秀逸などという褒め言葉が陳腐に感じられてしまうほど流麗かつ緻密な筆致で語られる志怪文学。
読めば古代中華、酒家の片隅でひっそりと語られている様子が目に浮かぶようです。
また純粋に過ぎるものは、けれど総じていつか何者かに汚され消えゆく運命にあるのかと物哀しい摂理を恨みたくもなるでしょう。
逸話風短編の中にこれほどの人間性とドラマ、そしてファンタジーを渾然一体として描き切るこよみ氏の才能に脱帽です。
とにかく自分如きがどんなに言葉を駆使したとしてもこの作品の素晴らしさを全面的に伝えることは不可能です。
よって読んでいただくしかありません。
そして心ゆくまで堪能してください、奥深き『こよみワールド』を!
読み終えた後、しばらく何も言えませんでした。
力のある作品です。
何かを言えばそれは野暮になるのかもしれませんが、
この物語の面白いと思う部分は、
人々が見惚れ、ため息をつき、恋焦がれ、涙を流すものの正体は、
結局のところ全て作り物なのですよ。
作り物なのに、まるで本物の生き物のように接し、眺めてしまうのです。
そこにはどんな力が作用しているのか。
これは、物理学化学などでは……あるいは時間が経てば解き明かせる不可思議なのやもしれませぬが、
不可思議であるのに、不気味でも不愉快でもなく、登場人物に感情移入できてしまう。
何かのお題……だったのかな? しかしそんなものは確認ぜず、まずは真っ白な頭で読むことをお勧めします。
そして「これはお題だったのか!」と確認したときに、感嘆すれば良いと思います。
ご一読を。強くお勧めいたします。
鐘古こよみ氏の最新作『月煙奇譚』が読者にもたらした衝撃は筆舌に尽くし難い。
「この話は中華の志怪小説『捜神記』の中に収められている一編だ」と云われれば、何の疑いもなく信じてしまうだろう。
それほどまでに、この『月煙奇譚』は凄いのである。
「すごい」……そう、本当にすごい。当然、称える言葉はそれだけでは到底足りない。
何がどう凄いのか。是非、その眼と魂でご堪能ください。
比類なき巧みな文章から紡ぎ出される深奥な浪漫に満ちた怪異譚。敢えて内容には触れません。誰も見たことのない世界です。
鐘古こよみ氏の渾身の3,939文字の衝撃を共有しましょう。