生々しい言語表現が胸に刺さるようでした。人は、どうしようもなさを抱えながら生きていくものですが、その折り合いはわだかまりとして心の中に泥のごとく沈んでいく。けれど、短歌が救いだと思うのは、そのような感情を作品として三十一文字に変容できることだと私は思います。
心に刺さる棘を踏みしめながら静かに余韻に浸りながら、三十一字に想いを馳せました。『この恋を〜』はうまくいかなかった気持ちを透明という形容で突きつけてくるし、『不機嫌で〜』には憧憬の対象の軽やかさの対比が非常に良くできていて。
願わくば、悲しみに気づくことができる人が増えてくれることを祈りながら。