静かな冬の中に情熱のように燃える想いが見え隠れするのが非常に良いと感じました。寒さや仄暗さが纏う冬という季節の、そこから見える雪や透明なものたち、そして染み入るような音と優しさ。まるで作品の中の感情に呼応するかのように響き合っているのが印象的です。 『爪先に〜』や『冬硝子〜』の作品は自分には書けない角度と語彙であると感じました。 そして『薄氷の〜』の作品。本来であれば嬉しいはずの春が冬の情景と共に描写されている言葉の連なりから、寂しくて切ない別れの表層になるのがお見事だと感じました。
繊細で詩的なフレーズが随所に現れてくる、印象深い連作です。夜の詩の余白に眠る鳥たちは古い言葉で愛を指します例えばこの3首目は、詩の余白に鳥たちを感じ、さらにその鳥たちは古い言葉では愛という意味なのだと言って、その美しい飛躍に驚きながらも、その世界観に陶酔させられてしまうのです。聴覚を優しく刺激する優れた口語短歌集でしょう。推し短歌1首。鉄琴に余韻は深く沈みこみ螺旋を描いて醒める夢から
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