第一章:序節 鬼ごっこ
一章:序節 第十一話 揺動
ぎぃいぎぃいと木製のイスに腰掛けながら、考えるクレス。
魔法とは何か、―
魔力とは何か、―
それが分からない。
一体どうしたらこの魔法という仕組みを理解できるのか
なんて考えていたら、魔力というものが見えるようになった。
周囲にピンク色の粒子がそこらに飛んでいた。
魔力とは、魔法を発現させる際に必要な物質?ということ。
触れることは出来ないが、手など粒子にぶつかると
そして
クレスは意識すると、
意識した箇所、今回なら手に集中すると魔力が集束していく。
集束された魔力が消えるように、変わるように火の玉になり、地面へと落ちた。
あ、―
火消ししないと燃える。
踏むと火が写るので、魔力を集束させて、
無事鎮火した。
ハクはその光景を見ており、こうおもった。
(なんかマスター 魔法の理解が早くなっている いいなー)
よく見ると、水はリットル単位で想像してみると実際に想像通りの発現が起こっていた。
だが
あくまでも見ている限りだけど、
アレスは 水と同じように集束した際に消費する魔力に違いはなかった。
だがアレスは燃えている際に周囲の魔力を吸い寄せながら燃える。
空気と同じような形なのだろうか?
水は実際に発現すると一切魔力に戻らず、水のまま地面に伸びていく。
つまり
そして
問題は今見えている魔力よりもさらなる魔力が発生すること。
この魔力の発生源は自分になるということ。
つまり魔力は自分自身にもあるということ。
何かがを魔力の源になっているのかが.....
考えられる要点が多い。
そして魔力はあくまでも魔法ではなく、それを発現するための必要な物質。
魔法とは発現者のイメージを具現化したもの。
いや?魔法だと分かりにくいのでは?
もっと細かく定義するべきなんだろうが、言葉が見当たらない。
「マスター、マスター!」
「ハク? どうした?」
袖を引っ張るハクに反応したクレス。
「マスターは昨日の夜、魔力が見えると仰っていました。 私にも見えるようにしていただきませんか?」
「ん? ああそうだね ハクも知っていたほうがいいか」
そう魔力が見える仕組みを軽く教えた。
「....とまぁ、魔力に色があるものとして認識する感じだ」
ハクは少し考える。
「マスターのことですから大丈夫だとは思うのですが、にわかに信じ難いですね」
「どうして?」
「それですと、その魔力すらマスターのイメージでしかないということです。
それを証明する必要があるのではないかと思いまして、」
「証明です。 それが
少し目線を下にさげるクレス。
「けどとりあえずはやらないと話が進みませんよね! 私も魔力見てみたいですし!」
そう言ったハクは少し集中する。
クレスの目には、ハクの頭部に魔力が集束している光景が見えた。
そしてよく見ると、ハクの瞳あたりに大量の魔力の発散が見受けられた。
クレスは驚く。
ハクはその光景が見えたのか、一瞬むせ返るように咳き込んだ。
「ケホケホ、こ、これが魔力なんですね」
「確かによく見たら、粒子になっているけど目の前の魔力が多くて周りが見えない!」
なんとなくハクは
「おおーおおおお」
ハクは目を輝かせている。
クレスは顎をさせる。
よく見ると、ハクの目元には大量の魔力が集束しており、それが視界を遮っている。
恐らくは自分も同じような仕組みで視界が遮られている。
この
原理が一緒なら、つまり自身の体内の魔力も消費している形になる。
「ハク」
「なんですか?」
「もう少し魔法の定義をしてみないか?」
「何かわかったのですか?」
「今ハクは魔力で視界が遮られているだろ?」
「そうですね」
「俺のほうも目を見てくれないか?」
ハクは少し目を細めると、
「確かにマスターの目元あたりに魔力が集束していますね これが原因ですか?」
「そういうこと」
「問題はこのままで魔法の研究するにしろ
視界が悪い状態じゃ難しいだろ?」
「ええ そうですね」
「だけど魔法の仕組みもわからないから
まるで含みがある言葉だった。
「.......え、マスター昨日からその
「うん」
その言葉を聞いたハクは、数刻きざむと顔を青ざめた。
「一生このまま?です?」
「わからない」
ハクは見えないながらもクレスの元へと歩き、「お願いします」と懇願した。
「まず 今回 魔法はイメージ、魔力がこの粒子って決めてたけど、これでは足りないような感じがしてきた。」
「と言いますと?」
「私の言葉足らずもあるが、言葉が足りない」
「ヒトはなんでも名付けたがりますね」
「うるさい そうでもしないとイメージできないからだと思うよ」
「とりあえず 魔法は
つまり 魔法=イメージではなく、
魔法=ルール作り、定義付けになると思う。」
「なるほど 確か イメージだけですと言葉が弱い気がします。」
「魔法は呪いのルールになり、
魔力は.....素粒子にちなんで
「
「アホか これから新しい定義があるかもしれないんだぞ」
少しふざけたハクだった。
「では、魔力はどうなります?」
「.....力だからエネルギーだよな
だけどどこにエネルギーなんて....」
「集束と発散なら魔素が動きますのでその動く際エネルギーを魔力にしませんか?」
ぽんと手を叩き、「それで行こう」っと言うクレス。
「ではマスター、僭越ながらまとめますね。
魔法とは、」
「いや待て」
少し首をかしげるハク。
「どうしたのですか?」
「魔法はルールとなるが実際魔法は現実に火を出すこともできるこれをなんと呼ぼうかと思ってな」
「普通に現象でいいんじゃないですか?」
「ま、それでいいか ハクすまん邪魔した」
「いえ では改めて
魔法とは、 現象を引き起こす際に必要なルールや定義を意味し、
魔素とは、 現象を引き起こす際に必要な物質
魔力とは、....魔法界の引力と斥力です
そのため、現象を引き起こすために
魔法で 定義し、 魔力で魔素を引き出す
うーんこれだと何か足りないような....」
「足りない?」
「はい それだと例の....そのマスターが....倒した男の
少し微笑むようにクレスは言う。
「そういうときは殺したでいいんだよハク」
「けど....」
「罪は背負わないといけない」
「.......」
少し俯くハクにクレスは頭を撫でる。
「......とりあえずそこまで定義できたらかなり十分だ それが.....わかれば」
クレスの脳裏で思い出す。
そこには術式という言葉を、
「完全に忘れていた」
「マスター?」
「そうだ 術式だ 術式だよハク」
「魔術理論に書かれていた言葉でしたっけ?」
「そうそれ 以前ハクは変数の定義を教えてくれたな」
「ええ」
「なら 魔法とは変数であり、魔素とはクラスだ。
そして魔力は実行する際に必要な電力だと仮定する。
そうそれだと足りないんだよ」
「?」
少し興奮気味なクレスに追いつけなかったハク。
「わかりやすく言うなら、
魔術理論にあった口頭術式で行くと、
ハクはそこで気付く。
「」てことは!? 口頭術式はメソッドですか!?
「そういうこと
つまり 実際に現象として発現する際には、口頭術式、文字術式うんぬん含めた
こう動いて欲しい、ああして欲しいという命令文だ」
ハクは察する。
「つまり あの男のユビキタスは実際は"発動"していなかったと?」
「"現象"としてな だが脳内には起こったと錯覚する。 幻覚魔法の一種になるかもな」
「幻覚...あれが」自身の手を見て、何かを思うハク。
「プログラミングでも"実行"されてるのに、"起動"しないのと一緒だ。
一番怖い エラコード吐きまくるのに何故か動くやつ」
「マスター それ私はわかりません
凄く苦労してたっぽいのはわかりますが」
「ですが....確かに そうしたほうがいいかもしれません!! では早速!」
何かを思いついたのだろうが全く検討がつかないクレス。
魔法で定義する 術式が命令文
魔力が動力なら
クレスから見るとハクの目元にあった魔素が集束して消えた。
ハクは目を開けると先ほどの魔素に
「できた!」
「」おおー
ぱちりぱちりと手を叩くクレス。
しかしふっとハクの目に魔素が見えなくなった。
「あれ? 見えなくなってしまいました。
恐らくは有効時間があります。」
「そうか ならその魔法を教えてくれ」
(やっぱりハクは天才だな)
―、
「おお、やっと普通になった。」
「やりましたね マスター これで魔法の研究が一歩進みました!」
「これ一歩どころか大躍進だろ」
「ですね」
イリアス
「うるせー」
と書斎の奥から現れるイリアス。
クレス
「あ、起きたかイリアス」
ハク
「おはようございます イリアス」
イリアス
「昨日の今日なのに のんきに魔法研究って....クレス魔法使えたのか」
クレス
「え、今知ったの?」
そう動揺を隠せないクレスに、少しこめかみに力を入れたイリアス。
「さっき腹を刺されて、
ハク
「そうですよ マスター イリアスは
このお昼時になるまで寝ていた心身ともに疲労を起こしていた怪我人に言う言葉ではありません。」
イリアスはハクの
「なんかハク おとなしくないか? もっとこう見下す感じじゃ」
ハク
「いやですね あんな
敬意を現れるのもやぶさかではないといえますか」
そうえっへんと胸に手をあてるハク。
クレス
「いや 今罰ゲーム中」
沈黙が走る。
イリアス
「罰ゲーム?」
クレス
「ああ、友達自慢で勝利した際にハクには罰ゲームを入れた。
内容はサリィ王女とイリアスに"敬意"を持って接するということを叩き込んできた」
イリアス
「そ、そうか....そうなのか?ハク」
ハク
「え..ええそうな...ります」
イリアス
「いいね(≧∇≦)b」
ハクは少しイラッとしていた。
「はい敬意が足りないよー」と野次を飛ばすクレス。
イリアスは思い出すかのように言う。
「いやそんな
このままだと明日明後日でも僕殺されるよ!?」
切実な思いが口から出ていた。
昨日の夜、このままイリアスが危ないという理由で3人で教室の狭い書斎で寝たのだ。
だが興奮気味か警戒心かよくは眠れなかった。
「のんきと言っても、イリアスが起きてもらわなければ話は進められないから仕方なかったんだ」
理解はできる。という顔でイリアスはクレスの言葉に返した。
「そうだよな 俺が狙われているんだ
なにが起きているのか考えられるのは僕だもんな」
ハク
「何か分かることはありますか?」
「そうは言われても...」と周囲を見るように考えるイリアスだが、依然答えはつかなかった。
ぐぅうと腹の虫が鳴る。
それはクレスからだった。
「お腹空いたし、食堂で考えようか」
イリアスとハクはその意見に頷き、食堂へと向かうこととなった。
―、
意外にも食堂は人でごったかえしていた。
イリアス
「食堂の食事はおいしかったがここまで賑わうことなのか?」
クレス
「いや初めて見る」
イリアス
「だよな 貴族寮だとメイドや執事が料理を
聞けば商人などは宿屋で食事のはずだけど。」
ハク
「いやあれ ほとんど教授陣ですよ?」
そう指をさすと、教授には斜めがけの布地を肩に掛けている。
そこに掛けられたアップリケによって、役職や功績が分かる仕様になっている。
だがその流れの中には、幾人か学生であろう子供何人か居た。
クレス
「朝からなにか準備があったんだろうな」
そう推察するほかはなかった。
貨幣を支払い、食事を受け取った。
そこには昨日食した食事とは全然毛色が違う内容だった。
ひよこ豆と人参などの野菜が切り刻まれ、ラードとシナモンで味付けをしたスープ。
朝からの焼きたてのパン。
コップ1杯のレモンで
真鍮貨2枚だった。
味付けは日本人としては........パンと蜂蜜酒は意外にもといった感じだ。
イリアスは....というと結構箸を...いやスプーンだな スプーンを進めてるようだった。
今気づいた。
そういえばハク付いてきてた。
尻尾は?
ハク
「? なんですかマスター?」
ハクの体には一切角や翼などは見当たらなかった。
変身魔法さまさまだなと思う。
がやがやと騒がしい食堂での会話が始まる。
クレス
「結局思い当たる要素はあったか?」
そう投げかけたが「全然」と一切思いつけなかったイリアス。
話は進まなかった。
沈黙が続くと、周囲の声が耳に届くようなった。
「なぁ知ってるか?」
「知らない」
「いいから」
近くに居る学生の声であろう会話が聞こえた。
「うちの学校って戦術考学があるだろ?」
「ああ、うちの執事にも護衛訓練のため行かせてるよ」
「あっちでは実際の戦場を伝えるため、傭兵を限定的に雇うことがあるんだ」
「限定的?」
「傭兵に良し悪しあるからな
ヤバい傭兵が学校に入れたら、さすがに学校の威信に関わるだろ?」
「そうだな 各国の
「そう だから2つき時限定で入校許可している」
「2つき時だけか?」
「そ!、
そのかわりに莫大な依頼料が貰える寸法さ なら向こうも裏切ろうなんて思わないだろ?」
「まぁそれはそうか」
2つき時というのは、時間的観念の使い方だ。
昼ひとつは6時、昼ふたつは8時と扱われるが、これをそのまま扱う。
2つき時は4時間の校内滞在を許可するということになる。
「でさ!」......
イリアス
「そうだ 思い出した」
両方の会話が混ざる。
「知ってほしいのは、今回なんと伝説の
「まじか」
イリアス
「そいつは楽しそうに俺の腹を刺したんだが、なんで俺を殺すって言いながらちゃんと殺さなかったのかなって」
「まじまじ 雷鳴はな 判断力の速さから一際噂になってる男って噂らしい」
ハク
「ただの快楽殺人鬼だからでは?」
「確かあれだろ? モノの10秒で5人殺したやつだろ? そんなやつ学園に入れていいのか?」
イリアス
「そうと言いたいんだけど、あの察しの良さが
「いいんだろ さすがに
ハク
「それはそうかもしれませんね イリアスを殺すってなったら、もうとっくにしてるじゃずです。」
イリアス
「あんまり嬉しくないけど....どこか違和感がある」
「だけどそいつ
クレスの耳に違和感を感じる。
ハク
「と言いますと?」
「なんで? 戦場帰りにしろだろ」
イリアス
「依頼内容にもうひとつ
「死因は焼死だと なんでも内側から燃やされたように炭になってたとか」
クレスは昨日のことを思い出す。
確かに
ハク
「暗殺者ならその含みも達成できそうなんですけど」
「だから 新しい代理の人が来るんだって!
しかも5人だぜ」
クレスの目に動揺が走る。
イリアス
「言ってなかったか? あいつ 自分のこと
「5人? 5人組で有名なところって」
少しずつ少しずつクレスの心臓は高鳴り、時間がゆっくりと経つ。
「ああ、泣く子も黙るダンタリ騎士団だ」
クレスは一瞬でイリアスのほうへと顔を向ける。
イリアスはそれに気付き、どうした?と言った。
だがその後ろには1人の男が立っていた。
「イリアス」
その男はイリアスに声をかけた。
後ろから聞こえたイリアスは振り向く。
そこには斜めの布地を掛けていた教授が居た。
「あ、ロウラン教授」
ロウラン
「イリアス君 昨日忘れ物をしていたよ
ほら」
彼の手から何かが出る。
よく見るとワッペンのようだった。
星形の図形が様々に散りばめられたワッペンだった。
「君は辺境伯の子息なのですから、このワッペンを忘れてはいけません」
イリアス
「すみません ロウラン教授」
指をあげるロウラン。
「社交界では、一目でどこの貴族か分かるようにワッペンを作られています。
それはある意味、家名を背負うと思わないといけません。
ワッペン程度では貴族を名乗ることはできませんが、誰かに拾われたら悪用されるかもしれません 大事に扱うように」
とワッペンを渡す。
イリアスは「ありがとうございます」と受け取った。
ロウラン
「では私ここで」
とその場から離れた。
クレスはそこから離れていく教授の背中を見た瞬間に、イリアスに言う。
「はやくここから離れるぞ!」
その行動に驚いたハクとイリアス。
「ど、どうしたんだよ」
「」ま、ますたー?
突然の行動にクレスの立ち上がりについて行けず、イスに座ったままの2人。
クレス
「」いいから!!
その言葉を従うしかなく、クレスの背中についていく他なかった。
イリアスは足早のクレスに追いつき、そのまま話しかける。
イリアス
「」。だから! どうしたんだよクレス
ハクはなんとなく雰囲気で顔を凄んだ。
クレス
「イリアスの暗殺の
イリアスは依然クレスの行動が読めずに居た。
「そ、それがどうしたんだよ」
「殺したら殺したで、何らかの報告手段と
つまり期日までは新しい刺客はやってこない」
ハク
「..........バレたのですか?」
イリアスはようやく空気を読むことができた。
「」まさかっ!??
クレスは一瞬立ち止まる。
「」そのまさかだよ!
「俺たちが殺したあの男は
イリアス
「知っているも何も エルテ帝国最強と名高い十二聖騎士団に匹敵すると
クレス
(イリアスは情報通だな)
「そいつが昨日死んだらしい 死因は
イリアス
「.........いや、そうだったらなんで俺たち生きている?」
クレス
「さぁな ともかく急ぐぞ」
イリアス
「ど、どこに?」
クレス
「わからない! その
だが死亡発覚で代理を送り込んだらしい
5人組だ」
ハク
「早すぎます どこかで見ていたとか?」
クレス
「わからない 俺だってこんな状況初めてなんだ 一旦落ち着きたい!」
イリアス
「そ、そうだな あ、安全な場所に
そ、そうだ 僕いいこと思いついた
ロートリウス様のところに!」
クレス
「無理だ 師匠は俺の村に居る 2週間かかる 馬で追いかけられたらすぐに捕まる。」
イリアス
「な、なら教師陣に伝えたら!」
クレス
「誰が俺たちを監視していたかわからない状況で相談なんて乗れるか?
大人は子供の戯言に付き合ってくれるとは思えない」
イリアスはふと父の背中が見えてしまった。
クレスは苦虫を噛み潰したような顔で言う。
「完全に孤立無援だ」
目の前に集中していなかったのか、扉から出てきた人物にぶつかる。
バタリとクレスは後ろに倒れ込んでしまう。
「おや すみません 大丈夫ですか?」
クレス
「す、すみません」
「ほら立ってください」
そう手を出されたので、掴み立ち上がるクレス。
ふと頭をあげると、緑の首掛け、かきあげた金髪、青の瞳の男。
クレス
「え、でり様?」
エデリは少し眉を上げる。
「おやクレス お久しぶりですね
どうですか学園生活は? お友達は出来ましたか?」
そうクレスの後ろにいる2人を見ると、ニコリッと笑う。
「そうでしたか
はじめまして、私はエデリと言います。
助祭の身ではありますが、どうですか?
クレスはどこか迷惑をかけていませんか?」
そう2人に質問をした。
イリアス
「え、えとはい 彼は親身に私たちと関わってくれています。」
ハク
「はい 先ほどクレスと一緒に
そう素っ気なく返したハク。
クレス
「え、エデリ様はどうしてここに?」
エデリは後ろに振り向く。
「用向きが御座いましてね お呼ばれしたので、楽しく
クレスはエデリの目線に目を向けると、そこは神秘学の学部長の私室だった。
クレスは考える。
ここで相談するべきかどうかを
どう説明したら理解が得られるのだろうかと
エデリ
「そういえば2人のお名前は?
クレスのお友達です。せめてお名前を知りた
い」
ハク
「ハク・ミカエラルです」
イリアスはハクに目を向ける。
()。え?そんな名前なの?
貴族たる礼をし、
「イリアス・ロンドールと言います。」
エデリは少し目を開ける。
「そうでしたか ハクとイリアス 覚えました。」
少しクレスは考える。
そして、―
「それでは エデリさま 私たちはここらでお暇させていただきます。」
少し残念そうに見つめるエデリ。
「そうですか クレス 学園生活をどうぞ楽しんでください」
礼をして、「ありがとうございます」と2人ともに呼びかけ、その場を後にした。
その3人の背中をじっと見ていたエデリ。
――――――――――
学園の門の前に向かっていく馬車があった。
がしゃりがしゃりと木製の輪に
ひひーんと門の前にいる検問の前で止まる馬車。
検問官はその馬車に近づく。
「何か用向きでしょうか?」
「ああ、用があってな
「なんと ではお名前の確認と証明書、招待状の書簡をお見せください」
と何人かの検問官が集まり、1人は
馬車の先頭に立っていた男は、
「参ったな 適当にしまっちゃった
ちょっち待っておくれ すぐ用意する」
と頭をかき、馬車の奥へと入っていった。
「早くしてください」
がたりがちゃりと音が聞こえ、再び男が現れる。
「はいよ」
そう手に出したのは、布切れと招待状だった。
その布切れには紋章が描かれていた。
真ん中の盾はなく、だが見えない盾を前に旗が後ろに靡いており、左右にたてた剣が置かれていた。
下に細く描かれた虎と上に三連星が書かれていた。
「これは....」
「ダンタリ騎士団さまですね」
検問官の1人はパピルスで確認すると、
「5名の来訪ですね 5名ですか?」
「「うい、おう、だは、がぼ、っそっすね」」
くすりくすりと笑い声が聞こえる。
検問官は馬車の中を拝見し、しっかりと合計5人居ることがわかった。
念の為、馬車の下を覗くが誰もいなかった。
先頭の男は
「おいおい 学園の検問官は怪しかったら女のスカートを覗く
そう言うと馬車の中にいた男どももそれに伴い、爆笑していた。
検問官は冷たく「仕事ですから」とあしらった。
「へぇそうかい」そうにやりと笑う。
「よし、招待状に疑いなしです。」
それを聞いた検問官たちは頷き、馬車から離れ、門を開けた。
「2つ時の滞在を許可します。通ってよし!」
「あんがとよ」
そう言うと馬車の席にすわり、馬の尻をムチで叩く。
すると馬車は学園のおくへと入っていった。
「団長 入れましたね!」
「うーし 依頼通りこなすぞー」
「ガキ
「いくぞー」
「「うーす」」
4人は適当な反応をしていた。
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