距離を保ちながら隣で煙を吸い続ける、切ない友情の物語

細長い秘密基地で始まる物語に、なぜか懐かしさを覚えた。
ベランダの枯れかけたネギと、溶けかけたアイスと、入道雲。
夏の記憶が鮮やかに立ち上がってくる。

でも物語は次第に重くなっていく。
友人の変化、柔軟剤の匂いの違い、増えていく袋の数。
「かわってあげたいかわりになりたい」という切実な思いが胸に刺さる。

最後の一首が印象的。
風下で煙を浴び続けることを選ぶその覚悟に、愛の形を見た。
私もまた、大切な人のそばにいることの意味を考えた。