ログ24 BnaPhone
どこからか音が鳴った。
一糸纏わぬ姿のマリアナ・勅使河原がおもむろに歩き出し、先ほど自身が脱ぎ捨てた洋服のところへ行き電話に出た。
誰かと話をしている様だ。
「会長。今、あちらも無事に終わったそうです。梨内のタネもヘレンが採取いたしました。」
「おお。そうかそうか。良き哉良き哉。」
「これで今回の我々に与えられたミッションは終了しましたね。会長はどう思われますか?」
「ふむ。国民の、いや世界中の未来の為だ。多少の犠牲はやむを得ん。それにこのパイロット段階でまさか、2名も英雄のタネ候補が見つかるとは思わなんだ。今回のパイロットは大成功じゃ!!」
「そうですね。私もヘレンも大収穫でしたわ。」
俺はうつらうつらする意識の中でマリアナ・勅使河原が持つ電話に違和感を覚え、そこで指をさして思わず言葉を発してしまった。
「バ、バ、バナフォン?」
2人は瞬時にこちらを向いた。
「おい小僧。今なんと言った?」
「へ?バ、ナナァ?」
「ふふふ、そうね龍彦さんバナナね。素敵な携帯でしょう?」
「これマリー!あまりそれを見せびらかすでない。この時代にはまだ存在しておらんのだソレは。」
「ふふふ。大丈夫ですよ会長。この子はもう蕩けちゃってますから。それに念のため、もう一錠飲んでもらいますから♪起きたころには、BanaPhoneはおろか私や浦野会長と会ったことすらスッキリ忘れてますわよ♪」
「むぅ。それもそうか。だが、念には念をだな。」
「はいはい。心配性な会長様ですわね。はいはい。それじゃあ龍彦くん、もう一回私とチューしようねぇ~」
「ちゅ~」
そこで俺の意識が完全に断たれたのであった。
~ 第一部 暴豚ピグザム編 完 ~
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