概要
これからなにかになっていく人たちへ贈る。新しい世界が誕生するまでの物語
――2045年、東京、歌舞伎町
ニュースでは軌道エレベーターの完成が目前であったり、万能ワクチンALPHAが誕生していたりと景気の良い話ばかりが流れていたが、人々は未だにスマホを手放せないし、車も空を飛んでおらず、巷にはドラッグが蔓延し行き場を失くした人たちが歌舞伎町を訪れる。その程度の近未来。
歌舞伎町のホステスを母に持つ高校三年生、安達歩(あだちあゆむ)は母、真理(まり)に言われるがまま、なんとなく生きる普通の青年であった。
その日も真理の言いつけ通り、彼女の送迎のため歌舞伎町に訪れた歩は、彼女が指定した受験大学の赤本を読みながら、彼女が仕事を終えるのを待っていた。
自分の人生には自分がいない、さりとて何がしたいのかわからないと、漠然とした苛立ちを燻らせていた彼であったがその時、
ニュースでは軌道エレベーターの完成が目前であったり、万能ワクチンALPHAが誕生していたりと景気の良い話ばかりが流れていたが、人々は未だにスマホを手放せないし、車も空を飛んでおらず、巷にはドラッグが蔓延し行き場を失くした人たちが歌舞伎町を訪れる。その程度の近未来。
歌舞伎町のホステスを母に持つ高校三年生、安達歩(あだちあゆむ)は母、真理(まり)に言われるがまま、なんとなく生きる普通の青年であった。
その日も真理の言いつけ通り、彼女の送迎のため歌舞伎町に訪れた歩は、彼女が指定した受験大学の赤本を読みながら、彼女が仕事を終えるのを待っていた。
自分の人生には自分がいない、さりとて何がしたいのかわからないと、漠然とした苛立ちを燻らせていた彼であったがその時、