すごい詩だ。
「君だけいない夏が来るんだ」——この一行で全部終わってる。秋冬春と過ぎて、また夏。時間は進む。君だけ置いていって。
残酷?いや、違う。これがリアルだ。
作者は賢い。泣かない。ただ夏を描く。夕日、波、風鈴。去年は二人で見た。今年は一人。この差が、喪失の全てだ。
お盆のシーンがいい。「また来るよ」。でも来ない。和菊と涙は枯れる。
なのに最後、「さよならは言わない」と言い切る。
なぜか。簡単だ。君は夏の中にいる。永遠に。これは慰めじゃない。作者が見つけた真実だ。
この詩の凄さは、誰でも書けそうで書けないところ。シンプルな言葉が、心臓を撃ち抜く。これが本物の詩だ。
みんな誰かを失う。そして夏は来る。この普遍的な痛みを、これ以上純粋に表現した詩を僕は知らない。