邪な夢

羽水繭

邪な夢


ひきだしのスペアボタンに朝を告げ空想は重力を帯びてくる


紫のくらげの癒着するようなねむけが夏のつむじに太る


ひかりすぎている日差しをよけられずプール開放みたいなあくび


恋人の星占いを先に見てそのあとわたしのも見てくれる


ここが行き止まりだったら言えるのにまわりつづける回転木馬


背泳ぎのかたちに眠っている君の横をもぐって鮫になりたい


いつか打ち明ける日のためくちびるを火山のように尖らせている


邪な夢をみるのにふさわしい陽の色をしていて眠れない


しあわせにすると誓えば咲きかけの野ばらの茎を切ってもよくて


神様もわたしも真顔 金星がふるえだしたら瞼をとじる

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邪な夢 羽水繭 @ussui3

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