ログ16 ・・・散る
--------------------------------------
暴豚ピグザムは考えた。
度重なる足へのダメージの蓄積で、もはやまともに走ることが出来ない。
同胞達を惨殺し、自身にもこれほどまでにダメージを与えた家畜どもを生かして返す訳にはいかないと。
そして、考えた自身にある武器を。
そして、思いついた。
家畜なら喰ってしまえばいい。
それで、全ての憂いがなくなるなら尚更喰ってしまえばいいと。
そう考えた途端ピグザムの口から涎がとまらなくなり、一時的にだが足の痛みも忘れた。
逃がすかと、すかさず
ただ目の前に転がる人間という家畜を食い尽くすために。
「ブギィィィィィ!」
--------------------------------------
広野自治会長を剥がそうとする暴豚ピグザムが、自身の後ろにいて攻めあぐねている広野自治会長に対し強引な策を取ろうとした変化に俺はいち早く気が付いた。
次の瞬間、俺は恐怖も痛みも忘れて無意識に走っていた。
その間に暴豚ピグザムの圧し潰しがあり、その風圧で転んだ広野への
俺は
「うおぉぉぉ!!!」
--------------------------------------
俺が飛ぶと同時に暴豚ピグザムが涎を垂らしながら広野自治会長に喰いついた!!
「ブギィィィィィ!」
「うおぉぉぉ!!!」
ガブリッ
渇いた音が集会所に木霊した。
俺は暴豚ピグザムより1歩先に広野自治会長の身体を掴み、その勢いのままその場を脱出していた。
「はぁはぁ!広野さん大丈夫ですか!!」
俺は抱きかかえダイブした広野自治会長にそう問いながら、よろよろと立ち上がった。
「・・・あぁ済まない。済まない・・・」
広野自治会長から、か細い返事が返ってくる。
か細い声の広野自治会長に違和感を覚え、寝ころんだままの広野自治会長を再度、見て俺は絶句した。
広野自治会長の下半身が存在していなかったからだ。
ひゅー。ヒュー。と空気が漏れ出るような息遣いをしながら広野自治会長は言った。
「君は何も気に病むことはない。わ、ワ、儂は確かに君に救われたんだ。だから、気に病むことはない・・・」
そう言い終えると広野自治会長は吐血をし、もう、その命が散ってしまうことを証明する様に、その目から徐々に光が失われていった。
「ブッフォォォォォォォォォォ!!!!!!!」
勝ち誇った様に雄たけびを上げながら、広野自治会長の足だったものをバギボギと咀嚼する暴豚ピグザム。
俺はそれを見て頭の中が真っ白になり暴豚ピグザムへ特攻しようとした!!
だが、広野自治会長が手を伸ばし俺を引き留めた。
そして、俺の顔を手繰り寄せ消え入る中あることを伝えてきたのだった。
「※※※※さ・せ」
「え?それってどういう・・・」
それを伝え終わるや否や広野自治会長はその役目が終わったとでも言いたげな表情をしながら逝ってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます