都市の中で生きる心の風景を繊細に描いた短歌

静かな短歌の世界に迎えられた。

「離陸した雀にうずたかくひかる都市工学の射程はどこまで」
という冒頭の一首が心に響く。

特に「まなうらの幽霊たちを躍らせてしんしんと降るまひるの埃」という表現には、日常の中に潜む幻想的な瞬間の美しさがある。

「樹冠」というタイトルには、都市という人工環境の中でも自然への憧憬が高く伸びていく想いが込められているように感じた。

私もまた、東京の街角でふと立ち止まって見上げた空の青さを思い出した。