第一章:学園編
一章: 第六話 この世界には名前がある!!
「ここがアルテメリア学園...」
そこの門戸の前に経つ少女は、教会の牧師の格好をしていた。
肩にかけられた布は白、ブロンドの中では暗い肩かかる程度のミディアムレイヤー、美しい琥珀色の瞳。
「ようやく...ここまで来たようやく」
そう握り拳とともに、ここまでの苦労を思い出す。
―――
――
―
はぁ....仕事仕事仕事
ねぇ多すぎない?
疲労が多いのか、その足取りは千鳥足になっておりふらりとふらりと帰り道に向かっていた。
「だけど、【アルテメリア学園】の新作制作発表があったんだ 私新作発売まで全然死ぬつもりないんだから!!」
そう握り拳をしていたが、力が入らなかった。
肩をおとし、まるで幽霊かのように帰路を辿る。
ただいまーと暗い部屋に電気をつけるが返ってくる声はひとつもなく、どこか物悲しさからまた大きくため息を吐きつつ、ワンルームであろう部屋へと向かった。
そこにはゴミにまみれ、下着などはほっとっきっぱ、無作法に置かれた化粧品だった。
余裕がないのか部屋は汚く、とても人を呼べるような状況ではなかった。
無情なく風呂に入り、髪をかわかし、マスクで保湿をする。
「うしっ 【アルテメリア学園】やろ!!
新作制作されてるんなら再履修よ!!」
アルテメリア学園とは―
中世ヨーロッパに近い舞台で、様々な国の重なる国境中心に学園都市と呼ばれる学校があった。
そこは各国が融資し、建てられた学校。
それは戦争に塗れた国家間の話し合いで儲けられた一種の平和条約と国家間での小さな政治の舞台となっていた。
そこで主人公の女の子は一男爵の娘として、社交辞令を学ぶためこの学園に来た。
そこでの出会いが もうたまんないよね!
だけどあまりの人気ぶりに会社が買収されて、二作目が作られたけど駄作中の駄作で一気に人気が落ちたのよね...
だけど1作目の制作陣が戻ってきて、もっかいアルテメリア学園を作り直すって言っててね
3作目のアルテメリア学園は別側面から見た答え合わせみたいな話。
てことはあの話の真実を描くってことだよね!。
そうかちゃりかちゃりとボタンを押すスピードが速くなっていく。
その様はまるで速読をしている気分でもあった。
―
――
深夜、カーテン越しでも分かるほど暗く光の一切がなかった。
目にくまがあったがさらにくまが深くなっていた。
...よしっここまでにしよっとゲームをセーブし、閉じたが疲労にさらに疲労が溜まっていたのか。
(ゲームは別腹ぁ....)
そうは言いつつも、回復などしようがない。
ぐったりとそのまま寝落ちしてしまった。
―
――
―――
目に光が入る。
んんーと寝起きのしんどさから目を開けると
そこは教会で、私はステンドグラスで描かれた天使と大地の絵に照らされていた。
「え?ここどこ!!??」
と驚き、驚愕してしまった。
ここが異世界だと。
(まさか異世界に行くなんて...転生? 転移?)
そう思ったが、すぐさまに答えが目に入ってきた。
薄汚れた手と体、だらしない服、そして小さくなっていた。
(転生かぁ...もし異世界行くならアルテメリアがいいのに....)
そう落胆するが、牧師が私に話しかける。
「あなた 何をやっているのですか?」
えっと驚くが、牧師は話を続ける。
「まだ掃除は終わってませんよ
ほらミエラ あちらのほうもお願いします」
そう教会の柱に指をさす。
意外にも順応が速いのかミエラは牧師の言葉に従った。
(まさかここで転生するなんて...新作発売まで死なないって決めたのに...ミエラって名前なのね私覚えとこ)
そう雑巾を強く握った。
(けどここで何があるのかちゃんと知らないといけないから大人しくしとこ)
ふきふきとしていると自分と同じような子どもが近くに寄ってきた。
「なぁなぁミエラ 牧師さまさっき買い物しに行ったんだと ちょっと遊びに出かけようぜ」
(こんな時代でも子どもは子どもで楽しんでるだ...ふーん)
「けど勝手に外出たら怒られるんじゃ」
(普通に考えたら怒ってきそうだからね予想予想)
「いいじゃん 行こうぜ」
そう手を引っ張る。
あっとドアを開ける。
そこは中世の世界観に馬車、賑わう露店、綺麗な建物 異世界と言ってもナーロッパと揶揄されているが、ここはどこか見たことがある光景だった。
子どもはまだ私の手を引っ張る。
ほらあそこ!!
そう指をさす。
そこには絶壁があった。
私は知っている。
それを知っている。
ふと後ろに背を向けると、
晴天が広がる目の前には、
一重、二重、そして先の三重の大きな城壁
一種の砦を擁しており、その間には街に教会があり、それがずらりと並んでいた。
その坂道である道路を駆け上がっていくと、
一歩一歩踏み出す事に心臓が高鳴る。
この街を知っている。
それは目の前の城壁を抜けるとすぐに分かった。
周囲は貴族区なのか豪奢な馬車や彩られた服、煌びやかな人々。
そして正面に広がる大きな柵、大きな鉄扉で彩られたその先はルネサンス様式に日で照らされた赤く燃える屋根に豪奢な大理石で建てられた広大な建築物、
アルテメリア学園その校舎が見えた。
私は 目を輝かせるほかなかった。
落胆から有頂天となり、奇跡はきっとこのことを指すと思った。
いや思ってしまいたいほどだった。
よしっここに通おう!!
―そう考えたが、アルテメリア学園に入るためには身分が必要だった。
一つは、貴族であること。
4親等以内に階級男爵以上が居ないと入学を断られる。
この格好見るに絶対私は孤児なので難しいっと。
一つは、ゼミの教授に推薦されること。
ってほぼありえないレベルなんだよねこれ。
だってゼミって世界各地の頭いい人(大人)しか受けれないほど場所だもん。
いわゆる論文発表会で教授達がお互いに論文発表しまくってるような感じかな?
ゲーム内では登場しなかったな ゼミ推薦の子
うん☆無理☆
そしてもう一つ、
教会から推薦を貰うこと
これは聖典が読める人なら、必ず推薦状がもらえるらしい....
ただし将来は神学を学び、牧師が確約されている。
ていうか女の子だから推薦状もらえるか怪しいんだけどね
けどゲーム内ではそういうキャラクターが出てこなかったから依然わからずじまいなんだ
だけどこれが...これしかない!!
そう意気込むほかなかった。
「私は絶対見るぞ!! ヒロインたちの幸せハッピーエンドを!!!!!」
―そして現在、
それは偶然にも主人公たちと同じ学年で入ることが出来た。
「ご機嫌よう」
美しいロングな茶髪に緑の瞳、丁寧な所作で歩くさまはまさに主人公!!
彼女は ダルトリュート男爵家令嬢 ミカエラ・ダルトリュート
このアルテメリア学園での主人公。
お、あれは
「やぁみんなおはよう」
そう整った容姿にウェーブのかかったショート紫髪、緋色の瞳に魅入られるような唇のホクロ、妖艶な少年。
彼はデルペ王国宰相 その令息マクナガル・エンテ
「ああ、おはよう」
その彼に返すように言う金髪マッシュ、碧い瞳 気品あるその姿 彼はエルテメール帝国 第二王子
アルラン・エルテ
アルラン
「ほらお前も挨拶を」
その横に立っていた金髪ストレートパーマの緋色の瞳の気弱そうな少年。
エルテメール帝国 第三王子
トリステル・エルテ
トリステル
「う、お、おはよう」
かわいい
「まぁいいじゃないか お互い昔からの仲なんだろ?」
そう優しい声色で諭す緑髪ロング、紫の憂いた瞳、歩くさまは花畑があるような少年。
ガンドラス王国群 その統括軍総裁令息
アルト・エフェメル
「そうは言うけどな、挨拶は大事ってもんよ なっ?」
アルトの肩に手をかける赤髪ツーブロックショート、黒い瞳の快活豪快な少年。
ピピン公国 公爵令息
グラディウス・ピピン
周囲の声が聞こえる。
コソコソ「ねぇあれって」
「かっこいい」
「いつかお近づきになりたいわ」
王子達は羨望の的だったようだった。
その光景を見たミエラは、
ああ、尊い なんて尊い...(尊タヒ)
あれが本物 ずっと眺めていたい!!
けどここで物語が始まるわけじゃない
もっと先、今日の授業が終わりごろに出会いがあるのだ(使命感)
わっわっと小さなかわいいいきものに蕩けそうになるのを必死に抑えた。
授業は退屈ではあった。
苦労しすぎたせいか、教会からの推薦状を獲得するために聖典を全文覚えてしまった。
もともと教会の推薦で学園に入ることは基本的には特例だった。
教会の権威とコネづくりのために設けた施策はこの条件に適う子どもは居なかった。
しかも教会の権威を女の子である私に渡すってなると相当物議をかもしたらしい。
だがそれでも、聖典の内容をつらづら述べてたら大司教さまの認めたようで無事認可されたという感じでした。
だからかなー
推薦の必修科目に神学(宗教学)を学ばないといけないんだけど、思ってるよりも退屈だった。
周囲は同じようにみんなと勉学を受けるものの口頭弁論はノートなしでやるのはキツイ。
しかも悲しいことに主人公のミカエラや王子達の貴族たちが受ける科目が違うことだった。
この学園では、
学部
自由七科 社交術 神秘学 哲学 医学 法学 戦術考学
と大まかに分けられる。
基本的にこの学園では好きなのを受ける形で大丈夫で、聞けば教授からの推薦があればほとんど授業を受けなくても卒業できるらしい。
貴族階級は必ず社交術と法学を学ばせるらしく、
私や助祭候補たちは哲学、神秘学をメインらしい
ちなみに助祭候補たちは推薦状ではなく、基本実費での入学金を支払って入学できる形になる。ちゃんとした位じゃないといけないため、齢は20以上が多い。
あとはお好きにどぞーって感じで学ぶ。
時代が時代なのかそこまで進んでないように感じたが意外にも授業内容のレベルが高く、かなり勉強になるとこもあった。
だけど所々エーテルとか神が作り給うたって言わないでほしいかもってのがたまに傷だとは思った。
これも時代なのかと感じた。
学科で思い出したけど、
ここではクラスってのがある。
クラスとは―
特定の教授が開いた認可や推薦がないと入れない教室を指していて、そこでは専門的な知識を受けれるらしい。
もともとこの校舎は広く作られており、
半円状の部屋に少し広々と作られた階段に座る形式で受ける。
基本的に教授一人に百人が受講する形で、書き物はない 口頭での説明が多い。
そしてクラスはその100人以上の中で選ばれた生徒しか入れない教室を指す。
基本は教授たちのゼミとしてクラスがあるらしいので、まぁ入れる子は居ない。
(ゲーム内に居たっけ?噂程度しかなかったような)
1部屋百人ということは、お察しの通りここアルテメリア学園は全校生徒2000人を擁する大学校でもある。
だから費用削減のため、紙に使うパピルスはテストや工学のときのためにしか使わない。
そのため、最悪全テスト口頭もあるとか....鬼か!?
2000人も擁するとなると国家間での派閥争いがあり、
基本は同じ国出身同士で集まることが多い。
一つは エルテメール帝国派 ピピンはここ
一つは ガンドラス王国群派
一つは エーゲ海洋帝国派 デルペはここ
一つは 南アディス大王国派
王国群ってのは小さな国家が寄せ詰まった連合国家で、...アメリカ合衆国みたいな感じかな?
その統括機構の軍の総裁の息子がアルトくんすごいね!
この4大派閥で分けられていて、
国家間交流のためご子息たちを送っているらしい 国際平和に役に立っており、逆に学園にヒビが入れば平和が終わるという中々に際どい学園都市。
逆に言えば、
学園都市に喧嘩を売れば、この4大派閥の応酬にあうと考えれば、ある意味平和の一助になっていると考えたらすごい話だと感じた。
だけどここでも、権謀術数するのが貴族。
派閥争いに派閥内での権力争い。
ここは小さな国家間政治の舞台に行っている気分にもなる。それがここアルテメリア学園だった。
そこで主人公たちは様々な出会いや経験を経て... うん 良き だからこそハッピーエンドにしないといけない。
そう私の心に肝に銘じた。
必ずや ハッピーエンドにさせると!!
―
――
―――
授業が終わった。
ここから物語が始まる。
くっふふ
お、がさりとミエラは草むらに隠れ、待つことにした。
それは....
「あなたね! 誰にぶつかったかわかる?」
きゃっと光で照らされた茶髪が乱れる少女。
すみません、すみませんとなんども何度もお辞儀をし、謝罪の意を示すミカエラ・ダルトリュート。
そして彼女を責め立てる3人の少女。
「このお方が誰か分かる!?」
先ほどミカエラを押したのは、
彼女はエレミナ伯爵家第三令嬢 クレア・エレミナ
ゲーム内では、ミカエラをいじめる三人衆の1人。
確か結構粘着質な子なのよね
「そうよ!! 歩くならちゃんと前見て歩きなさい」
クレアの隣で、注意をする彼女は
ミケラ伯爵家第二令嬢 へルナ・ミケラ
彼女は言ってることは全然間違ってないんだけど、言ってる言葉と行動が過激よりなんだよね....
そして彼女たちの後ろに腕を組みながら、佇む彼女は
クレア
「彼女は カルタミナル侯爵家令嬢 アリス・カルタミナル様よ!!
ちゃんと謝りなさい」
ミエラ
(言われた....)
彼女は滑らかなピンク髪のサイドドリル、
高慢ちきな女の子。
さっきからミカエラはずっと謝っているがそれで済むならとっくにすむような子たちじゃないんだよね。
アリス
「ええ、そうよ あなた 人にぶつかっておきながら謝らないなんてどうかしてるわ」
ミカエラ
「も、申し訳ございません」
アリス
「謝って済むと思ってるの?
ほら見なさい! 服が汚れたじゃない!」
スカートの裾にちょっとした汚れがあった。
ミカエラ
「え、あのすみません」
ゲームでは、ミカエラは学園で緊張し、注意不足でアリスにぶつかってしまい、この場所でミカエラを追い詰める。
そしてここで...
がさりっ 「君たち何をしてるんだ!!」
と後ろから声が聞こえる。
そう第二王子 アルラン・エルテ....
あれ.... まって今後ろから聞こえた?
真後ろに気配がある。
え、まっていま振り向きたくないんですけど
全身に冷や汗が湧き出てくる。
アリス
「あ、あなた様は」
へルナ、クレア
「「アルラン様!!」」
ミカエラ
「え....っとー」
ミカエラの目線は第二王子ではなく、その足もとで屈んでいる少女に行った。
アリス、へルナ、クレア
「「え?」」
4人の少女は草むらからかき分けて出てくる第二王子の目線が下へと向いており、その目線の先にちょうど足をかがみ見つめる私を見ていた。
・・・沈黙がツライ
ギィギィいとゆっくりと錆びたネジを回すように首と体を後ろに振り向いた。
そこには輝く金髪マッシュ、碧い瞳の王子様が真下にいるこちらを見つめていた。
ああ、まって尊い 死ぬけど死ぬほど気まずい
ゲームでは確かにここは王子様の登場シーンのはず
登場シーンだけど、どこから出てくる場所かは
☆やっちゃった☆
まさか尊さMAX出会いシーンの場所を特等席で見るって決めたのに失敗してしまった!!
どうする? どうする!!?
私 考えるのよ!
王子はただじっと私を見つめていた。
恐らくはいじめられているだろうミカエラを助けようとしたところを偶然草むらから眺めていた私を
ミエラ
「あ、あの...その」
一同「・・・・・・」
ミエラ
「すみません 私がアリス様のスカートを汚しました〜!!!!!いつか弁償いたしますー」
アルラン
「あ、ちょっと!!」
アルラン
ぴゅっ〜とその場から走り去っていった。
さようなら
さようなら アリステラ学園
私 どうにかあなた達を幸せにしたかった((泣))
涙をさらし、走り去っていった。
『あと言い訳適当すぎない私???
なんで4人助けようとしたのよ
意味わかんないだけど....
けどもう仕方ない あんなんでもいい出会いだったってことを祈ります!(怒)』
早口
―周囲は沈黙を破るにはどうにも出来なかった。
アルラン
(え、あ、うん)
アリス
(え、?どうゆうことですの?)
へルナ、クレア
(......)
ミカエラ
「そのアリス様」
アリス
「は、はい!!」
ミカエラ
「先ほどぶつかってしまい、申し訳ございませんでした。
その服どうにか弁償いたしますので、今はどうかご容赦のほどを」
アリス
「い、いえ 大丈夫ですわ こんな汚れ程度気にするようでは侯爵家の名折れですものおほ、おほほ」
へルナ、クレア
「「アリス様!!??」」
アリスは考えた。
先ほどの
偶然...だとしても立場が悪くなる前に"公明正大"と謳われる第二王子に一種の言い訳をさせてもらう猶予をもらったんだと考えた。
アリス
「けど気をつけなさい この学園で人にぶつかるときは変な言いがかりをかけらるからね あなたに経験させてあげたのよ
いい予行練習になったこと感謝しなさい」
上から目線だったが、どこか優しげのある言葉をミカエラに投げた。
ミカエラ
「え?あ、あの....そのありがとうございます」
ミカエラは訳も分からずにアリスにお辞儀した。
アリス
「では行くわよ 二人とも」
へルナ、クレア
「わ、分かりましたわ」
第二王子アルランはこの光景がまるで興が削がれたかのように解散が起こった。
そして真意は分からないが、アリスと呼ばれる主犯格は"学園での言いがかりを気をつけなさい"という注意事項にしては過激だった。
貞淑ある学園で、いじめはよくないから止めようとしたんだが....
だが、
アルラン
「君大丈夫か?」
ミカエラ
「は、はい 大丈夫です」
アルラン
(外傷はないな)
「君 名前は?」
ミカエラ
「はっ!?失礼しました わたくし
ダルトリュート男爵家 その一子
ミカエラ・ダルトリュートと申します。」
そうスカートの裾を持ち上げ、綺麗な礼をする。
アルラン
「そうかミカエラか」
(ダルトリュート家のものか...)
そう考え込むように顎をさする。
ミカエラ
「あ、あの殿下 ご厚意はありがとうございます ですが心配していただくほどのものではございません
その 失礼させていただきます!!」
ささっとその場から離れようとしていた。
だが足場が悪かったのかすぐさま地面にあった木の根にぶつかってしまった。
きゃっ 地面にぶつかりそうになる。
大丈夫かっ!? アルランは倒れそうになるミカエラを抱きかかえ、助ける。
アルラン
「たくっ失礼にするにしても、道には気をつけたまえ」
ミカエラはあまり男慣れしていなかったのか、顔が近いアルランに頬を染めてしまった。
ミカエラ
「あ、あのその」
アルランはミカエラをちゃんと立たせた。
ミカエラはもう一度アルランにお辞儀し、
ミカエラ
「ありがとうございます 殿下 私はこれで....」
そうピューと足早へと校舎へと向かった。
アルラン
「おーい足元には気をつけろよー」
と声を投げかけたが返ってくることはなかった。
「ふむ...心配だな」
と少しおっちょこいと感じたミカエラ・ダルトリュートという人物が気になったアルラン第二王子。
ミカエラは少し息を切らせながら、胸を抑える。
「お、驚きました まさか殿下がいらっしゃるなんて
けど
未だ分からぬ暗いブロンドの少女の心中を慮るばかりだった。
――
―
ああ、死んだ もう死んだ 一切死んだ
もうどうにもならない
ミエラは頭をかかえた猫のように叫んだ。
あぁあーああぁー
ハッ!!??
今日のイベントは
まるで水を得た魚の如くミエラは元気になり、もう一つの
ここは世界各地にある書籍や書類を寄せあつめた"
ふっふふ ただじゃ転ばないのが私なのよ
前回のアルラン様と出会いシーンでは、私が草むらに隠れた
ならば、
イベント発生場所は地下一階にある伝承
私は隣の区画、論文区画からイベント場所を眺めた。
大きく建てられた本棚に隠れるようにいたら、伝承区画内にふわりと茶髪が揺れるミカエラを見かけた。
おし、彼女に付いていこう。
ミエラは計算した。
ざざっと適当(適したという意味ではない)計算式が溢れる。
ふふんここからこうまで、そして彼女の頭に数式が集まりビッククランチからビッグバン(直感)が起こった?。
そうここは円形の段々エリアになっており、
全階層吹き抜け形式になっている。
つまりここが地下一階なら地上一階からその
私は推したちの生活をただじっと眺めたい
そしてハッピーエンドのため、暗躍したい
現場位置 ヨシッ! 周囲に
走れ〜私ー 行くんだ 楽園へ向かうんだ!
走った。
私は走る。
『楽園は一望できるからこそ楽園なのです。』(名言ドヤッ)
そう私は期待していた。
―ここでダイスロールです。
カチャカチャカロっと 出目:97
※今回はミエラの幸運値37で比較し、出目が37以内であれば、成功、
出目38以上89以下なら失敗
それ以上が
階段に登ろうとした瞬間、
目の前を見ていなかったのか何かにぶつかり、ふぎゃっと不甲斐ない声が出てしまった。
階段から落ちそうになったが、誰かに抱きかかえられた。
おっとっと大丈夫かい? そう艶のある声が聞こえる。
目を開けると、そこには自身の周囲を緑色の髪でカーテンで隠れ、至近距離で紫の瞳の彼。
統括軍総裁令息 アルト・エフェメラ様その人。
〈〈〈あ、(氏)〉〉〉
アルト
「え?.....だ、大丈夫」
先ほどぶつかった少女は首をおとし、息を引き取っていた。
がくりと白くなった姿をみたアルトはえ?俺のせい?と首をかしげる他なかった。
アルト
「とりあえず保健室へと運んでいかないと」
そう彼女を抱きかかえて、その場を後にした。
―背の高い場所にある本を取ろうとした茶色の髪を上下に揺らす少女。
ミカエラ
「んしょんーしょ」
必死に足を伸ばすが、依然届かなかった。
もう一度手を伸ばすと、彼女が取ろうとした本の背に指がかけられていた。
あっそう本が取り出される姿を見て、後ろを向けるとそこには薄い金髪のセンターパート、ヘーゼルと言われる茶色と緑色の混合色の瞳のミカエラよりも背の高い少年だった。
「これかい?」
そう言った少年は取り出した本をミカエラに渡した。
ミカエラ
「あ、はい ありがとうございます。」
ミカエラが持った本の表紙を見て、言葉を出す。
「【エルテメール帝国史】か 珍しいのを読むんだね」
その言葉に驚いたミカエラは不思議そうな顔で言った。
「え、女性なのにどうして文字が読めるのかおっしゃらないのですか?」
少年はその意図読めなかったのか目を空に向け、ぱちくりと瞼を開けしめした。
ミカエラのほうへ目を向き言う。
「ああ、すまない 知り合いの女性も文字が読める人が居てね なんの不思議も浮かびもしなかったんだ」
そう言い笑った。
ミカエラ
「そうだったのですね 文字が読める方がお知り合いに」
そう羨ましそうに本を見つめたミカエラ。
少年
「ええ、とても面白い方ですよ
改めてもう一度 あなたは歴史が好きなのですか?」
ミカエラ
「はい 本は好きです 特に歴史や伝承が好きなのです」
ふーんと合いの手重ねる少年に、少女は続けて言葉を紡ぐ。
「様々な世界に積み重なった人々の思いが悲嘆や感動を歴史として描かれる そして現代に語り継がれる姿が本と呼ばれるのだと私考えています。」
「深いね そうだこれも何かのきっかけだ
一つ面白い知識を教えようか」
「面白い知識?ですか?」
気になる?と指を上げながらに質問をする少年。
ミカエラは「その知識とはなんですか?」という聞きたいと答えた。
少年
「ここ
ミカエラ
「知りません 珍しい形だなと思いましたが何か理由があって作られたのですか?」
少年
「うん この円形には天窓やガラス窓を通じて、日中どこにでも光が差すように作られていてね 灯りを使わずにいつでも本が読める状態にしてるんだ。」
ミカエラ
「へー確かにそうですね
どうして日が明るいと思ったらそういった理由だったのですね。
太陽は東から登り、西へと落ちていきますね けど本や書類、特に
少年
「詳しいね」
ミカエラ
「はい 幼少の頃に父に教えてもらいました。
紙は陽と湿気と虫に弱い!と」
そう笑顔で答えたミカエラ。
少年
「君の父君は博識なんだね けど大丈夫
よく見てみ?」
そう光があたっている中心の広場を指を指す少年。
「光がもっとも強い所にある場所は本棚の背か石の棚を設けていて、陽が当たらないようにしている。
地上一階、2階もそうだよ
本に光が届かないような建築の仕方をしているんだ。」
ミカエラ
「けどおかしいです」
少年
「何がだい?」
ミカエラ
「いえ、それでしたらどうしてここは日中明るいのでしょうか?
本に光が届かないように作る それは分かります
ですがどうしてこうも光があたっていない部分も明るいのでしょうか?」
少年
「ああそれはね 光が拡散しているからさ」
ミカエラ
「拡散されている?」
少年
「光は物体から物体へ反射していて部屋の奥へと飛ぶようになっている。
これが明度と呼ばれる形で明るさ、暗さを表現しているんだ」
ミカエラはなるほどと相槌を打った。
「そしてこれは色も関係しているんだ」
ミカエラ
「色もですか?」
少年
「色にも明るい色、暗い色とかあるでしょ?
そんな感じで色によっては光を反射する度合いが変わるんだ
ミカエラはその言葉に理解は得られなかった。
「分かりやすく考えるなら金属とかかな?
薄汚れた金属は光が鈍いだろ?」
ミカエラ
「ええそうですね」
「だけどちゃんと磨いた金属は光が通って、ピカピカと光る。
これは金属の表面が荒かったら光を反射出来なくなっていて、荒くなかったら光を反射するようになっている
これは色と同じような形になっているのさ
その中で最も光に近い色はなんだい?」
ミカエラは考える。
地面の下にある大理石を見つめながら、
はっとなり少年の質問の答えを言った。
ミカエラ
「白ですね!」
少年
「そう白が最も光を反射するんだ
だからここでは白い大理石が使われている
そして日中どこからでも光が差すように作られているため、部屋の隅でも明るく見えるんだ。
ちなみに地上一階は石筆や石碑など湿気に強いもの、地下は冷えやすいから湿気と熱に弱い羊皮紙や
どう面白かった?」
ミカエラ
「ええ面白かったです でもどうしてその話を?」
少年
「ん? 歴史が好きだって言ってたからね
ついね」
ミカエラはえっと言ってしまった。
確かにその知識は面白かった。
だけどその知識は彼女が好む歴史とはどうも噛み合わなかった。
少年
「ここはね もともとエルゲ海洋帝国の代表、レムス帝国の衆議院堂を元に作られていてね 彼らの建築技術の粋を寄せ集めたものなのさ
そして布やモノの保存知識に長けていた南のアディス大王国がその知恵を発揮し、元々計算や
この学園の平和条約がなければ出来なかった。
大陸中の国の叡智の結晶が集められたことにちなんで、
ここは
これも歴史に書かれるべき内容じゃない?
歴史好きの君ならすごく惹かれると思ったから話したんだ」
ミカエラは驚く。
その知識量にじゃない、少年の話の落とし所がまるで分かっていたようなその聡明さにだった。
先ほどの疑問が途切れ途切れの線だったのに対して、彼はその一言で1本の糸にしたのだった。
ミカエラ
「ふふっ確かにそうですね とってもすごいお話をお聞きしました」
少年
「ならよかった ちなみにその【エルテメール帝国史】にも載ってるからぜひ読んでみてね
では!」
そうミカエラに背を向け、手を振る少年。
「あ、まって」
ミカエラは呼び止めようと追いかけたが、先ほど話していた少年はどこかへ消えていた。
――
―
クレア
「アリス様!! よろしかったのですか?」
アリスはクレアの呼び止めに答えた。
「いいのよ エルテメール帝国第2王子に目を掛けられたら流石に対処しきれなかったもの」
へルナ
「それは...分かりましたが アリス様のスカートを汚したことはすぐにでも弁償させるべきだったのでは?
いくら貴族でも服を汚されるのは
アリスは激昂するアルナを宥めるように抑える。
アリス
「いいのよ 私もさすがに頭に血が上ってたわ 彼女の謝り方が気に入らなかったから怒ってしまったもの
ちゃんと彼女は
クレア
「それでも私は許せません!」
―ぶつかったとき、
ミカエラは申し訳ございませんとしか言っていなかった。
貴族らしく弁償も詫びの言葉も一言もなくただの謝罪。
貴族は貴族同士にも礼儀や振る舞いがある。
『家名あるもの、ただの一言にも礼節を表せ』
この家訓を守ってきたからこそ、今のカルタミナル家がある。
クレアやへルナは私の家名を慮って、義憤に駆られた。
そして私も怒った。
だけど―
『アルミナ
「先ほどぶつかってしまい、申し訳ございませんでした。
その服どうにか弁償いたしますので、今はどうかご容赦のほどを」』
彼女は謝った。
恐らくは走り去っていった彼女が原因なのだろうと考えた。
(結局あの人は誰だったのだろう...
助けられたということ....だとしてもあれは正直
とミカエラ擁護したのだろうか?
それとも私を擁護したのだろうか?
なんとも言えない気持ちが心中に巡った。
かつかつと歩いていたら、曲り角で人とぶつかってしまった。
あ、っとアリスは倒れることはなかったが、ぶつかった人にすぐさまに謝った。
アリス
「ごめんあそばせ」
そうお辞儀をする少女。
「ああ、すまない」
そう頭を下げた薄い金髪のセンターパート、ヘーゼルの瞳の高身長の少年。
クレア
「あなたね この方を誰だと思っているの?」
突っかかるように少年に言いがかるクレア。
ヘルナ
「そうよ ちゃんとした謝罪をしなさい」
そうさらなる要求を施した。
アリスは今回は注意不足なのは自分なのだけどと思いつつも口をつぐんでしまった。
少年
「ちゃんとした謝罪か....んー」
少女たちを見つめるとスカートの裾に汚れがあった。
「そっかそうだな さっきぶつかった時に汚してしまったんだな 申し訳ない」
丁寧に頭を下げた少年。
ヘルナ
「へ、へー意外にもちゃんと謝れるんだ」
意外な態度に驚いたヘルナ。
少年
「お詫びとして」
アリスに近づいた少年
アリス
「な、なに?」
少年はかがみ、アリスのスカートの裾その汚れに手を向ける。
ヘルナ、クレア
「アリス様に何をするの!!??」
少年
「
そう言葉を投げかけると、汚れていたスカートの裾がみるみると綺麗になっていく。
まるでそこに汚れがなかったようにスカートが綺麗になった。
が、あまりの綺麗さにスカートだけが目立っていたため素早く上着も
アリス
「2回も!?」
少年
「これで許してもらえるかな?」
ヘルナとクレアは驚く。
「「ま、魔法!!」」
魔法とは神から祝された力。
その奇跡の所業を私自身にかけたのだ。
その返礼には重すぎるようなものだった。
アリス
「魔法を使うなんて...私あなた様にそこまであ、謝ってほしいなんて言っておりません!」
少年
「え? 魔法って簡単に使っちゃダメなの?」
アリス
「え? その魔法は神に祝された特別な力
そうやすやすと奇跡を見せるべきではないのです
ご存知ありませんの?」
と逆に疑問符を作ってしまったアリス。
少年
「そうなんだ そうだな 謝罪が重くなってしまったようだし、先ほどの
そう人差し指を口元に添え、しいーとウインクした。
アリスはすっとその少年の顔が焼き付いてしまった。
「ではお嬢様方 先ほどは申し訳ございませんでした 少し野暮用がございますので失礼させていただきます」
と一礼をし、去っていく少年にアリスは呼び止めた。
アリス
「あ、あなたさま お名前は?」
少年
「ん? 名前ですか クレス クレス・カルエ・デ・サルゴです 以後どうかお見知りおきを」
アリス
「クレス様なのですね 覚えておきます
服を綺麗させていただいてありがとうございます」
そうスカート裾を上げ、淑女の礼をしたアリス。
それに釣られたヘルナとクレアも一礼をした。
「この礼はいつかどこかで...」
クレス
「ぶつかったのは自分さ 礼なんて要らないよ」
アリス達は顔を見上げるといつの間にか目の前に居た少年はどこか居なくなっていた。
アリス、ヘルナ、クレア
「「あ、あれ?」」
どこか煙のように消え去った少年を探すように周囲を見渡したが、その少年と思しき影の一片すら見えなかった。
――
―――
ミエラ
「ん....んー」
うなされるように目を覚める。
目の前には知らない天井があった。
アルト
「おや? 起きたかい?」
そう私の顔を覗き込むアルト・エフェメラ。
(アルト・エフェメラ??)
がばっと私は起き上がり、アルトが居るだろう方向へ目を向けた。
ミエラ
「あ、アルト様!! ミカエラ様はっ??」
アルト
「ミカ...エラ...? 誰かは知らないがその人がどうかしたのか?」
もう驚くほかなかった。
私は頭を抱える。
他人の人生に野暮をかけない。
アルテメリア学園を第三者視点から楽しむっていう座右の銘の如き心持ちを肝に銘じていたのに!
それを一瞬で すぐに破って...しまった。
ミエラ
「アルト様に助けられたのですね....
そのありがとうございます」
もう現実から目を逸らしたい。
推しが
アルト
「あはは 君いいね 面白い」
ミエラ
(なにが?)
アルト
「だって君 僕にぶつかってすぐに気絶しちゃったもん 驚いたよw
そして起きたら、頭抱えてすぐに謝ったんだよ? 面白い!ってならない?」
腹の底から笑っているようだった。
アルト
「君 ほんとうに面白いね?」
アルトはミエラの顎をそっと手をそえ、自分のほうへ顔を向かせた。
ミエラ
「なっ!?///」
本来 この行為はミカエラ・ダルトリュートが歴史好きを好評し、それを気に入ったアルト・エフェメラ様が気に入り、顎クイするというシーンなのになのに
私が このシーンに
だけど、ゲームと違って もう眼福...
はぁ....もう...しんじゃう....
バタンキューとまたもや気絶するミエラ。
アルトはまた同じよう気絶をしたミエラに心底腹を抱えて笑ってしまった。
あははは 面白い ほんとうに面白い!!
そんな大声で言ってしまったのか、保健室の奥から医学の教授がやってきた。
「こら ここは清廉なる保健室だぞ 静かにせんか!」
アルト
「すみません 教授」
たくっと教授はその場から離れると、ぷくくっとアルトは未だ静かに笑っていた。
―後日、
ミエラは肩を落としていた。
もう一度目を覚ますと教会の自室で目を覚ましており、日が暮れていた。
もうそこから
教会から司祭様からもうカンカンに怒られました。
総裁令息に助けられるとはどういうことか?
羊飼いたるもの、人に救うのであって人に助けられてはいけませんともうカンカンに...
そして ミカエラ様からアルト様の出会いイベントを
ああーーああああーーもう頭を抱えて叫ぶ子猫のような気分になった。
アルト
「あ、君は! 昨日のー? 大丈夫だった?」
ミエラ
「あ、アルト様 その昨日のことは申し訳ございませんでした」
また目を逸らしてしまった。
アルト
「やっぱり君面白いね☆ な、な君は次どこ受けるんだい? 僕も付いていくよ」
そう笑顔でミエラの肩を組む。
ミエラ
(え、解釈違いなんですけど...それミカエラ様にやってくださいません?)
ついに訝しげな顔をしてしまったミエラにアルトはいい顔だねと褒めた姿を見つけたアルラン。
アルラン
「アルトがそんな笑顔でいるなんて....珍しい....あ・・・」
ミエラも偶然アルラン第二王子と目が合う。
「き、君は昨日の!?」
そう指を差すアルラン。
アルトはアルランの声が聞こえ、振り向く。
「アルラン居たのかって...ん?こいつ知ってるんか?」
そしてアルランはアルトに昨日の出来事事細か?に説明した。
するとアルトはもう腹をかかえ倒れてしまった。
爆笑の爆笑でアルトは死にそう、死にそうになっていた。
ミエラはもうドン引きだった。
ゲームのシナリオ崩壊と呼ぶには限度があった。
彼はもっと静かでかなりのプレイボーイだったはず だったはず。
なのにこんな...こんなの 解釈違いに他ならない ガン冷めしそうになった。
アルランはミエラの肩を掴んだ。
「君 昨日あそこで何をしていたんだ!」
と恫喝をしていた。
ミエラ
「あ、あの....その...」
(気まずい 出会いイベントを眺めたかったとか言えない ダメ絶対言えない)
指をからませ、冷や汗に冷や汗を垂らしまくったミエラ。
「ど、どうにもただ私は....」
アルラン
「なんだ? 何が言いたい?」
ミエラ
「ただたまたま...そのミカエラ様に後ろに付いていっただけでして」
アルラン
「は?」
ミエラ
「それでミカエラ様を助けようと思った瞬間に...そのアルラン殿下がお助けに...なりまして その私...テンパっちゃった....」
(なんだろう...シナリオ崩壊の可能性は考えてた だから私
心はもう小さくてかわいいいきものになっていた。
アルランはバチンと手を顔をぶつけた。
「それはすまなかった....」
それは偶然だったとはいえ、彼女の勇気を潰してしまったことはアルランの心に後悔が湧いてしまった。
ミエラ
「い、、いえ////」
穴があったら入りたい気分だった。
しかし、
アルラン
「だが だがだ『私が汚しました〜』は言い訳にほどがあるだろ!!
誰でもわかるような嘘を付くな 正直者!」
とアルランすらも笑ってしまった。
それを聞いたアルトはさらに声を荒げてしまった。
このカオスな状況に周囲はがやがやと噂をしてしまった。
「なんだなんだ?」
「あ、あんなクールな姿が美しいと言われていたアルト様があんなに顔を崩してしまって...すごくいい...」
「アスラン様があんなに笑った姿見たことないわ」
「ええ、今日はとっても良いことが起こりそう」
ただ私は
ただヒロインたちのストーリーを眺めていたいだけだったのにー
「こんなの こんなシナリオ崩壊 私は望んでないー!!」
―まるで祝福してるかのような青天の霹靂の空に慟哭をあげた。
―――――――――――――――――
少年はかつりかつりと校舎より奥へ続く回廊を歩いていた。
奥へと辿り着くと部屋に看板が置かれていた。
その名前はロートリウス。
少年はぎ、ぎいいと木製の扉を開く。
そこには誰の声もなかったが、部屋には様々な試作品や本、に黒い石板とその横に置かれた石筆、まるで研究室と言わんばかりの部屋だった。
「マスター ロートリウス様はいつ頃やってくるのでしょうか?」
そう少年の後ろに立っている白く塗られた角と翼、そして尻尾をつけた少女。
「さぁな ハク 師匠はエリザの苛烈さを治すの苦労してるんだってまだかかるんじゃないのか?」
とやれやれと肩を竦む少年。
「エリザのじゃじゃ馬っぷりはもうどうにもならないからね」
ハク
「それエリザ様に言いましたら、きっと火を吐きますよ?」
「それはくわばらくわばら」
ハク
「してマスター この学園生活如何しますか?」
「それはハク自身は分かっているだろ?」
教室の窓に指を差す。
クレス
「僕はこの学園でゲームを探してみようと思うよ」
ハク
「ゲーム...というものは分かりませんが
お手伝いします マスター」
クレス
「うん よろしくね!」
そう怪しげに笑う少年がそこに居た。
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