藤澤勇樹

この連作を読み進めていくうちに、 「え、何これ？」 という気持ちがどんどん強くなっていった。 「激突は無音で見るとおもしろい　ピンクのイルカ　英語の俳句」 を読んで、もう頭がぐち…続きを読む

この連作を読み進めていくうちに、心の中で色とりどりの空が広がっていった。 「暁を染め上げていく赤色は君の希望が届いた証」 の歌から始まって、もう色彩の世界に引き込まれてい…続きを読む

この連作を読み進めていくうちに、自分の中の記憶が静かに動き出した。 「地元とは呼べないけれど簡単に手放すべきじゃなかった居場所」 の歌から始まって、もう心を掴まれている。 誰も…続きを読む

この連作を読み進めていくうちに、心が次第に引き込まれていった。 「背徳の蜜 抗いて」という歌で、何となく心がざわつき始める。 叶わない想いの甘さと苦さを、こんな風に表現するのかと…続きを読む

短い詩なのに、読んでいると心が軽やかになる。 「うずうずしてて」という言葉にほっとした。 歌いたくなる気持ちから、みんなで歌いたい気持ちへ。 その変化がとても自然に描かれている。…続きを読む

ボウフラという小さな存在が語る連作短歌に、 思わず心を奪われた。 「空を夢みる」水たまりの住人が、 やがて自分の運命を知る瞬間の静謐さ。 最後に羽への憧れを歌う希望の輝きが、 …続きを読む

静かな短歌の世界に迎えられた。 「離陸した雀にうずたかくひかる都市工学の射程はどこまで」 という冒頭の一首が心に響く。 特に「まなうらの幽霊たちを躍らせてしんしんと降るまひるの…続きを読む

この10首連作に出会ったのは、蝉の声が響く夏の日だった。 「やわらかな　きみを抱きしめ　春が吹き」の冒頭から、 まるで風に包まれるような心地よさを感じた。 特に印象的だったのは…続きを読む

この短歌を読んだとき、まるで宇宙空間へ放り込まれたような感覚を覚えた。 ロケットや火星のタコ、ブラックホールまで、宇宙の不思議な言葉がまるで日常会話のように飛び交う。 現実から…続きを読む

この作品を読んでいると、憧れていた青春の姿が目に浮かんでくる。 海辺のデート、夏祭りの浴衣姿、そして花火大会。 どれも青春といえる場面で、短い言葉で綴られた想いが瑞々しい。 特…続きを読む

5歳の時の父の言葉が、大人になった今も鏡の前で響いているという冒頭に、胸が詰まった。 「白い鱗たち」が首から剥がれ落ちる描写が、なんとも生々しく美しい。 ふくらはぎに咲く「歪な花…続きを読む

好きだよと言われた瞬間を残したい」から始まり、「割れ画面見続けてたら見えてきた知らないひとと歩いてる君」で終わる10首の物語。 この短歌集は、スマホという現代の道具を通して恋愛の…続きを読む

ザッハトルテが孤独死を編み、サヴァランが傷跡を許す。 この詩は、甘い菓子の名前で人間の痛みを包み込む。 「正常と異常のミルフィーユ」という表現に、感情の層の複雑さを見た。 私も…続きを読む

森でクマに出会った恋人探しから、火星で重力に抗う僕たちまで。 この短歌は現実と妄想を自在に行き来する。 「君の目の青い虹彩煌めいて殺人ビームが僕を撃ち抜く」の一首に、恋の破壊力を…続きを読む

「風花のように儚く散った」努力の結末から始まる10首の物語。 「この手で星（きぼう）をつかみにいくんだ」という言葉に、諦めない心の炎を見た。 特に印象的だったのは「弱さを抱いて明…続きを読む

智慧（アーダス）という名の花から始まる詩の世界。 「こゑなきこゑが胸をたたいた」という一節に、言葉にならない想いが立ち上がる瞬間を見た。 母の背でまどろむ場面では、自分…続きを読む

古い稗官の語りに耳を傾けるような、不思議な時間が流れ始めた。 月より美しい妻を求めた画家の物語に、中国古典の香りが漂っている。 「馥郁とした甘い桃の香」という一行が、物語の奥深さ…続きを読む

お笑いコンビの掛け合いに歌詞を巧みに織り込む発想に感心した。 アイドルになりたい糸川と現実的な東田の対比が絶妙で、思わず笑ってしまう。 特に印象的だったのは、歌詞を会話へ自然に溶…続きを読む

ある日突然、世界から色が消えてしまう。 そんな絶望的な状況の中で、夢だけが色彩を保っていた。 少女ノアが夢で出会う青年と青い花の描写が、とても美しく心に響く。 現実と夢の境界線が…続きを読む

「文学賞の一次選考で何度も落とされる」という経験を詠んだ短歌を読んだ。 酒を買って帰る夜、メイクも落とさず倒れ込む姿に、創作を続ける人なら誰もが感じる挫折感が重なる。 特に「『文…続きを読む

日常の小さな発見を五七五に込めた作品と出会った。その時、思わず自分の毎日を振り返ってしまった。 昭和の年賀状や赤べことの対話、木の根元をつつく小さなキツツキまで、見過ごしがちな瞬…続きを読む

「夏を描く白さに長けるオレンジで」という冒頭から、もう心を掴まれた。 画用紙の中でぐるぐると塗り広がる色の世界に、子どもの頃の自分を重ねてしまう。 この作品の魅力は、見過ごしがち…続きを読む

短歌という小さな器に込められた、 静かな観察の力に心を打たれた。 蝉や金魚といった身近な生き物が、 作者の内面と対話している。 特に印象的だったのは「雨」の一首だ。 窓際の珈琲…続きを読む

「またあした」という別れの挨拶に、こんなにも温かな意味が込められていたのかと気づかされた。 子どもたちに向けられた優しい言葉の数々が、読み進めるうちに大人の心にもじんわりと響いてく…続きを読む

約束や別れ、春の訪れといった日常の情景が、神や愛といった普遍的なテーマと重なり合う。 「やわらかな皮の向こうにひんやりと心が住まう」という表現には、身体と心の境界を超えた詩的な発見…続きを読む

ラムネの泡がしゅわしゅわと弾ける音に、夏の記憶が蘇る。 作者の短歌は、そんな日常のささやかな瞬間を丁寧に掬い取る。 蝉の声に負ける風鈴、テスト明けの朝日、ひそやかな逢瀬。 どの歌…続きを読む

テイラー・スイフトからジョルジョ・サンドまで。 一首の短歌に続く知的なエッセイが、まるで文学講義のよう。 セルゲイ・ポルーニンという破天荒なダンサーの人生を追う第3話は特に印象的…続きを読む

竹取物語のその後を描いた、たった900文字の物語に出会った。 かぐや姫が月に還ってから三月、帝の心境を短歌と散文で綴る作品だった。 「眺むれば夜空に浮かぶ哀しみよ　愛しき君の横顔…続きを読む

学校の怪談や都市伝説を短歌に込めた、珍しい形の怪談集に出会った。 肝試しで繋いだ手の冷たさ、おかっぱの少女、見知らぬ子の正体。 どの歌も子供の頃に感じた「何か変だ」という感覚を呼…続きを読む

「ゆうきくん」という呼びかけから始まるこの短歌連作に、心を動かされた。 祭りの喧騒から花火の静寂まで、二人の時間が丁寧に描かれている。 特に印象的だったのは、最初と最後で同じフレ…続きを読む

細長い秘密基地で始まる物語に、なぜか懐かしさを覚えた。 ベランダの枯れかけたネギと、溶けかけたアイスと、入道雲。 夏の記憶が鮮やかに立ち上がってくる。 でも物語は次第に重くなって…続きを読む

恋人を失った心境を6首の短歌で描いた、切なく美しい作品だった。 「影も踏ませぬ あの人のことを」という表現に、届かない想いの深さを感じた。 特に印象的だったのは、「シャンプーの泡…続きを読む

短歌という短い形式の中に、日常のささやかな憂いや季節感が丁寧に込められている。

「おセンチ」という言葉が象徴するように、どこか懐かしくて切ない気持ちが作品全体を貫いている。

毎日の通勤電車が、こんなにも愛らしい世界だったなんて。 真っ黒なスーツの後ろから「ひゃっはー！」と顔を出す梨の妖精に、思わず笑みがこぼれた。 彦根のモチ猫を探すのに夢中で、目の前…続きを読む

ゲーミング畳で極楽を想う発想に、思わず微笑んでしまった。 縁側でスイカを食べたことがない、という告白が妙に胸に刺さる。 夏への憧れと諦めが、短い言葉に込められている。 私もまた…続きを読む

この短歌集を読んで、学生時代の恋心を思い出した。 月の満ち欠けを恋の行方に重ねる感性が懐かしい。 図書館でのカップルを見た時の心の動きが巧みに詠まれている。 私もまた、そんな瞬…続きを読む

夢うつつのような短歌6首が、女の子の心の内側を覗かせてくれる。 色男への憧れから赤いパンプスまで、キラキラした少女心が短歌に踊る。 私もまた、夢と現実の狭間で揺れる心を思い出し…続きを読む

この短歌を読んでいると、誰もが経験したであろう青春の記憶が蘇ってくる。 「あの子がアイツの彼女かよ」という率直な表現が、どうしようもない嫉妬心を見事に捉えている。 ブロックされ…続きを読む

色の名前だけでこれほどまでに心が動かされるとは思わなかった。 黒と赤で病を、青の濃淡で絶望を、そして赤白黒で別れを歌う。 特に印象的だったのは、「深藍」までたどり着いた海の底の場…続きを読む

手首の傷口から星が見えるという幻想的な出だしに、思わず息を止めた。 プロミネンスという太陽の炎を血潮に重ねる表現が、痛みを美しい光景に昇華している。 わずか3編の短歌でありながら…続きを読む

廃トンネルから病院まで、定番の怖い場所を舞台にした短歌形式の怪談集。 「窓には手形」「一人足りない」といった短い描写が、読者の想像力を強く刺激する。 現代的な恐怖体験を古典的な短…続きを読む

暑い夜にスタバで涼を求める気持ちから、子どもたちがしゃぼん玉を追いかける無邪気な夏の午後まで、誰もが体験する夏の小さな出来事を丁寧に拾い上げた作品です。 私もまた、肝試しでの手を…続きを読む

すごい詩だ。 「君だけいない夏が来るんだ」——この一行で全部終わってる。秋冬春と過ぎて、また夏。時間は進む。君だけ置いていって。 残酷？いや、違う。これがリアルだ。 作者は賢…続きを読む

ふと、世界から色が、音が、味が消えていったら、と想像してみる。 『失感』という短い物語は、そんな静かな喪失を淡々と描く。 主人公から、味覚、嗅覚、聴覚、そして視覚が、まるで潮が引…続きを読む

短い作品の中に、人類の好奇心と未知への恐怖が巧妙に織り込まれている。 コラ半島の超深度掘削坑という実在する場所を舞台に、 研究者たちの調査を追体験できる。 研究者ハビエルの報告…続きを読む

　「理想の一日」という言葉から連想されるのは、たいてい非日常の煌めきだ。だが、この作品は読者の目をそっと日常へと向け直してくれる。 　始発電車での座席確保、オフィスでの些細なトラ…続きを読む

　観光客で賑わう石畳の街に、満ち潮が押し寄せる。この不思議な光景から物語は始まる。主人公のメルは、紺色の制服姿で手紙を届ける若き郵便配達人。彼を通して見える世界は、どこか懐かしい童…続きを読む

　皇女の体で目覚めた農村の娘が見つめる世界は、静かな破滅への序曲だった。戦火に焼かれる未来を知る者の目に、平和な日常は儚く、そして愛おしい。 　本作は転生ものでありながら、その本…続きを読む