迫りくる捜査の手 (仮の最終回)
「おかえりなさい、警部。なにか収穫はありましたか?」
「……私的なものなら、な」
「なんすか、それ」
近隣に停めていた車に戻った啓吾は、警部補に呆れられる。
「もういい加減、白礼高校の周辺で張るのはいいんじゃないすか? 有村議員の娘も、〈悪魔〉の気まぐれで狙われただけだと思いますよ?」
「そう思うなら、俺について回る必要はないぞ。俺は俺なりに捜査を進める」
莉緒に『なぜここに?』と聞かれて仕事だと答えたが、それは嘘ではない。現にこうして、白礼高校の生徒が多い夏祭りを見張っていたが……
「奈緒を問いただして正解だったな」
妻の自供から、莉緒がここに来ることは知っていた。そして案の定、一緒にいたのは桐崎霜であった。
ようやく接触が叶ったあの少年だが、……ただの高校生ではない。それが第一印象だった。
「なにが『同じ気持ち』だ。貴様に娘を預けるかどうかは……これからの結果次第だな」
そういって、彼は懐に収穫品をしまう。
あの男が娘と話している隙に、採取しておいた物。
――ラムネの飲み口に付着した、桐崎霜の唾液。もといDNAを。
シリアルキラーな君との、猟奇的日常 鶴城べこ @yamami_syosa
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