天命を以って生まれし画家の得た月より美しきその妻の正体とは……

秀逸などという褒め言葉が陳腐に感じられてしまうほど流麗かつ緻密な筆致で語られる志怪文学。

読めば古代中華、酒家の片隅でひっそりと語られている様子が目に浮かぶようです。

また純粋に過ぎるものは、けれど総じていつか何者かに汚され消えゆく運命にあるのかと物哀しい摂理を恨みたくもなるでしょう。

逸話風短編の中にこれほどの人間性とドラマ、そしてファンタジーを渾然一体として描き切るこよみ氏の才能に脱帽です。

とにかく自分如きがどんなに言葉を駆使したとしてもこの作品の素晴らしさを全面的に伝えることは不可能です。

よって読んでいただくしかありません。
そして心ゆくまで堪能してください、奥深き『こよみワールド』を!

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