ログ4 惨劇

家を飛び出すと相変わらず嫌な雰囲気を纏った濃霧が身体中に纏わりついてくる。

その中には先ほどまではなかった濃厚な血の臭いが混ざっており、不気味さと嫌悪感が、こみ上げてくる。


とりあえず1Fまで降りて外部に助けを求めなければ。


だが、現状エレベーターは使えないと考えた方がいい。


このマンション広いが築年数が古いのでエレベーターはL字の中央のホールにある2基しかない。


多分、さっきの放送を聴いてパニックになった人、半信半疑の人はエレベーターでとりあえず外に出ようとすると思う。


俺が犯人なら1番初めに人が集中するところに豚を配置して一網打尽にする。


つまり、この状況エレベーターにのるは自ら罠に嵌まりに行くようなものと考えた方がいい。


また、このマンションの階段は全て(非常用階段を兼ねている)外階段で周りの状況が伺える。

まぁ濃霧のせいで多少って感じだろうが、密室密閉の箱(エレベーター)よりかはマシだろう。


しかも、階段は全部で3本。

状況をみて降りたり登ったりする階段を変えれば豚と遭わないで済む可能性がある。


勝手な予想だが豚はそんなに多くないと思う。


俺が見たあの豚のサイズから考えるに、あのサイズの豚がメインで放たれてるなら輸送方法から考えてウチのマンションに運び込める数は少ないハズ。


ならば階段を気を付けて進めば外部に助けを求めることは可能だと考えられる。


何より今の俺の身体は若い。


そう考え家の目の前にある階段を降り始めた。


すると遥か下方から阿鼻叫喚の叫びが聞こえる。

どうやら下には当然ながら豚がいるらしい。

先ほど遭遇してしまった豚が脳裏をよぎる。

それほどまでに恐怖を纏っていた。


おそるおそる7Fまで降りると下階から「きゃー!」という叫び声が!

ズドドドドっとけたたましい音が階段の方にやってきたと思ったら階段が『ゴワァァーン』という爆音とともに揺れた。


それと同時に断末魔とグチャっと何かが潰れる音が聞こえた。


恐怖が自分を呑み込もうとするのを無理矢理振り切り俺は7Fの階段から離脱し必死に走った。


やっとの思いでエレベーターホールについたら、そこは地獄絵図だった。


人間だったであろうものの残骸が散らばり、壁や天井には今もおびただしいほどの血が滴っていた。


汲み上げてくる嘔吐感を恐怖と一緒に無理矢理飲み込み俺はただ西棟へ走って逃げることしか出来なかった。

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