一章:第八話 この導入は望んでない!!


拝啓 過去の私へ


今、私はかのアルテメリア学園へ入学をし、学校生活を楽しもうとしています。


3作目発売のため予習、復習なんて言っていた過去の自分がなんだか恥ずかしくなるようなほど、気付くと異世界転生をしてしまいました。

ですが、....ですが どうか過去の私

お願いします。

どうかお願いしますから、ヒロインたちの登場シーンを眺める際は見守る位置を間違わないでください


私は失敗しました。

失敗してしまった。

ああもう

くっそたれ!!


私は自身の寝室にて、机の前で頭を抱えた。


うそだっ!! もうどうこう症候群のキャラの気持ちになってしまった。

一体何度も慚愧ざんきを抱えれば済むのだろうか。

むむむ もう一切合切、身を捩りたくて仕方がなかった。


結局、どうにかしようと頑張ったんだけど...ね(虚無)


先日―、


ミエラ

(やばいどうしよう もうどうしたらどうにかして主人公ミカエラとヒロインたちの出会いを果たさないといけないのに!?)


私の肩に手がかかる。


アルト

「おい待てって」


そうこいつさえいなければ、チャンス・・・・はあったのに。


「そう嫌そうな顔をするな ミエラ」


ミエラはすっと後ろに下がり、

「いえ、大丈夫です アルト様

では私は野暮用がございますのでここで」


なんとも冷たい顔で言い放った。

会話をしたくないとそうひしひしと感じた。


アルト

「ちょ、ちょっと待ってくれ」


ミエラ

「なんですか?」


アルト

「あ、...あーその先日はすまなかった

不躾だったよな 淑女に大笑いをしてしまうなんて 騎士として恥ずべき行為だと思っている」


少し靡く髪がたれかかり、朝日が憂いた瞳とその顔を照らしていた。


ミエラ

「ピクッそうですか 私は気にしていませんので

では私はここで」


アルト

「そうか...え?...tyo」


アルトは腕を伸ばすが、早々と歩くミエラには届きもしなかった。


ぷくぅーと顔を膨れるミエラ。

(めっちゃムカつく あんなイケメン顔を間近に見れたのにその矛先がミカエラ様じゃなくて、私なんて なんておこがましい!!!

絶対 ルート通りに戻してやる!!!)


―――

――


かつりかつりと回廊を渡るミエラは次なるイベントへと向かっていた。


(次のイベントは学園の端、自然庭園広がる場所でのトリステル様との出会い!!)


確か教授区あたりが近道だったはずとゲームをしていた頃の記憶を思い出しながら歩くミエラ。


(確か展開では、ミカエラ様がアリス様への行いイジメから逃げるように自然庭園へと向かっていた時に、トリステル・エルテ様と出会い。

動物と戯れるトリステルを見たミカエラが「とてもお優しい方なのですね」と言って、トリステルとの関わりが出来上がっていく)


うんとても良い!! と心が湧き上がっていくのと同時に足がどんどんと速くなっていった。



結局自然庭園は思ったよりも広く、目的地イベントの場所がわからなかった。

どうしようかと首を傾げるも、かといって動かないと見つからない。

あちらこちらへと足先を向けたが、むしろ道に迷いそうになった。


(ショトカしたのが間違いだった?)


そう考える。


がさりと草むらの奥から音がなる。

何かいると思い、そちらへと目を向けると、

揺れてなびくウェーブの紫髪、そして緋色の瞳が眼前の私と木漏れ日を受け入れた。


「おや君は....」


「マ、マクナガル様ぁ!!??」


少年は目をぱちりと瞬き、首を傾げる。


「そんなに驚くこと?」


()。え?ええ えええええええ

どうしようここで出会うなんて聞いてない!!

「イレギュラーなんだよお前はぁ!」

そんな言葉を思い出しちゃった。

あれ?あれれえ? マクナガル様との出会い場もうちょっと違うんじゃ....

確かマクナガル様は夜の貴族区で出会うはず!?

てかそこで星の ...


あ、そうだった私主人公ミカエラじゃないわ 忘れてた。

てかイベント見るために夜の貴族区侵入しないといけんのか...

うん、よし(๑•̀ㅂ•́)و✧

ここでルート修正しよううん大丈夫。

多分!! きっと、おそらく、そう、うん、メイビー


私は口を開く。


「い、いえその...マクナガル様との唐突にお見えになりましたら、驚くかと...思います」


目をそらす。


「そうなのか?」


そうです。 うん、そうなんです。


「まぁ確かにわたしを見た人は不意に目をそらすことが多かったからな

人と突然出会ったら、誰しも驚くのも無理はないか...」


あ、意外にも受け入れたようだった。

けどその目をそらす・・・・・のはおそらくマクナガル様がイケメンすぎるからだとおもう。

なんでみんな13歳なのにイケメンばっかなの?

しぬの? あ、しぬ


唐突な尊み宣言が心臓を締め上げた。

胸を抑えたミエラを見たマクナガルは「大丈夫か?」と近づいた。

だが、ミエラは「大丈夫です!!」とそう手を上げ、近づくマクナガルから離れた。


そうかと少ししょんぼりするマクナガル。


「マクナガル様はどうしてここに?」


そう質問をした。

マクナガルは襟を正すように背筋を伸ばし、周りを見渡すように発言した。


「ここはエルテメール国内でも屈指の庭園と聞いてな ここでほし...あーごほん 少し散策をしていたんだ」


....ハッ!?そうか!!


記憶の奥に始まるマクナガル様とミカエラ様の出会いイベント。


「ここから庭園へと向かおうとしたんだ」


これを 思い...出した!


ほんの話の一セリフ。

再履修の意味はここにあったんだ!

と新鮮な気持ちになった。


「そうなのですか? 確かにここは美しいですからね 散策したくなるのもわかります」


「そうだね ただ見晴らしはあまりよくないね 君どこかいいところは知らないかい?」


そう質問をした。


「いい場所....」


少し顎に手を当てる。


「でしたら庭園の真ん中あたりがよいかと

とっても見晴らしがいいです」


「そうか 真ん中か」


「はい! きっとよい星が見えますよ」


マクナガルの動きがぴしりと割れたように見えた。


「星?....」


少しミエラの目を覗き込むように顔を向ける。


(あ、しまった)


マクナガル・エンテの趣味は天体観測。

要は占星術に詳しいのだが、周囲にはひた隠しにしている。

なんでなんも考えていないのデリカシなさ気な感じなん私?


「い、いえそこ・・はとても見晴らしがよかったので、夜 星を眺めるのに悪くないかなー...なんて思い まして」


そうどうにかルートを立ち直そうとフォローを入れる。


「そうか....君は星が...好きなのかい?」


(このセリフは....イベント進行・・・・・・もなさそうだし、普通に応えようかな)

「そう...ですね 星は好きです」


昔の記憶が瞼の裏から流れ込んでくる。

「お父さんー!」と言い 、父親であろう人物に抱きつき、すごい!、すごい!!と何度も連呼しながら空に指を指していた。


その指先に一筋の白い線が出来上がる。

すると周りに弾けたように一線、一線が流れる。

広がり、交差し、天蓋てんがいを覆い、夜空を駆ける星たちがまるで戯れてるかのように光るその様は"流星群"。

少女の目には燦々さんさんとし、そこに喜びの色が浮かび上がっていた。

少女は気付く。近くに居た人に...

そして見かけた少女は楽しそうにその人にも手を振る。



「特に好きなのは流星群ですね ああけど天文学〜にはそこまで興味はないです

ただ眺めるのが好きなのです。」


そうどこか遠くを見るように空を見上げた。

マクナガルはつられて、ミエラの目線に付いていった。


「そうか流星群か....伝説上のお話だが、君は見たことがあるのか.....羨ましいな」


マクナガルはどこか寂しそうに聞こえない声で喋った。


そしてもう一度ミエラへと目を向ける。

何か覚悟したように唾を飲み込み、少女に語りかける。

「その....一緒に」


がさりっ―

会話を遮る異音がまたもやなる。

ミエラは思う。(◯◯モンかな?)


聞こえた方角へと目を向けると、そこから走り抜けるようにリスや鳥に....

目をぱちくりとする。

リスや鳥に囲われながら追われ走るトリステル。


「助けてー!!」


「トリステル!?」と驚くマクナガルと

(あれ?この展開見たことないんだけど)と驚きすぎて一切の動きが出来なかったミエラがその光景を見つめていた。



わしゃわしゃと髪を鳥たちに弄られ、リスたちはドングリなどをトリステルの頬や口もとに入れようとはしゃぎ回っていた。


ミエラは思う。

(ああ、もうどうしたらいいのこれ息巻いてたらこれか)と

少しため息を吐きつつ、動物たちにいじられるトリステルをマクナガルと一緒に助けることにした。


――


「そのすみませんでした」


そう粛々と正座をし、顔をうつむくトリステル。


「何があったんだい?」


「あに....いえ、ただここの庭園は綺麗で茂みで座っていたら、動物たちがよってきたのです。

それでかわいいなーと思いつつも、少し触って戯れてるました。」


(あ、ここはイベントシーンそのまんまだ

けどあれ?それならミカエラ様は?)


「すると動物たちが僕のこと友達か何かだと思って、僕にエサやらを恵んでくれるようになったんです。」


「ふ、ふーんそうなんだ その頭で?」


頭上にはまるで竜巻が起こったかのように髪が舞い上がり、ところどころに木の枝などが挟みこまれていた。


「うん」


(鳥の巣じゃん え? あのシーン放置してたらそうなる感じ? ギャグじゃん漫画じゃん)


「そ、....うとうに気に入られてたんだな ..うん」


と顔を背け、口もとに手を添えたマクナガル。

ミエラはもう驚かないと言った仏頂面の顔を貫き通した。


「あに...マクナガル様 この方は?」


とマクナガルの横に居た私をトリステルは疑問を感じた。


「ああ、この方は....」


と言葉を紡ごうとし、私の服装を見ながら発言した。


「修道女...ってことでいいんだよな?」


そうマクナガルは私に確認した。


「はい 間違いありません」


「そういうこと たまたまここで出会って話していただけだ」


「そうでしたか その助けていただいてありがとうございます」


そしてトリステルは警戒心に似たなにかを解いたのかミエラに感謝した。


「わたしからも感謝する ありがとう」


「いえ 大丈夫ですよ」

(やった 推したちに感謝されるとかどんな人生? もう毎日一億回感謝してても推しきれない!!)

(そういえば...)


ミエラ

「トリステル様は先ほど動物たちに囲われてましたね

だけどどうして強く跳ね除けなかったのですか?」


トリステルはその言葉に何か驚きを持ったのかミエラの目をじっと見つめていた。


「あ、あのなにか失礼なことを」


トリステル

「ううん 大丈夫です」


何かを思い出すかのように、目を右下へと下げる。言葉が整い、ミエラにへと顔を向けこう言った。


「僕はあの子たちが悪い子じゃないのに、強く叩いて傷をつけてしまったら、僕イヤだなって」


その言葉はどこか納得したミエラ。

そして


「クスッ やっぱりトリステル様はお優しいのですね」


そう目を細め、優しく笑顔で言った。


マクナガルとトリステルはその優しさが宿った顔がどこか惹かれ、言葉が思いつかなかった。

そしてマクナガルは少し、ほんの少しまぶたをさげ、ミエラを見つめた。


トリステル

「姉さん」


ミエラとマクナガルはトリステルから聞いたことがない言葉が出てきたため、不意に周囲を見た。


マクナガル

「姉さん?」


だがあるのは木漏れ日と生い茂る草と青々しい木々たちだけだった。


トリステル

「姉さん」


ミエラはもう一度トリステルを見ると、トリステルの口は確かにミエラに向けて発音していた。

ミエラは驚く、「え?私に言っているの?」と


トリステルはなんの疑いもなく、しっかりとした瞳が確かにミエラを写していた。

ふとマクナガルを見ると、目を何度も開けしめしていた。

あれはなんというんだろう。

壊れたエレベーターみたく開いたり閉まったりしてる感じ?。

恐らくは彼にも想定外な出来事だったのだろう。

そして私も驚いている。

普通にゲーム内出てこない展開にそのセリフ。

しかもプロローグみたいなとこで、

ありえる? いやありえないでしょ。


てかなんで姉さん?


ミエラ

「その....どうして姉さんなんですか?」


トリステル

「え?ああ...そのごめんなさい なんとく言ってしまいました。」


いや、謝られても...理由ワケを知りたいんですけど


マクナガル

「トリステル 仮にも王族だ 赤の他人に兄弟姉妹を言うのはよくないと思うぞ」


もっともと言える言葉が隣から出てくる。


トリステル

「ごめんなさい...ただそう思ってしまって」


ミエラは少しため息を吐く。

「そうですね...私は悪くはなかったですけど...」


マクナガル

「おい」


ごめんなさい よく考えたら推しにお姉さんと言われるとかヤバない? ウレピ? 有頂天?

おねショタ? もうねエントロピーがドバドバなんよ

てかお姉さんじゃなくて、お姉ちゃんって呼ばれたい!


To 驚きと衝撃が来たので思考にタガが外れている様子のミエラ。


ミエラ

「人は皆兄弟姉妹 隣人を愛せと聖典にかかれています。

いいじゃないですか? てかせめてお姉ちゃんと呼んでくださっても問題ありません!

一回だけでも いや一回以上も!」


お前は何を言ってるんだ?という顔で見るマクナガル。


トリステル

「え?ああうん お姉ちゃん?」


そう首を傾げるトリステルに興奮したミエラ。

(☆か☆わ☆い☆い☆)

こっからクッソイケメンになると考えたら未来が楽しみと心に銘打つミエラ。


マクナガル

「お前なぁ........ はぁまぁさすがに周りが勘違いが起こるかもしれないから、ここの3人だけの時は呼んでもいいんじゃないのか?」


と妥協案のようなものを出したマクナガルに反応するミエラ。


「ではマクナガル様はお兄ちゃんで」


マクナガル

「はい!!???」


トリステル

「あn....お兄ちゃん!!!」


マクナガル

「お前もか!! お前にはアルランが居るだろ?」


トリステル

「いえお兄ちゃんもそうじゃ」


マクナガル

「そういうわけ意味ではない!!」


ミエラ

「まぁそうは言わずに兄弟は何人居ても困りません」


ミエラはなぜか煽るように話に混ざる。


マクナガル

「いやよくはないだろ 仮にも王家だ

エルテメール帝国王位継承権第3位

第3王子 トリステル・エルテだ

たかが一言 されど一言だ 言葉に意味はある それは修道女 君の聖典がはっきりと意味があるから扱われているんだ」


ミエラは驚く。

そういえば私は修道女で、助祭候補としてここに入学をしていた。

ここでちゃちゃのために聖典の話を入れたが、そんな言葉返ってきたことに何か返せる言葉がなかったが適当に話を流す。


「ですがこの呼び方は3人の秘密なんでしょ? されど一言 たかが一言 ですよ?」


マクナガルの背中をなんとなく押す。

トリステル

「お兄ちゃん!」


トリステルは満面の笑みをマクナガルに向ける。

ミエラは言う。

「悪くないでしょ?」と

はぁと息を吐き出す。

少し目をそらし、「少しだけな」とそう言った。


ミエラは「でしょ?」とそう本心を出した。


――


私は回廊を歩いている。

......無言が湧いてくる。

無言が湧いてくるってなに?

もし穴があったら?


入るに決まってるでしょ!!!

こんなもん立直リーチみたいなもんでしょ

いやいやありえんってなんであそこ・・・で私やらかしたん?。

と『お姉さん呼び』の一連の流れで、欲に駆られたのか、世界が目の前にあったのか 手を、 伸ばしてしまいました。


普通にシナリオルート修正するのがいいことじゃん!!

そっからハピエンルートに持っていくのが私の仕事。

しっかりしろ〜和辻 和辻って何? 思考回路も噛むことあんの?と頭が頭を悩ませる展開になったミエラ。


「お姉ちゃん どうしたの?」


トリステルは私の顔色を伺いように歩きながら覗き込む。


そう2人は付いてきたのだった。


ミエラは少し言葉を整える。


「あの...お二方はどうして私に付いてくるのでしょうか?」


トリステル

「うん? お姉ちゃんはいつも何をしてるのかなって?」


マクナガル

「別になんとなくだ トリステルが何かやらかさないか心配でな」


その目線の先は不思議と私を見つめていた気がする。


ミエラ

「そうなのですね...」


そう歩いていると、

奥から日に照らされる赤髪の少年が槍を携えて、横切ろうとしていた。


「お?」


そう横目に見えたマクナガルとはしゃぐトリステル そして真ん中で歩く牧師。

何か不思議な組み合わせだなと思いつつも、おーいと声をかけた。


ミエラ

(げ!? グラディウス様〜????? イベントはもう少し先なんじゃ!?)


マクナガル

「あれ? グラディウスか...ここで何を?」


グラディウス

「いや たまたまよ 戦術考学からの終わりで歩いていた」

とそうニシシと笑うグラディウス。


マクナガル

「槍を持ってか」


グラディウスは槍を見た。

「ん? これは仕方ない 気に入ったもんだからな」


ミエラ

(グラディウス・ピピン いくさ好きで気に入ったもの[武器でもなんでも]をずっと近くに置くようしている そしてミカエラ様も...)


そしてグラディウスはミエラのほうへ目を向ける。

「彼女は?」


マクナガル

「ああ、彼女は先ほど出会ってな ただ一緒に歩いていな」


グラディウス

「ふーん...そうなのか?」


そうミエラ背中に隠れるトリステルに目を向けたグラディウス。


「ふっトリステルが気に入ってるってことはよっぽどだな」


まるで値踏みするかのように、ミエラの周りを歩くグラディウス。


ミエラ

「あ、あの」


グラディウス

「品位がないな! トリステルが気に入るのもわかる!」


ぴしっと血管が浮かび上がる。


マクナガル

「お前! 女性になんてことを!」


グラディウス

「ん? 何か言ってはいけないことを言ったか?」


マクナガル

「いくらなんでも物言いがひどすぎる。

淑女に言う言葉ではない!」


グラディウス

「なんでもかんでも淑女だと言ってもなー」


ん?っと服を握られる感触。

その腕の先にはトリステルがこっちを睨んでいた。


トリステル

「その...撤回してください この人に酷い言い方しないでください 私を助けてくださったんです」


グラディウス

「トリステル....ずいぶんかっこよくなったじゃねぇか よっぽどのお気に入りなんだな

品位ねぇけど、優しさはあるんだな」


ミエラは黙って、聞いていた。


マクナガル

「あの 品位って言っても彼女には確かに品はあります」


そう突然の舌戦が始まる。


グラディウス

「ん?ああすまん 品位っていやぁ それは貴族かどうかの違いだ それこそ宰相のお前なら分かるはずだぞ?」


マクナガル

「それは..だけどそれだとしても物言いがひどすぎる もう少し優しい言い方があったでしょ?」


グラディウス

「そうはいっt....」


ミエラ

「グラディウス様」


んっとミエラに顔を向ける。

ぐっと胸元を掴む。


唐突な出来事に驚く。


トリステル

「お...姉ちゃん?」


3人の秘密・・・・・をふと喋ってしまうトリステル。

グラディウスにしかと睨み潰すかのように目を向ける。


ミエラ

「その物言いは人に向ける言葉遣いでは ありません

あなた様はピピン公国 その公爵令息です。

あなたの国の品位を疑います。」


グラディウス

「言うじゃねぇか」


マクナガル

「お、おい」


このキャラグラディウスは元々大っきらい。喋り方もとい全ての行動がくっそ嫌いなんだよね。

いくら全キャラ推しとはいえ、許せるモノと許せないものがある。


ミエラ

「先ほどあなたさまはこの槍を気に入ったとおっしゃいました。」


グラディウス

「ああそうだな」


ミエラ

「ですが あなたが気に入っただけでその態度では一切槍から好かれません

いつかは壊れるし、離れますよ」


グラディウス

隠喩いんゆか?」


ミエラ

「いいえ 事実です」


グラディウス

「んじゃ俺に何をしてほしいんだ?

金か? 手入れか? それとも言い方か?」


ミエラはすっと肺に溜まっていた二酸化炭素を出した。

そしてもう一度で睨むように言う。


ミエラ

「いいえ あなたがするべきは"品位を携えること"です」


グラディウス

「はい?」


ミエラ

「公爵家なのぇ金なんてものはもう持っています。

気に入ってるならもう手入れはいつもしていらっしゃっています。

ほら この槍は手入れができている」


その槍には一切の汚れもなく、どこか少しきらめていた。


「あなたに足りないものは品位です。

言い方を変えたって、あなたさまに品位を携えなければ、その物言いは一生に変わりません 撤回しなさい」


どこか意趣返し・・・・のように感じたグラディウス。


グラディウス

「一本取られたな ああ、すまんかった」


ミエラ

「いいえ 私には謝る必要はありません」


その言い方に少し考える。

グラディウス

「は? んじゃ誰にすんだよ」


ミエラ

「トリステル様にです。品位がないから気に入る

その物言いは仮にも王族に対する無礼に入ります。

まるでトリステル様には人を見る目がないと言っているのと同義です。

そしてトリステル様は優しく人をよく見る方です。

ついでの如くトリステル様を侮辱するというのはエルテメール帝国での公爵家としても、個人としても私よりも品位がなっていないのは誰が見ても明らかです。」


グラディウス

「そうか その物言いはよくなかったのだな」


そう何か思ったグラディウス。

「ならその場合、どう言えばよかった?」


ミエラ

「知りませんよ あなたの真意なんて私には推し量れません ですが『トリステルが気に入ってるのは珍しい いい人か?』とかなんでも言えばよかったんじゃないですか?」


グラディウス

「適当だな ほっぽりだしたな」


ミエラ

「知らないものは知らない ですがそう言ってもらえるだけ優しいと思いますよ?私」


何かに驚くグラディウス。


グラディウス

「ニシっ 気に入った その品位ってのは確かに俺に必要だな」


そう何か得心したかのようにグラディウスの声色に緊張感はなかった。


ミエラ

「分かりましたらそれで大丈夫です」


と笑顔で返す。


マクナガル

「....あー君 グラディウスの胸元握るのはそこまでしてくれないか?」


とミエラは気付くと、すぐさまにグラディウスから手を離しすミエラ。


一瞬でやってしまった事・・・・・・・・に気づき、「ああすみません」と何度も謝ったミエラ。

(あ、おわった 本気でおわった

だって仕方ないじゃん あんなラスト・・・見てしまったら、言いたくなる気持ちもあるってことだもん)


マクナガル

「彼女の言い方は分かったか?グラディウス」


グラディウス

「分かった そういう意味・・・・・・だってこともな いや大丈夫だ

公爵家に喧嘩を売ったわけじゃないのはわかっている」


「気にしなくていい」そう答えたグラディウスだが、ミエラはもう何振り構わずに頭を振った。

そうすっと右側で私の服を握る感触が伝わる。すっと目を向けるとトリステルが口もとに手をかざし小言で言った。


「かっこよかったよ お姉ちゃん」


(え、あ...氏ぬ)

ミエラはその言葉に頭が真っ白になった。


アルト

「でさ 数学でわからんとこあったんだがさ」


アルラン

「あそこか? あそこは難しいからな...」


そうまたもや回廊の奥から2人が現れる。

アルトは驚く。

ミエラが頭を下げているところを。

アルランはそこへ一刻も早く歩こうとするアルトを止められず、そのまま彼女の前に立っていたグラディウスの胸元を掴む。


アルト

「おい 彼女に何をした」


ドスが入る。


グラディウス

「は? え、アルトか 知り合いか?」


アルト

「ああそうだ」


アルトをなだめるような声色で喋るグラディウス。


「いや彼女は俺を叱ってくれたんだ」


アルト

「え? 叱った? グラディウスに?」


そう周囲の居る人に目を配ると、そこにはトリステルとマクナガルが居り、マクナガルがコクリと頭を下げた。


アルランは追いつき、喋る。

「すごいな 彼女はグラディウスにモノを申したのか」


アルトは状況に理解できず、言葉を紡げずにいたが、ミエラのあの光景・・・・を思い出し、笑ってしまった。


グラディウス

「どうした?」


アルト

「いやすまない 彼女とは色々あってな つい な」


そうグラディウスから手を離す。


ミエラ

(ハッ!? あれここに全員・・揃っっちゃってる!!??)


意識が戻るミエラはこの状況に狼狽える。

(ま、眩しい!! ここは天国なんだ!)


アルランはミエラにへと目を向ける。

「また会ったな...

そういえば名前を聞いたことがなかった 女性に名を聞かないの不躾だったな」


トリステル

「そうだ 名前はなんていうの?」


マクナガルは耳をミエラの方向へ向ける。


グラディウス

「そうだな せめて名を知りたい」


アルト

「そうだな一応聞いてはいるが、もう一度名乗ってくれないか? 改めて名前を知りたい」


トリステル

「え?アルト様知ってるの?」


アルト

「ああ、介抱したときにな 教授に」


注目の的になったミエラ。

(え?うそ なんでみんな名前知りたがってるの? 普通ミカエラさま...あれ? ミカエラ様には誰も会えてない?・・・・・・・

なんで?....けどそうだねここで名乗らないほうが失礼よね)


「私は ミエラ って言います。」


名を聞いた皆は一様にミエラに挨拶をした。


(なんか私がヒロインみたいな感じになってるけど、ヒロインなのはミカエラ様だけです って本当ミカエラ様どこに行ったの〜!!??)


そう笑顔の裏にある声が叫びたくて仕方がなかった。








―――

――


アルラン

「グラディウス」


グラディウス

「なんだ?」


そう声を掛けられ、振り返るグラディウス。


アルラン

「ミエラの件 失礼なことを申したらしいな」


グラディウス

「別に...」


そう目をそらす。


アルラン

「まぁいい お前トリステルのことをバカにしていたら、俺はお前を許さなかった

それだけだ」


グラディウス

「わかっている」


話の一段落を聞いたアルランは、

エルテメール帝国第二王子としての格を出して発言をする。


アルラン

「本命はそこじゃない どう思ってあの発言・・をした グラディウス・ピピン」


グラディウス

「........」


沈黙が流れる。


「俺と同じ匂いがした。」


アルラン

「匂い?」


と聞いたことがないモノを聞いたような感触で返した。

そして回廊の外、その空へと目を向けるグラディウス。


「あいつは場馴れ・・・してるってことだ」


とそう感じた目の前で、どこかの光景が目に浮かぶ。

泣いていた少女、その身体には多くの傷、泥、そして・・・.....に塗れた姿をしていた。

子どもはただじっとその姿を見つめていただけだった。

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