第239話

「嬉しいこと言ってくれるじゃねえの〜。


伊吹、辛かったこともいつかは笑って話せるくらい幸せになろうな。血の繋がりなんてなくても家族にはなれる。だってそうだろ?夫婦は血なんて繋がってない。だけど、家族になれる。」



夫婦、家族。



俺にとって縁の無いものだと思っていた。



他人と生活し、守るなんてあり得ないと思っていた。




「別に家族なんて括りに囚われなくても心から信頼して大切だと思える人が居たらそれはもうかけがえのない存在なんだ。俺のオヤジは飛鳥の親父さんだ。あの人は、俺にとって目標であり憧れなんだ。それに、飛鳥や雷亜は俺の兄弟だ。」



暁羅さんと飛鳥に救われた。



必至に金を稼いでいた。大人びていて外には出さなかったが辛くて、自分が汚くて、もう死んだ方が楽なんじゃ無いかって毎日考えてた。



そんな俺をすーっと軽くして支えてくれたのが蓮鳳なんだ。



「伊吹には、色んな事経験して、その目で見て感じて欲しい。今ここにある現実だけが全てじゃ無いってこと。世界は広くてさ何百万、何千万の可能性があるってこと。血の繋がりなんて言う小さなものに縛られてないで折角の人生楽しもうじゃねえの〜。」



背後から伊吹を抱きしめているから表情は見えないけどきっと分かってくれた。



血の繋がりは大切だけど、時にそれはただの足枷にしかならないこと。

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