概要
主人公・山崎永和(とわ)は、フリマアプリで「奇妙な母子手帳」を手に入れる。そこには姪の名前が記されているが、保護者欄は空白であり、姉は別に自分の母子手帳を所持していた。
やがて永和は姪を散歩に連れて行く際、怪しい老婆に付きまとわれるようになる。老婆は人形を手にし、「川に人形を流しに来た」と語る。
「奇妙な母子手帳」を確認すると、「妊娠」の記録は途中から消え、残された「胎児」だけが母子手帳の中で成長していき、出産の記録がないにもかかわらず、子どもは「胎児」から「乳児」に成長していた。
そのころ、自宅のホームビデオに映る謎の幼児が、その母子手帳の幼児と一致すると考えた綾川要(永和の彼氏)は、「人形を川に流す老婆」が、あるカルト教団にまつわる「死者蘇生」の儀式をしたのではないかと考える。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!モキュメンタリー特有の不可解さと、ドラマ性を併せ持つ良質のホラー!
姪っ子のために子供服をネットで注文したところ、
届いたのは母子手帳だった。
このような不条理からこの物語は始まります。
しかも母子手帳には姪の名前がしっかりと書かれているため、誤配送にしても悪意めいたものを感じる。
外に出たら出たで見知らぬ老婆に姪の『名前』を呼ばれる。
そして、桂川に定期的に流されてくる人形や、子供服の意味するところは……?
本作のジャンルはモキュメンタリーホラー。
だので話の輪郭を少しずつなぞっていく形になり、
読者は不可解さに恐怖と混乱を覚えるわけですが、それにとどまらないのが本作の恐ろしいところです。
というのも、よくある『とっ散らかった…続きを読む - ★★★ Excellent!!!あなたのもとに母子手帳はもう届きましたか?
これはモキュメンタリー形式のホラーです。
まず最初に、母子手帳が届きます。当然それは何かの間違いかと思ったのですが……。
たまに見かける老婆のような女性。川に流される人形。奇怪な母子手帳。ひとつひとつは取るに足らないささやかな日常の奇異かもしれません。が、やがてそれらがだんだんと一つの大きな禁忌に繋がってゆきます。母と子なら二人、妊婦なら一人。この設定が怖い。
人の中から人が生まれてくる。改めて考えてみると凄いことですが、生命の誕生にはそれこそがふさわしい。その神秘、その奇跡。だが、それを逆手にとって怪異と恐怖に紐づけたセンスは素晴らしい。また、モキュメンタリーという難しい形式…続きを読む - ★★★ Excellent!!!謎の母子手帳。川に流される人形。不可解な子供。一体……何が起きている?
ホラーだけじゃなく、ミステリーが好きな方にも是非読んでいただきたい作品です。
物語は「一冊の母子手帳」から始まります。
大学生の永和が受け取った小包には、なぜか母子手帳が入っていた。本来はフリマアプリで子供用の服を注文したはずなのに、入れ間違いなのか母子手帳が送られたという。
姉である美和が「湊」という子供を産んで幸せいっぱいな状況のはずが、それから永和の周りで奇妙な出来事が起こり始める。
「川に人形を流す」と言い出す奇妙な老婆。そして、ビデオカメラに映りこむ見知らぬ子どもの姿。
不思議に思って母子手帳を紐解くも、「子供は38週目で出産」とあるはずなのに、「妊娠期間は16週」…続きを読む - ★★★ Excellent!!!答えに辿り着く途中が、いちばん怖いのかもしれないです。
フリマアプリで姪の服を買ったはずなのに、届いたのは一冊の母子手帳。
そこには、姪の名前が書かれていた――ただし保護者欄は空白のまま。
主人公の永和は「誤配送だろう」と思いながらも、その手帳が示す内容が少しずつ“現実の常識”から外れていくことに気づきます。
この作品の怖さは、リアルな生活が舞台になっているところ。
メール、Q&A、ブログ、取引画面、映像記録、不審者情報など、いくつもの形式で断片が積み上がっていき、じわじわと何かに辿り着くような感じ。
主人公も読者も、確信の手前で何度も足を止めさせられつつ、次の記録を見た瞬間に「いや、待って……これは……?」と引きずり込まれてしまう。
そ…続きを読む