ログ6 対峙

西棟のエレベーターホールから小型の豚が顔を出し、『みぃつけた』と言わんばかりに醜い叫び声をあげた。


小型の豚は階段であった豚よりかは小さい。

体長も体高も50cmくらいだろうか?


少女の涙、父親の死を見た怒りからか、俺の選択肢は『逃げる』ではなく、『叩き潰す』を選んだ。


しかし、豚は小さい分、想像以上に速かった!!

特段気を抜いていた訳でもないのに、100m近く離れたエレベーターホールにいたのに一瞬で目の前である。

そう錯覚してしまえるほどに小型の豚は速かった。


驚きで目を見開きながらも、間一髪のところで、のけ反り突進を避ける。


豚は俺の真後ろにあった鉄製の柵に衝突した。


『ガイィーン』とスゴい音が鳴り、これで豚が倒れてくれればと考えたが、少しよろけた様にも見えたが即座に振り返った!


鉄の柵には豚の輪郭がしっかりついて、ひしゃげていた!


おいおいおい!どんだけの威力だよ!

鉄だぞあの柵!木でもプラでもなんでもないぞ!!

あんなの喰らったら一発で終わりなんじゃないか?


とか考えてると2度目の体当りがきた。


これもすんでの所で避ける。


あわやという最中だが、1つの事実に気が付いた。



それに気が付いた俺は3度目の突進を躱して豚が振り向くところに、おもいっきり蹴りをかます!


『ドゴッ!』という音とともに俺の足には豚の硬い表皮を通して生き物を蹴った感覚と確かにダメージを与えた感覚が感じられた。


ダメージを負ったことを証明する様に『ぶひぃ!』と豚が叫び声をあげる。


顔の横に蹴りを放ったのが功を奏したようだ!


どうやら、正面は強いが側面は強くない!


効いてる!


そう思い滅多蹴りをした!


ダメージを大分与えたが『ブビィー』と怒った声で豚が暴れ振り払われた!


その一発で階段の踊り場まで、ブッ飛ばされた。


だが、最初の威力はない。


豚は俺が立ち上がれないと、突進で俺を潰す殺す気のようだ。


豚はグングン加速し突っ込んでくる!


だが、ダメージの蓄積で最初の速さがない!!


!俺は迎え撃つことにした。


次の瞬間、豚と俺が交錯した。


その刹那!


俺は突き上げるように突進してきた豚の下に腕を差し入れ、後ろに転ぶように倒れながら反動を使い、足を蹴り上げ


突進の速度と後方へ寝転ぶ反動、腕の振り上げと蹴り上げ、総てが噛み合い、即席の巴投げが成功した。



そこが階段のであったこと。

という事実。

これから自身に起こること。


豚がという異変に気が付いた、その時には豚の背後に死がこびりついていた!


豚は死の恐怖に『ブビィー』と叫び声をあげながら5Fからコンクリートの地面に頭から叩きつけられ、潰れたトマトの様に見るも無惨な姿になり息絶えたようだ。


俺は勝ったんだ!とばかりに「ウォォォォォ!!」と吠えた。

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