一章:破節【クレス編】 第三十四話 邂逅
「お久しぶりですわ クレス様
わたくし
エルテ帝国第二皇女 フレデリカ・エルテ
貴方様をお迎えにあがりました!!」
クレスは突然の出来事に驚きを隠せなかった。
確かにその少女を知っている。
その髪につけたヤグルマギクの髪飾りは"再会の約束"として渡したものだった。
フレデリカ
「.....クレス様? えっと....如何....」
フレデリカはクレスの身辺を見ると、約束の印だった。ヤグルマギクの髪飾りがなかった。
「クレス様....髪飾りが...」
クレスはそれを聞かれ、無意識に髪を触る。
「あ、ああ えっと大事に預かってたよ?
今は実家にあるかな?」
バンっと地面を踏みつける音が響く。
「再会の印を身に着けずに歩いていたというのですか!? 私と出会いたくなかった!!ということですか!?」
そう泣きそうな目で睨む。
なんとなく後ろから視線を感じる。
イリアス
「女の子を待たせるなんてあいつ....最低だな」
ハク
「マスターって意外にもそういう約束に疎いですから ああいう約束って髪飾りをずっとつけて、互いを見つけるラブストーリーもんですよ そういうの簡単にへし折るタイプですので」
イリアスは口が悪すぎるハクに言う。
「お前 マスターマスター言いながら結構えげつないこと言うのな」
クレス
(聞こえてるぞ(怒))
とにかくぼかす他なかった。
「い、いやま、まさか君に出会うなんて思わなくてね」
フレデリカ
「なんですか その物言いは まるで他にも想い人はいらっしゃるような口ぶりですこと」
イリアス
「俺知ってるぞ うちの親父がよく使う浮気文句だ」
ハク
「父君...どんだけ最低なんですか?」
クレス
(いやなんかそっちの方も気になるんだが!?)
フレデリカは「クレス様!!」とそう詰め寄る。
「わたくしフレデリカ・エルテをお忘れかのように存じ上げますが、すぐにでも思い出させてあげます!
あなたにふさわしき乙女として」
クレスは再会の約束はしたが、何か惚れられるようなことはしてないはずなんだがと考える矢先。
フレデリカはクレスのすそを引っ張り、どこかへ連れて行こうとした。
「あ、あのどこへ?」
フレデリカ
「お父さまのもとへ 運命のお方を出会いましたので、そこで婚約話を!!」
エルテ帝国第二皇女って....
イリアス
「あいつ 死んだな...」
ハク
「マスターに救いあれ!」
助けろよと内心思うが、クレスはフレデリカに言う。
「ちょっ、ちょっと待ってくれ」
フレデリカ
「なんですか?」
クレス
「再会の約束はした、だが、だがな
なんで婚約まで行くんだよ!
しかも王家に嫁ぐって高位じゃないと無理じゃないのか!?」
フレデリカ
「ええ、基本的には他国の王族か公爵家が多いとお聞きします。」
クレス
「俺は農民だ 君に相応しくない身分の持ち主だ だから婚約なんて...」
フレデリカはそんなことかという顔で答える。
「そんなのご承知です。
ですが貴方様はロートリウスさまの弟子という見聞は広まっております。
名声は十分でしょう。
それに....」
「それに?」
フレデリカは愛おしそうに見つめる。
「"あなた"が私に相応しいかではなく、
"私"があなたに相応しい乙女に私はなりたいのです。 これが恋って言うのでしょう?」
クレスは思う。
(ダメだ。逃げられなさそう)
「わ、わかりました! それは分かりましたが、まだお互いを知らない
そうでしょう?」
フレデリカはその足を止める。
クレス
「そんなに君が私を想うことは分かった。
もっとお互いを知るべきだ。
どこが好きになったのかとか、
それに私は君が私に相応しくても、
私が君に相応しくなかったらこの先仲良くはできないだろう?」
フレデリカは考える。
「そうですわね 再会からまだ短かったですね」
やっと一息つけたように感じるクレス。
「ロンドール伯 そこにいらっしゃるのでしょう?」
イリアスは物陰から現れる。
「な、なんでしょうか フレデリカ皇女」
フレデリカ
「フレデリカで大丈夫です
このロンドール伯での屋敷にお泊りさせていただく許可をいただきたい。」
()えっ
イリアス
「ハッ!? なにゆえ」
フレデリカ
「クレス様は先の学園襲撃事件の際に、ロンドール伯をお守りするように戦闘に参加していたとお聞きしています。」
イリアス
「そのお話 一体どこで?」
フレデリカ
「メルトナー様からです クレス様が学園裁判にかけられているとお聞きし、はせ参じました。
が、時すでに遅く、居たのはメルトナー様のみで、クレス様はどこ!?とお聞きし、ここに来たということです。」
そう言うと、クレスを見つめる。
「今は亡き先代の引き継ぎが目下としているロンドール伯の側に付くのがクレス様だと思います。」
クレス
「あ、ああしばらくはイリアスと一緒に」
フレデリカ
「でしたらわたくしも一緒に!
クレス様を相応しい地位へと赴かせるがわたくしの使命と感じました!
危うきロンドール伯の地位を
クレスは思う。
あれ?この子も結構めんどくさい感じ?と
イリアス
「」...........え?
―、
エルテ皇帝
「そういえばフレデリカはどこへ?」
メルトナー
「クレスのとこへ行きましたよ?
あの勢いだと泊まるんじゃないっすか?」
皇帝は杖を落とす。
「うちの娘....ほんとうに本当に?」
どこか信じられないような顔をしていた。
メルトナー
「エルテ様 運命の人騒動を冗談だと思ってましたからね。
しつこかったから学園卒業までに見つけろとは言ったがといった感じですかね」
皇帝はメルトナーを睨みつける。
「その"目"で見るな!!」
メルトナーは目を逸らす。
水色の髪の少女はメルトナーの足を蹴る。
「あ、いた」
「ほらクソ爺ぃはこちらへどうぞ 会議です」
メルトナー
「ふどい....」
「ちゃんと発音してください....陛下
そう気難しくしないでください
娘さまも立派にお勤めを果たしていらっしゃいます。
そんなに心配するものではありませんよ?」
そう少女は皇帝を諭す。
エルテ皇帝
「いや、それうちの娘がクレスと結婚する前提で言ってるだろ 認めんぞ!! 認めん!!」
少女ははいはいと会議の部屋に押し込む。
部屋に入るとそこには14人の人たちが居た。
エルテ皇帝
「みな揃ってるな」
1人が手を上げる。
「賢者ロートリウスはいません〜」
メルトナー
「あやつは話せなくても"分かる"じゃろ」
水色の少女
「では、
十二聖騎士団 12様
サリウス・シェルティ様
マカロニ・トリクレタ様
バンクロール・シリ様
テペト・トト・カンターリ様
ラル・ミカリ・カンターリ様
シャカル・エスタ様
サントロス・アトラス様
キンダリーインター・ナガクラシイ様
クラキエスタ・セントラル様
ダマリエ・クロール様
メロリアル・ルルクロス様
リゼル・シャゼルダー様
帝国三賢者 2名
見識の賢者 メルトナー・アトラス様
発想の賢者 サシャール様
アディス国大王 ダダン2世様
以上の方々は今回の会議の招集に応じてくれました。」
エルテ皇帝
「うむ みなよくぞ集まってくれた
こたびの議題...それは うちのm....」
そう言おうした瞬間、少女から踏みつけられる。
「真面目にやってください」
エルテ皇帝
「メルトナー! 貴様の弟子は礼儀がなっとらんぞ!! 皇帝を踏みつけるのは極刑もんだと教えよ!」
メルトナー
「ダダン様の前で同じことをおっしゃってください 今回の事件、娘さんも巻き込まれているんで」
そう言われ、エルテ皇帝はダダンを見ると、確かに殺意のオーラが溢れていた。
「あーこふん 仕切り直して」
そういうと顔付きが変わる。
「我々は長年をかけ、築き上げた学園に襲撃が起こった。
学園を襲撃されたとなれば、協定により襲撃者を国総出で、各国総出で探し当てねばなるまい
今回はその話をするために、みなに集まってもらった。」
水色の少女はパチンと指を鳴らす。
空中に光で彩られたモニターが現れる。
「では会議を始める。」
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