私はタイトルを含めて「10首の連作(ひとまとまりの作品)としてよいか」という感覚を重視しました。また、読者にとって「わかる」部分と「わからない」部分のバランスも大事だと考えています。たとえば、すぐには内容を理解できなくても歌の中に何かとっかかりがあればおもしろく感じられる可能性があるし、内容が完全に理解できてもそれだけだと味気ないかもしれない、というようなバランス感覚を大事に考えた、ということです。本日は私たちなりのベストを尽くして、真剣に向き合いたいと思います。

郡司:ありがたいことに応募数が多くて正直身構えたんですが、いざ始めてみると一気に読み進められました。読むたびに新しい発見があって、非常に楽しかったですね。選考基準としては、技術はもちろん大切なのですが、単にうまいだけではなくて「何を書くか」に技術が付随していることを重視しました。直感的にピンとくるおもしろい歌があったかどうかも見ています。今日はよろしくお願いします。

青松:全体的に作品の質はとても高く、今後の短歌というジャンルに希望があると感じました。残念ながら選ばれなかった方にも、短歌を書き続けてほしいし、来年も応募してほしいです。選考基準は、3つ設けていました。まずこの連作が2025年に短歌として書かれ、読まれることにどれぐらい意味があるかという「現代性」。次いで、テーマや実現しようとしていることを支える技術が備わっているかという「技術性」。そしてその作品がどうしても書かれる、または読まれる必要があったかという「必然性」です。さらにここから最終候補を選んでいくにあたっては、この人に追加で20首を書いてもらったらすごい歌を作る可能性があるかどうか、その人を通過させたということを落ちた人にもちゃんと説明できるか、という点も加味して審査します。

――ありがとうございます。それでは、候補者から10名のファイナリストを選んでいきたいと思います。みなさんに選んでいただいた上位15名のうち、それぞれの8位以上の人たちで人数が20名となります。まずはこの20名について議論し、続いてそれぞれの9位以下から個別に取り上げたい人を取り上げて議論していく、という形で進められればと思います。

甲斐『爪未満』

※作品の画像をクリックすると作品ページへ遷移します。

郡司:1位で取りました。どの歌にも力があり、1首だけが変に目立ってほかの歌が引き立て役になるような事態が起こっていない。このバランス感覚がすばらしいと思っています。〈駅が代わりに育ててくれたラベンダー みんなもそうだけど気付かない〉〈そうかな 顔が貯蓄をはじめたらテーブルの脚まで痣まみれ〉のような、特に結句でグッとこちらに迫ってくる歌に特に注目しました。〈どこで読んでもわたしのことを書いている夏の光だ褒めてあげよう〉なども結句がおもしろいですね。上から目線で、光を単に擬人化しているだけではなく、すこしねじれた視点を付け加えている。タイトルの『爪未満』も「こういうタイトルだからこういう歌が入っているだろう」という想像がつかず、控えめなようでいてすこし違和感がある、不思議な塩梅でよかったと思います。

青松:僕は9位で取りました。固めの定型(57577のリズム)感覚の中で〈まぐれでも当ててくれ〉のようなざっくりとした口調と、〈濡れた猿〉〈黒い蜻蛉〉のような抽象っぽいモチーフが同居しているのが技術的に巧みだと思いました。ただこの作風は、平岡直子*1や我妻俊樹*2のような先行の歌人の影響がはっきり見える気がしてしまい、「現代性」「必然性」の観点で上位には推し切れず9位としています。

初谷:私は15位以内には入れていませんが、この連作の歌がどれもすばらしいことには賛成したいです。ただ、連作としてのよさ、つまり「連作にすることで1首で読むよりもよさが深まっているか」というポイントが私には見つけられなかった。1首それぞれの抽象度が高くて意味を取りづらいからこそ、連作としての工夫をもっと見たかったと惜しい思いでした。またどの歌も、「この枠組みにこういう言葉を嵌めると秀歌ができる」という方程式どおりに作られている印象も抱きました。それもまた作家性かもしれませんが、どうしても言葉が交換可能に思えてしまい、推し切れませんでした。

郡司:「方程式」が見えることには同意です。その上で僕は10首の中で方程式が透けて見える点、むしろあからさまに見せている点に連作としてのおもしろさがあるのかなと思いました。それはつまり文体が出来上がりつつあることと同義だとも思うんです。まだまだこの人だけの研ぎ澄まされた文体とは言えないかもしれませんが、応募作の中では総合力がピカイチだと考えます。また、連作という形式に疑いがなさすぎる連作は、逆にすこし物足りないといいますか、いま初谷さんがおっしゃったような批判が入る隙があるほうが、短歌としては評価すべきかなという気がします。

青松:僕も郡司さんと近い意見で、システムが見える点に連作としての価値があると考えます。ほかの賞では「ストーリー」や「テーマ」を中心に連作が読み解かれることが多く、「システム」のおもしろさはなかなか評価されづらい。システムが見えるということは、作者の短歌観がはっきり見えるという意味ではポジティブなことなので。僕としてはここまで一貫して「システム」をやり切っていることを評価したいです。

小池耕『戦隊モノ』

初谷:どの作品を何位にするか何度も迷ったのですが、最終的には『戦隊モノ』が断トツ1位になりました。短歌連作の登場人物って、一般的には「わたし」だけの1人か、「わたし」と「あなた」の2人であることが多い。でもこの連作は、1首目の〈三人で描いたトリケラトプスだよ 角を一本ずつ塗ったんだ〉からわかるように3人いるんです。3人は「ズッコケ三人組」のような3人セットでもあり、それぞれが独立した主体でもあって、そのいろいろな側面を歌からうかがえるようになっている。〈ひどい手ぶれも腕前でしょう三人の夏にとどめを刺す百合畑〉のような1首単位でかっこいい歌がある上で、この「3人」というスパイスによって連作としてのおいしさが増幅されていました。また、連作として成功するには「わかる」箇所と「わからない」箇所を連作全体のバランス感覚の中で適切に配置する必要がありますが、そのバランス感覚も優れていたと感じます。これはイメージとしては、ボルダリングの石のようなものだと思います。掴める場所が全然ないと登れないけど、多すぎても迷ってしまって登れない。適切な配置であれば、迷わずに登っていける。そういうモチーフや語の絶妙な配置をすばらしいと感じました。

青松:「3人」の新しさはなるほどなと思いました。ボルダリングの石の話は、具象と抽象のバランスだと理解しています。『爪未満』は抽象度の高い連作でしたが、『戦隊モノ』は具体的なイメージを思い浮かべやすいモチーフとそうではないモチーフが適度に配置されていて読みやすい。ただ僕としては、もうすこし際立った歌があと1、2首ほしかったです。あくまで僕の基準の中で、にはなってしまいますが。また〈半剣弁高芯咲きを繰り出して敵を倒していく薔薇忍者〉の〈薔薇忍者〉みたいなユーモアの方向性がやや無防備というか、この作者が独自に生み出したのではない、インターネットやSNSの感覚の中でなんとなく出てきている表現という印象があり、そこが気になりました。

郡司:口調から、すこし幼い主体が想定されます。そういうふうに語り手の姿が分かるように作られている点では、初谷さんの言う連作としてのまとまりは担保されていると思いました。一方で、その割には語彙が妙に大人っぽいことに疑問を持ってしまいました。〈とどめを刺す百合畑〉という詩的な処理をした表現が、〈角を一本ずつ塗ったんだ〉とか〈ろくろっくびといったんもめんは末永くむすばれました みんなでみたよ〉という口調の人から出てくるのかなぁという。千種創一*3の『あやとり』に近い操作性に見えて、成功しているのかちょっとためらいました。

初谷:私は、その「ズレ」こそがおもしろいという意見です。戦隊モノのヒーローショーのように、ヒーローを演じているけれど、素の自分がすこし透けて見える、みたいな。それが単に可愛らしいだけではない、独特の渋みをこの連作に与えているんじゃないかなと思っています。

相澤零『イタリア』

青松:『イタリア』は、応募作の中でもっとも驚きがありました。この方向性で、これだけのクオリティで書ける、まったく名前を聞いたことがない人がいるんだという。〈水晶は割ってはじめて武器になる お母さんたかいたかいたりない〉〈雲を突き破る飛行機 旧約に目を落としたら昔の技術〉という1首目、2首目の質が非常に高い。〈お母さんたかいたかいたりない〉も〈旧約に目を落としたら昔の技術〉も、前半の文脈からは普通出てこない、急なシフトチェンジなんですが、きちんと成立しているのがすばらしいです。〈水晶〉〈東京〉など全体的にクールでべたつきがないモチーフを使いながら、〈キス〉〈服を脱いでいる〉といった身体的なモチーフが入ってくるバランス感にも惹かれました。抽象的で難解な作風や、後半のセクシャルな展開は好みが分かれるかなと思いましたが、センスでギリギリ成立させているこの危うさも含めて僕は好きでした。

郡司:おもしろいと思います。一首目、〈水晶は割ってはじめて武器になる〉の上の句では、ギザギザの断面を直接描写するのではなく〈武器になる〉という言葉でそう思わせているところなど、叙述のしかたが巧みだと思いました。そこで「イタリア」というタイトルも効いてくる。カラフルな光が乱反射するイメージから連作がスタートするというムード作りの方法にも感動しました。ただ僕は、後半の展開がやはり気になります。10首という短い枠組みなので、前半の硬質でキラキラした雰囲気のまま突き抜けてもよかったのではないかという。

初谷:私も同じく、前半と後半の分離が気になりました。グラデーションができていればいいのですが、5首目と6首目に明確な境目があるように感じます。また、タイトルの『イタリア』については、もっとこの連作をよくするタイトルがあったのではという気がしてしまいました。この抽象度の高さは、タイトルでもっとはっきりと方向性を示してあげたいタイプの連作ではないかと思ったので。

青松:たしかに、後半への展開が急というのはあるかもしれません。ただ最後、10首目の〈鴇色にもえる裸体が見えている暖炉のそばで雪が編まれる〉がいい歌なので、そこで統合できたというのが僕の中での感覚ですね。タイトルは好みの問題もありますが、連作中に出てくる〈プラダ〉や、連作中に出てくる緑・白・赤のモチーフとの関連も、読み取ろうと思えば読み取れます。『イタリア』は僕はいいタイトルだと思いましたね。

篠原仮眠『ねがって』

初谷:4位で取っています。とにかく、すごく好きでした。小さくて光沢のある語彙が散りばめられていて、スノードームをひっくり返してキラキラ光らせているような連作です。言葉は平易で情報量は少なめなんですが、それでも歌に力があるのは、作者の発想力と技術によるものですね。〈あなたといる あなたは花のお友だち 疲れても花々をかたどる〉のような歌の「あなた」という言葉の使い方がとてもよくて、誰なのかはわからないけどとくにかく特別な人なんだ、ということだけがはっきり伝わってくる。『ねがって』というタイトルも含めて、可愛くて優しいんだけどちょっと切ない雰囲気が連作全体にあって、すばらしいと思いました。

青松:5位で取りました。正直、篠原仮眠さんのことはもともと知っていて、いい歌を作る方だというのはわかっていました。だからこそかなりハードルを上げて読んだのですが、そのハードルを上回る作品だったので、5位に入れています。初谷さんのおっしゃるような、可愛らしさがあってキラキラしていてすこし切ない、というラインに的確に当てていくことができる。短歌1首を成立させるための様々なパターンを持っていて、しかもそれが連作として統一感がありました。

郡司:同じく、すでに名の知られた作者なのでハードルは非常に高かったんですが、水準の高い歌が多く、これを上位に上げないのはさすがにおかしいだろうと思って7位にしました。〈八月のカービィに雪が積もってる 嘘の雪と嘘じゃないカービィ〉。よくわかりやすい歌です。ゲーム画面か何かだと思うのですが、八月に雪が存在するのは演出だから〈嘘の雪〉だけど、カービィは存在そのものがフィクショナルだから、ゲームや広告の中であってもそこにいる〈嘘じゃないカービィ〉と断言する。すごく読者サービス的な作りの歌だと思いました。タイトルも『ねがって』なので、「星」つながりでしょう。そして連作の最後のほうに〈八月が七月をぜんぶ食べてしまう 九月も来る 占いのマシーン〉という歌がある。八月の話で連作が始まって、また八月や前後の月で連作をまとめるという目くばせは、人によっては安易で評価ポイントでもないと思うかもしれませんが、この連作ではスピード感があってマッチしていると思いました。

青松:この1首目は、ロジックが透けて見えすぎているという側面もあると思います。「虚構にさらに虚構を重ねることで、元々あった虚構が逆に本物になる」という連作全体を貫くロジックが1首目に置かれることで、ほかの歌が読みやすくなっているのはいいことなんですが、ちょっとあからさまでもある。

初谷:ロジックが見え透いているというのは、1首目だけでなくほかの歌にも言えることではありそうですね。変なことを言っているようで、意外とちゃんと論理的な裏付けがある。そこはむしろ歌へのわかりやすいとっかかりとして評価すべき点かなと思いました。「論理的である」ことによって、読者自身の理屈に落とし込みやすくなり、独特の世界観に入り込みやすくなる効果があると思います。

郡司:そうなんですよね。突飛な歌を作りたければそうできると思うんですが、読者がついて来られるかどうかを気にして、緩めたり速めたりしている。ロジックや手の内をどのくらい見せ、どのくらい見せないのかの調整が非常に上手だと思います。

高橋寧『GINGER』

郡司:3位で取りました。野球で言うところの決め球をたくさん持っている連作だと思います。作中のフレーズがそれ単体で度肝を抜かれるというほどではないのですが、組み合わせによって強く心に響きました。たとえば1首目の〈薔薇のジャム溢れるほどに一瞬の力ですべて信じてみせて〉では、〈薔薇のジャム溢れる〉というドロドロしたイメージが〈一瞬の力〉という開花を思わせるイメージと組み合わさって、鮮烈な印象を与えています。〈八月を八回ループするような熱狂、二○○九年の波動〉も、〈八月を八回ループする〉は単調でダルそうなのに、〈熱狂〉と言われると意外で新鮮味がある。『涼宮ハルヒ』とかですかね。こういった歌が続いたあと、連作の終盤で〈さよならは花に嵐のストレートフラッシュ そして夜は終わった〉によって、連作の中に出てきた花的イメージがあらためて頭の中で再構築されるような気持ちよさがありました。

青松:同じく3位で取っています。この作者は当て感が優れていて、1首目の〈すべて信じてみせて〉のような大きいフレーズを短歌として成立させるのはなかなか大変だと思うのですが、成功しているのは〈薔薇のジャム〉という名詞や〈溢れるほどに〉という副詞の斡旋が巧みだからでしょう。2首目も『涼宮ハルヒの憂鬱』の「エンドレスエイト」という大ネタの引用ですが、作品ではなくそれを取り巻く2009年の雰囲気にフォーカスするという手法によって、1首として成立させている。技巧にとても優れた作者だという印象でした。

初谷:私も、技術が非常に優れている連作だと思いました。かっこいいことを言っているのにまったく滑っていないし、危なげもない。どの歌も本当にすばらしいと思います。特に連作の終わり方ですが、〈そして夜は終わった〉で終わりたくなるところを、そのあとに〈自画像の赤らむ頬が痩けていくこれからをいまから思い出す〉まで続ける。きれいに閉じるのではなく〈いまから思い出す〉で広がりを見せて終わるのは、とてもお洒落だと思いました。上位に推し切れなかった理由は、すごく上手ではあるんですが、その上手さの中にこの作者の姿や信念やこの人だけの味、「何を絶対に読ませたいか」という内面が見えてこなかったことです。極論ですが、「ものすごく歌が上手くなれば、この人じゃなくてもこれを書けるんじゃないか」という気がしてしまった。それで、取り切れなかった。でも改めて読むと、やはりとても上手い、いい連作だと思います。

青松:上手すぎる、作者のキャラクターが見えてこないという点についてはわからないでもないです。この作風は実際、カクヨム短歌賞の応募作の中では王道路線で、「この作品がどう特別なのか」は確かに見えづらかった。ただ僕は、ど真ん中のかっこいい短歌を作ろうという姿勢を評価したいと思いました。

郡司:僕も、初谷さんの言うことは非常によくわかります。ただカクヨム短歌賞では王道でも、歌壇というか、短歌の世界全体の中ではまだこの作風は「上手すぎる」「他の人でもこれ書けるんじゃないか」と批判されるフェーズではない、まだそこまで認められていないのではないかと思います。僕としては、もう少しだけこの方向性を応援したい気持ちがあります。


前編はここまでです。
中編はこちらからお読みください。

kakuyomu.jp

注釈

平岡直子
歌人。歌集に『みじかい髪も長い髪も炎』(本阿弥書店)。
我妻俊樹
歌人。歌集に『カメラは光ることをやめて触った』(書肆侃侃房)。
千種創一
歌人。歌集に『砂丘律』(青磁社)、『あやとり』(短歌研究社)など。

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