ログ17 起死回生の一手
広野自治会長が逝き呆然とする俺。
それを嘲笑う暴豚ピグザム。
・・・ブチッ・・・
俺の中で何かが切れる音が聞こえた気がした。
俺は広野自治会長の亡骸をそっと降ろすと近くに落ちていた鉄製のスコップを握りしめ暴豚ピグザムへ特攻した!!
「うおぉぉぉぉぉぉ!!!!」
真正面からの攻撃だったので、ピグザムは全く意に返していなかった。
そして、それを証明するかのように俺の攻撃は暴豚ピグザムへまったくダメージを与えていないどころか、カウンターでカチ上げを喰らい俺は吹っ飛ばされた。
『これで終わりだ』と言いたげな表情をした暴豚ピグザムが俺の前に陣取り最後の仕上げと言わんばかりに傷ついていない左後ろ足で地面を搔いていた。
-------------------------------------
~遡ること少し前~
石丸、五味、透、梨内、村崎、俺の5人が暴豚ピグザムの
だが、その時1人だけ皆とは違う方向に弾き飛ばされ暴豚ピグザムの意識から外れた人間がいた。
それは
彼は自身が暴豚ピグザムの意識外に外れたことを長年やってきた剣道の経験から理解していた。
剣道は間合いの読み合いの武道だ。
梨内は暴豚ピグザムに気取られぬように気配を極力消した。
気配を消した梨内は転がっていた鉄パイプを拾い上げ、構えた。
気配を消し、目を瞑り、呼吸を整え、その時が来るのを待った。
そして、今、その時が来た!!
梨内雄馬の5mほど前で暴豚ピグザムが梨内の後輩である宍野龍彦にトドメを刺そうと、意識を全力で傾けている。
後方に立つ梨内には一切気がついていない。
暴豚ピグザムがその全力をもって龍彦を潰し喰らおうと動いた、その瞬間であった。
梨内雄馬が自身の足に溜め込んでいた力を解放し一気に跳んだ!!
そして、正中に構え今の今まで力を溜め込んでいた鉄パイプ、否、梨内にとっての刀に全力を注ぎこみ、全身の力や反動を使い一気に突き出した!!
それは梨内の剣道人生において最高の形で繰り出された突きであった!!
梨内の突きは無防備に背後を向けている暴豚ピグザムの尻の穴に吸い込まれ、侵入を阻む筋肉もたやすく突き破り、内臓まで八つ裂きにした!!
突然の衝撃。それも死角からの一撃。
暴豚ピグザムは自身の臓器が致命的なダメージを負ったことに瞬時に気がつくとともに、数瞬遅れてきた激痛に耐えられず、絶叫し暴れ出した。
『ゴヴァァァァァァァァァ!!!!!!!!』
梨内は突きが決まると同時に鉄パイプを離し腕を引き抜こうとしたが、思いのほか勢いがあったようで、手首まで暴豚ピグザムの肛門に入ってしまい、抜くことが出来なかった。
そこへ痛みと怒りで狂った暴豚ピグザムの後ろ蹴りが炸裂し、無防備な状態となっていた梨内の腹に直撃し、そのまま吹っ飛ばされ梨内は気絶した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます