逃げるためならどんな手でも、

「パンツの色は黄色とピンク、白、紫ってイヤらしいな~」

「この野郎!!」


 マゲユイ男は、襲ってくる集団の猛攻を凌ぎ弾き回避して真面目に攻略をしているのに、風の人はひたすらセクハラ行為で状況を搔き乱す。


「黄色が多いな。紫も大概……チッあのついての子のパンツ確認できなかったな」

「……あたしのは黄色ですよ!!本当ですから!!」


 あえて、見てないものも混ぜることで、女性たちの連帯を削いでいき。仲間外れを意図的に作ってる。


「ああ、もう良いわ飽きた」

「くう……貴様!私のパンツは興味ないのか!!!!」

「マミーにも叩かれたことないのに!!」


 完全に乗せられてる。そして、彼女たちの強みは個人の感情へと支配されてゆく。


「あのセクハラ王!!場を壊してくれたな!でもどうしたら……」


 頭を抱えて、リーダー格の女性は最善策を模索する。けど、セクハラ情報のせいで、思考能力能力が減少していて、まともな策が思いつかない絶望的状態。


 その状況にを観測している時、突然わたしの方に「そこの空飛んでいるの。狙撃手できれば音響系の子に繋いでくれない?繋ぐだけでいいから」と機械的な女性の声。


 どこから?と周りを見るが、見当たらない。


「探しても無駄。あなたの圏外から念を飛ばして、会話しているから。そんな事より早く繋いで、面白い状況が終わってしまう」と平然と言われたから、その声の言う通りにして、ずっとその狙撃現場で佇んでいる音響系の者にその声を繋げて、その反応を待つ。


「聞こえる音響の人?ミリちゃんと繋げてもらえると助かるんだけど」

「誰だ!ミリア様をちゃん呼びする不埒者は!」

「パク、その不埒者に繋いでくれ」

「しかし」

「命令だ」

「…………」


 音響のパクは、渋々その通話を繋げて様子をみる。


「久しぶりね。ミリちゃん。事件前ぶりかしら」

「ガラに無いことを……それで火遊びお嬢様のご意見は何?」

「アハハ、話が早くて助かるわ。ゴニョゴニョ」

「――そんなことしたら、完全に空中分解するだろうが!!」

「先に分解した方があとは、まとまるだけだよ」

「ッ……わかった。素直に従ってやろう」


 その内容というのは――


「新た指示を出す。体力が余っているものは一人ずつ一発行動で対象を攻撃し、奴らの後続にいる者、背後の逃げ道を潰しておけ!!」

「そんなことをしたら」

「これは命令だ。最後はあたしが決める」


 最後の一言に希望を感じたのか即答で「「「「「「了解」」」」」」という声が響いた。


 声の人が伝えた内容はこうだ。相手は後追いと逃げの名手。一気に攻めていれば、その分手数が少ないから処理される確率が高くなる。しかし、単体行動で一撃にすれば、対処できなくなる確率が比例して増えるし、神経力も多く減らせる。そのミスを積み重ねたら、いつかは大きな失敗を招くそこを叩くことができれば、もう安泰。だが、現実的な問題として、きっと通り抜けられる。ならば、たった一人でも倒して、戦力を削ぐことができれば、また新たな大きな希望が生まれる。


 一騎当千から、信頼できる仲間に継ぐ、一騎打ちでの戦い。その最後の一手までにどれだけ削れるかで勝敗は分かれる重要な役割を部下は背負ったんだ、やる気が出るの当然なところ。


「戦略が変わったな」

「どうやら、火遊びが大好きな指揮官に変わったようだ。それ以外ありえない」

「そうか。なら、大将が出てきてもおかしくないな」

「相手が女性でも躊躇するなよ」

「する方が、失礼だ」


 マゲユイ男は不敵な笑みを口元にたぎらせて、襲ってくる集団をさばき尽くす。そして、あと一〇〇m先に最後の砦が立つ。


 そのあたりで叩くのをやめて、人の網を張り追い込み漁のごとく、最後の一騎打ちを見れる位置に皆は移動し、勝敗を見守る。


「デターミクラサス!!」


 その掛け声で十字槍に鈍い銀の輝きが付与され、相手との交戦に備える。


 《デターミクラサス》槍系に付与されることの多いガード貫通の必中の御業。物理的で細い物なら何でも付与することができるため、恥を偲んで弓矢に仕込む者もいる。もっとも『恥を偲んで頼む、だから確実に当たてくれ』という意味だから、ある程度のプライドとそれを捨てられる勇気がなければ使用はできない。それができる時点で、あんたは強者だ。


「やっぱ、使うよね――ミリちゃんはそういうことが簡単にできる子だから。だけど、守りを貫いて必ず当たるからって、優位になるわけじゃない」


 世の中には、そうだからこそ勝っててしまうイカレタ存在がいるのだから。


「え――⁉」


 一撃の一騎打ち。放たれた一撃は、間違いなく当たる軌道を描いただけど、軌道の動きよりも先にマゲユイ男は足を大っきく上げて、軌道の入る間髪の先に足を下ろして攻撃を踏みつけて業を止めて、地に押さえつけた。

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