作家と読者、全員が参加者となる新しい小説コンテスト「第3回カクヨムWeb小説コンテスト」が2017年12月1日よりスタートします。
開催まで残り一ヶ月強となりましたが、作家の皆様は応募に向けて作品執筆に励んでいる真っ最中でしょうか。
皆様の執筆活動を支援すべく、本コンテストより作家デビューの道を掴んだ、歴代受賞者へのインタビューを連続企画でお届けします。コンテスト参加のきっかけから、作品執筆のコツ、またWeb上で創作活動をする際の心構えについてなど、これからのコンテスト参加に役立つ情報が盛りだくさんの内容となっています。
コンテスト必勝法を探るもよし、また執筆の息抜きにインプットをするつもりでお読みいただくのもよし。このインタビュー記事が、皆様の作品制作やコンテスト参加にとってお役立ちできれば幸いです。
インタビュー企画第二弾でご登場頂くのは、第2回カクヨムWeb小説コンテストの「ホラー部門」大賞を受賞したロッキン神経痛さんです。
ロッキン神経痛(第2回カクヨムWeb小説コンテスト・ホラー部門大賞)
▼受賞作:限界集落・オブ・ザ・デッド
kakuyomu.jp
──カクヨムを使って小説を発表しようと思った理由をお聞かせください。
カクヨムオープン後に第1回Web小説コンテストが開催され、普段小説を書かない人達も小説投稿をしてみようという流れがツイッター上で起きたのがきっかけです。
そこで初めてWeb小説を読み、自分も小説を書いてみようと思い至ったので、カクヨムがなければ執筆そのものをしていなかったと思います。
▲氏がはじめてカクヨムに投稿した作品。後に本作を加筆修正して第2回カクヨムWeb小説コンテストに応募し、大賞を受賞した。
──小説を書こうと思ったきっかけがカクヨムですか! 嬉しいです! そんなロッキン神経痛さんですが、普段作品を執筆する際に心がけていることや、意識して取り入れていることはありますか?
作者の都合よく話が進み過ぎると読者が白けてしまうので、伏線は出来るだけ自然に置き、風景描写も現実的で説得力のあるように意識して書いています。
ただ、それだと説明過多になりがちなので、ずらずらと思うまま書いた後で、読んでいてリズムが淀みなく流れる、気持ちの良い文章になるよう修正しています。
──Web上で小説を発表すると、自分の作品が様々な人の目に留まる可能性があります。そんななかで、自分の作品を誰かに読んでもらうために行った工夫や努力などがあれば、ぜひ教えてください。
作品タイトルに引きの強いワードを入れる事を毎回意識しています。思わずクリックしてしまうような面白そうなタイトルさえ付けられれば、作品もそれに釣られて面白くなると僕は信じています。
同時にカクヨムの売りの一つでもあるキャッチコピーも活用しました。作品のアピールポイントが宣伝出来る、良い機能だと思います。
▲短編小説『くまのプーさんVS三毛別羆事件の人食い熊』作品ページ
また、タイトルと同じくらい大事にしているのは、作品の一行目です。
最初の場面が単調であるというだけでその先を読まれない可能性があるので、見せ場や謎を先頭に持ってきてから話を組み立てる、といった事をよくしています。
▲受賞作『限界集落・オブ・ザ・デッド』冒頭
──自作の"見せ方"においても様々な工夫をされていらっしゃることがよくわかりました。もう一つお伺いしたいのが、小説を執筆するにあたって影響を受けた作品や参考になった本などはありますか? もしあれば、どのような点が作品執筆のためになったかもあわせてお聞かせください。
小説を書くきっかけとなったのは、カクヨム発で書籍化もされている大澤めぐみさんの『おにぎりスタッバー』です。
独特の口語体で、ジェットコースターのような緩急の付け方をした面白い作品なのですが、それまでWeb小説というものを読んだ事がなかった自分には、敷居が高く、プロにしか分からない色々な作法がある、というイメージだった小説が、もしかすると自分にも書けるんじゃないかと思えた点が大きかったです。
『おにぎりスタッバー』(著:大澤めぐみ)
文章的な面で影響を受けたのは小野不由美さんの「十二国記」シリーズです。
読書経験の浅い自分にも読み易く、それでいて重厚な世界観を演出している魅力的な作品です。最低限の情報で読者の没入感を誘う事の大切さは、この作品に意識させられました。
──カクヨムがきっかけで小説を書くようになり、そして第2回のカクヨムWeb小説コンテストで見事大賞を受賞されたロッキン神経痛さんですが、受賞してから何か身の回りでの変化などはありましたか?
受賞者に賞金が出る事を知った友人達から、やたらと焼肉に誘われるようになりました。
先に会計がワリカンである事を確認すると、不思議と皆の予定が合わなくなります。不思議ですね。
──それは不思議ですね……。さて、これからカクヨムWeb小説コンテストに挑戦しようと思っている方へ向けてのアドバイスがあれば、ぜひお願いします。
まず日頃からバランスの良い食事と、質の良い睡眠をとって下さい。
これは冗談などではなく、本一冊分の話を書き上げるというのは精神と肉体に相当な負担をかけます。当然、身体を壊してしまえば小説は書けません。
そして作品を面白くするためには、時間はいくらあっても足りません。なので、まずは日程にある程度余裕が出るよう一気に書き上げてしまいましょう。加筆修正はその後いくらでも出来ます。
万全の体調で、かつ無理のないスケジュールで締切に挑むというのは、かなり重要なことです。僕はこれが分かっておらず、暴飲暴食睡眠不足のせいでコンテスト締切直前に腸炎にかかり、熱と痛みに泣きながら、やっとの思いで書き上げました。
Web小説コンテストはスポーツです。あなたの100%の力をぶつけて、悔いのないよう挑んで下さい。
──締切時点で10万字以上に達していないとどんなに評価が高くても選考対象外となってしまいますし、投稿してからも加筆修正できるのはWeb小説のいいところですよね。実体験に基づいた素晴らしいアドバイス、どうもありがとうございました!
次回は第2回の恋愛部門で大賞を受賞した在原小与さんのインタビューをお届けします。10月25日更新予定です。
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