エピード ログ
――死者からの遺言
――――失われたデータを修復されました。ブロック破損により自動解除、データの保存状態を確認のため、何度かの再生を許可します。
「久しぶり、相変わらず変わらないな君は」
「久しぶりって、それは君の都合でしょ。……それで何の用で来たわけ?」
「わかっているクセに……いや、ありがとう。数十年ぶりだから、上手くできるかどうかわからないが、付き合ってくれるか?」
「付き合うも何も我々ミクロネイアは、どこまで行ってもやる事は変わらないわ。空気にそうお願いするくらい、当たり前でバカバカしい、する必要のない事項よ」
「それでも……」
「それでも?」
「伝えておきたかったんだ……何か前に乗っ取るものがないと喋りずらくて……」
「フフフ、テレパシーで気持ちが伝えられるのに、言葉で伝えたいって、低次元な発想ね。でもまあ、生きている現世がそうだから仕方ないけど」
「違いねぇ……だが、それで伝わる想いがあると思う」
「その心は?」
「また……テメェと一緒にいろんな世界を観たい。死期を悟った今だからこそ、そう思えるんだ」
「ホント、君は和多志が怖い癖に、そんな嬉しいことを言うだ」
「やっぱ、バレるか……。でも――」
「言わなくていい」
「…………そうか」
「うん、それで良い。君はそれで良い。言葉にしたら、きっと引き返せないと思うから」
「……相変わらず、理解できねえ」
「そんな事より、仕事、仕事。和多志たちはミクロネイアはいろんな世界を観て、記録し、世界を保存していくことが務め。それ以上でもそれ以下でもない。それはどんなに上位者に高位者になっても、変わらないわ」
「マジで酷い話だ。だけど、それが非常に救いにもなる部分だな。死んでしまえばどうでもいい話だが・・・・・・」
「死なんて存在しない。あるのは再起だけ」
「テメェがそれを言うのかよ」
「和多志、だからこそよ。さて、お喋りはそこそこにして、現世最期の時までいろんな世界を観にいきましょ!星なき夜の傍観者殿」
「ああ、これからもよろしくな。キュヲ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます