始源の女神と終末の黒竜　～女神と竜は地上巡りの旅に出る。そして迎える最期の物語～

　天界に住む少女アーチェは父の創った世界が好きだった。
　その世界に生きる人間という生き物は、集団の力で時に、自分より強いものに立ち向かい、想像力と知恵を働かせ、より生活を向上させていく。

　アーチェは想う。そんな素晴らしい世界に神秘的な『力』があったらどうなるんだろうと。

　◆◆◆

　ある村があった。雨不足による農作物の不作、森に住む獣たちの異変により、食料不足に追い込まれたそんな村が。
　
　追い込まれた村は一つの儀式を行うことにする。「石の声が聞こえる」そんな、異能の力を持つ奇妙な青年を生け贄に、天に住むとされる神の恩恵を願う。そんな儀式を。

　本来はあり得ない。
　しかし、人の願いは奇跡となり神に届いた。
　
　こうして、創造神と愛の女神の娘であり、『想像』と『慈愛』を司る女…続きを読む