第264話

パシンとその手は振り払われた。



「え?」



何が起こったのか分からなくてそんな声が漏れる。



「伊吹、どうした?」



そう訊くのが精一杯だった。




「・・・。」



「おい、伊吹。」



吉川先生、水上先生、高坂梨莉華のこと色々重なり過ぎて苛立ち、つい辛く当たってしまう。



「・・・。」



「黙ってたら分かんないだろ。」



それでも何も答えない伊吹に苛立ちを覚える。



「こっち向けよ。」



そう言って無理やり振り向かせる。



そこには、初めてあった時のように何も写してない目をした伊吹がいた。



「・・・触らないで。」



その一言にショックと驚きを隠せなかった。



そして、伊吹に拒絶された事に腹が立った。



「ちっ、勝手にしろよ。」



バンッ



感情が昂り伊吹の気持ちとか考えず苛立ちに任せ教室から出ていく。




なんなんだよ、どいつもこいつも



頭に血が上り正常な判断が出来ない。



きっと今伊吹と居ても責めてしまう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る