第22話:あの日、あなたに助けて頂いて、良かったなと、思いました

――同、光が丘公園

 メインストリートの端、光が丘公園入口に架かったふたご橋の下まで逃げた歩たちは、橋の土台部分に座って一息つくことにした。

「はぁ、はぁ、お前、あーゆーのもう絶対やるなよ?」

 汗だくになって息を切らせた歩が、ソフィアに釘を刺す。

「はい。すみません」

 歩の忠告に、ソフィアはしゅんとして謝罪した。

「あーもー、走ったからめっちゃ汗かいたー。……でも」

 汗拭きシートで汗を拭っていたいのり。

 彼女は歩と顔を見合わせる。

「ふふっ」

「……ははっ」

 どちらともなく、二人は吹き出し、そして盛大に笑い始めた。

「あはははは! おっかしかったー! 歩ちょービビッてんの!」

 いのりは目に涙を浮かべるほど笑いながら、歩の背中をバシバシと叩く。

「はははっ、なんだよ! いのりだってビビッてただろ!」

 痛い痛いと抵抗しながら、歩も笑った。

「だってー! あはははっ!」

「……ふふっ」

 二人のやり取りに、ソフィアもいつの間にか微笑んでいた。

「あっ! 笑った! 超かわいい!」

 それを見たいのりが、きゃっきゃと喜んだ。

「えっ、と、笑っていましたか?」

 気付かず微笑んでいたソフィアは、いのりの指摘を受け、顔を赤らめる。

「もう一回やってみて!」

 照れるソフィアに、いのりは再び笑って見せるようリクエストする。

「こ、こうでしょうか?」

 ソフィアはリクエストに応えようとするが、無理矢理作った笑顔はところどころ引き攣っていて酷く不格好なものとなった。

「なにそれー? あはははっ!」

 その顔を見ていのりと歩は再び大笑いする。

「すっ、すいません……」

 二人の笑顔を見て、ソフィアは恥ずかしそうに俯くのだった。


 三人は駐車場に戻って帰りたかったが、スーパーでソフィアが起こした騒動のおかげで戻るわけにもいかず、どうしたものかと方策を練っていた。

「で、どうする? クルマ、少し時間空けねぇと取りに戻れねぇぞ?」

 汗で湿ったシャツをバタつかせて乾かしている歩がいのりに相談する。

「お腹も空いてきたし、どっかで食べて時間潰そうか?」

 喉の渇きも、空腹も感じていたいのりは、どこかの飲食店に入ろうと提案する。

 しかし飲食店はショッピングモールの方角に集中しており、元来た道を戻るのは本末転倒だろうと、二人は頭を悩ませた。

「なぁ、なんか今日、人多くね?」

 腕を組んで唸っていた歩が、往来の人の多さを不思議に思った。

 よく見ると浴衣姿の人もチラホラ見える。

「ああそうだ。今日この先でお祭りやるんだったわ」

 いのりは思い出したように道路を挟んだ公園へあがる階段を指差す。

 銀のアーチが折り重なったオブジェの先には、特設ステージが建てられており、スタッフがイベント開始の準備を進めていた。

「ああ、よさこいか。じゃあそっち行ってみるか?」

 歩も毎年夏になると開催されるこのイベントを思い出し、二人に提案する。

「いいね。ソフィーもそれで良い?」

 いのりは快諾し、ソフィアにもそれで良いか確認する。

 ソフィアはいのりが自分を呼んだ名にキョトンとした。

「そふぃー、とは、私のことでしょうか?」

 突然のことに戸惑いを隠せないソフィア。

 恐れ多いと言った風に、彼女はいのりに問い返した。

「ソフィアだからソフィー。あだ名とか嫌なタイプだった?」

 それをいのりは馴れ馴れしかったかと失敗したような顔を浮かべる。

 ソフィアはそれを見て、素早く首を振る。

「歩さん、どうですか!?」

 ソフィアは歩にソフィーと言う愛称は似合っているかと尋ねた。

「えっ? 俺? い、良いんじゃ、ねぇの? よくわかんねぇけど」

 愛称を貰ったのが嬉しかったのか、目を輝かせ、興奮気味に尋ねるソフィアの姿に、歩はソフィアがこんなにも表情豊かだったのかと面食らった。

 そして同時に、子犬のように一喜一憂するその有り様が可愛いと思った。

 歩はどぎまぎしながら答えた。

「なら、嬉しいです!」

 歩が答えるとパッと表情を華やがせたソフィアが、笑顔でいのりに礼を言う。

 喜びように戸惑った歩はポリポリと頬を掻きながら照れ隠しにそっぽを向く。

「照れんなよーうりうり」

 歩の照れ隠しを見透かしたいのりが、意地悪そうに肘で小突いて彼を揶揄う。

「て、照れてねぇし! ほら、決まったんだし、行こうぜ」

 顔を赤くして反論した歩が、二人を追い越し、足早に祭り会場へ向かった。


 日が落ちて街灯に明かりが灯る。

 三人は道路を横断し、階段を昇る。

 宵の口のうっすらと瑠璃色に染まり始めた世界に、色とりどりの提灯と裸電球が照らす屋台のれんに彩られた景色が連なる。

 祭囃子が奥へ奥へと掻き立たせる。

 三人ははぐれないよう、互いの手を握ってこの幻想的な世界を練り歩いた。


 一通り堪能した三人はベンチに腰掛け、買い込んだ屋台料理に舌鼓を打つ。

「結構遊んだねー」

 いのりが牛串にかぶりつきながら満足気に話す。

「出店でこんなに金使ったの、俺初めてだよ」

 歩は焼きそばをすすりながらいのりに応える。

 二人は栃木に行く直前にソフィアの工作機械の払い下げ金がまだまだ残っていたため、思いつく出店を片っ端から制覇していた。

 二人の間でソフィアが目を輝かせながら両手に持ったクレープに交互にかぶりついている。

「私も。あーあ、夏ももう終わりかぁ。二学期始まったら勉強漬けだぁ」

 牛串を食べ終えたいのりは足を投げ出し、夏休み後の未来を憂えた。

「言うなよ。そういう嫌な事」

 ビニール袋にゴミを詰めていた歩は、いのりの気の滅入る話を聞いて嫌な顔を浮かべる。

 二人は努めてか、自然とか、赤羽や真理のことは話題に出さなかった。

 せめてこの胸の奥に燻る鬱々とした気持ちを打ち上げ花火に消し飛ばしてもらいたいと、満腹になった余韻に身を委ねながら、夜空を眺めて打ち上げ花火を待った。

 夜空を眺めながら、歩は子供の頃に赤羽と交わした約束を思い出していた。

 星になったタロを見に行こう。

 そう言われて渡された月面旅行のチケット。

 赤羽もタロと同じく星になっているのだろうか。

 もしそうであるのなら、月に行けば赤羽に会えるのだろうかと、歩は夢想する。

 隣でクレープを食べていたソフィアの咽る音で、歩は現実に引き戻された。

「あーあー、顔中ベッタベタじゃん。ソフィーはどう? お祭り、楽しかった?」

 口の周りをクリーム塗れにしたソフィアに、いのりがウェットティッシュを取り出して拭う。

 ソフィアがこの姿になってから、言動が子供っぽいのも相まっていのりは終始彼女の姉のように振舞っていた。

 歩もいのりも一人っ子で互いに兄弟同然に過ごしてきたが、確かに姉気質なところがあったなと甲斐甲斐しく世話を焼くいのりの姿を見て歩は思った。

「あっ、はい、楽しいです! 特にこのおじさんにクリームマシマシにしてもらったクレープが最高です!」

 両手がクレープで塞がっているソフィアは、いのりにされるがまま顔を拭われている。

 いのりの質問にソフィアは気に入った方のそれを、目を輝かせて彼女に見せた。

「それにしてもお前、意外とめっちゃ食うのな」

 先ほどまで一心不乱に食べていたソフィアを思い出した歩は、ロボットの頃と違い本能に忠実な、却って人間臭いその仕草を揶揄った。

「こ、これは、リシはグルコースの消費が激しいので、ブドウ糖の摂取が必要なだけで」

 ソフィアは歩の言葉に顔を赤らめ、弁明する。

 歩の弄りでソフィアが食べ辛くなるだろうと察したいのりが、割って入る。

「意地悪しないの。それよりもう時間も良いんじゃない? 腹ごなしにちょっと人が捌けたか見て来るよ」

 余計なことを言うなと歩を小突いたいのりは立ち上がり、偵察がてら再び露店の通りへ戻ろうとする。

「ついでにドクペ頼む」

 そしてゴミも捨ててくるようにといのりに渡す歩。

「いつもそれじゃん」

 次々に課される追加注文に、藪蛇だったといのりは渋い顔を浮かべた。

「夏と言ったらドクペだろ」

「はいはい。あったらね」

 いのりの苦言に歩は夏こそドクターペッパーのフレーバーが清涼感を引き立てるのだと反論するが、いのりはあの独特の風味が苦手であったため歩の主張は理解できなかった。

 歩の熱弁を適当に聞き流し、いのりは再び雑踏に消えていった。


 いのりが雑踏に消えたあと、歩はソフィアが食べ終わるのを露店の雑踏を眺めながら待っていた。

「そういやさっき言ってたリシっての、なんだ?」

 ソフィアが食べ終わったタイミングで、先ほどの彼女の話で気になった部分を歩は尋ねる。

「BETAを摂取して覚醒した人のことです」

 指に付いていたクリームを舐め取っていたソフィアは、歩の質問に服が汚れないように注意しながら膝に手を置いて応える。

 手の乾いたクリームを気持ち悪そうに見るソフィアに、歩はいのりが置いていったウェットティッシュを取り出して渡した。

「気取った名前だなぁ」

 BETA接種者にわざわざ固有名詞を設ける意図はなんなのか、歩は訝しんだ。

「それは、博士が付けたので……」

 ソフィアは恥ずかしそうに頭を伏せる。

 気にしても始まらないと割り切った歩は博士の意思を汲むことにした。

「どう書くんだ? 書いてみろよ」

 靴先で地面をなぞって字を書いてみるように促す歩。

 ソフィアは頷くと地面に文字を書く。それはサンスクリット語で書かれ、当然読めるはずもない歩は首を傾げた。

「そのままの発音では日本語では書けません。日本ではリシを聖仙、聖賢と呼びます。人統国では仙人と呼ばれてます」

 ソフィアの補足でそういうノリかと理解した歩は、どう名付ければいいか逡巡する。

「どれも気取った名前だなぁ。仙人もなんか違うし、理士って当てとけばいんじゃね?」

 片仮名で当てても、平仮名で当ててもしっくりこないと試行錯誤していた歩は、税理士などから漢字を拾ってそう地面に書いた。

「理の士と書いて理士……。はい、大変良いと思います」

「だろ?」

 適当に当てた文字であったが、殊の外喜ぶソフィアの顔を見て、歩も満更でない顔を浮かべた。


 歩のスカイラインを停めた駐車場周辺の人だかり具合を偵察したいのりは、歩たちの元への戻りしな、飲み物が売ってそうな屋台を探していた。

「オネーサン! ベリーベリージュースどう? 安くてオイシーヨ!」

 ケバブ屋に通りかかった時、客引きの店員がいのりに売り込みをかけた。

 透明なプラカップの中にはルビーのように朱く輝く液体と半解凍の色とりどりのフルーツが入っていた。

 屋台の裸電球に照らされたそれは、いのりの目を不自然なほどに引き付けた。

「へぇ、ザクロ味かぁ。飲んだことない味だ」

 歩からドクターペッパーを頼まれていたが、たまにはこういう飲み物でも良いだろうと、いのりはクーラーボックスに詰められたその飲み物を眺めた。

「ザクロ味、ブドウ味、イチゴ味アルヨ! フルーツサービススルヨ!」

 いのりが食いついたことに気付いた店員が畳みかける。

 クーラーボックスの中からいのりが興味を示したザクロ味を取り出し、その場で追加のザクロの粒を入れていく。

「じゃあひとつずつください」

 店員の売り込みに負けたいのりは、それぞれひとつずつと店員に指差して注文する。

 売り込みが成功した店員は、笑顔でいのりのベリーベリージュースにフルーツを足した。

「ハイー、アリガトネ!」

 フルーツ山盛りになったベリーベリージュースを両腕で抱えたいのりは、自分の分のザクロ味を飲みながら屋台を後にする。

 半解凍状態のベリーベリージュースはシャリシャリとシャーベットのような食感でありながらどこかぷるぷるとしていて楽しく、太めのストローを通って入ってくるザクロの粒は噛むごとに甘酸っぱい果汁が広がり、彼女の口内を幸せにした。

 その時、上空で腹に響く爆発音が鳴る。

「わぁ……」

 いのりが見上げると花火大会が始まっていて、いのりは二人の元に急ぐのだった。


 花火大会が始まったころ、歩たちはその様子を手持無沙汰に眺めていた。

「いのりのやつ、一足遅かったな」

 ここに飲み物があれば良かったのに、出来ればドクペであれば最高だったと歩がボヤく。

「そうですね」

 ソフィアは、初めて見る日本の花火に、目が離せなかった。

「なんだよ。花火見るのは初めてか?」

 歩の話にも振り向かずに花火を見つめ続けるソフィアを歩は珍しそうに尋ねた。

「はい。凄いです」

 興奮しているのか、服の下の紋様がぼんやり光るソフィア。

「そっか。そりゃ良かった」

「歩さん」

 ソフィアの反応を見て、話しかけるのは野暮だと思った歩は向き直ろうとした時、ソフィアが歩を呼び止めた。

「んあ?」

 ソフィアに呼ばれ、首を再び彼女へ向けた時、ソフィアが歩の頭を押さえるように、両手で彼の側頭部を掴んだ。

「失礼します」

 ソフィアの顔が歩に近づく。

 歩はソフィアにキスされるのかとドギマギしたが、ソフィアは自身の額を歩の額にくっつけた。

 ソフィアの手と額がぼんやりと光る。

「あっ」

 歩の視界がソフィアにジャックされ、眼前には爆発する打ち上げ花火があった。

 周囲を見渡すと先ほどまでいた公園は無く、歩の身体は上空数百メートルにあった。

 花火が爆発する音も同様に歩の耳に直接響く。

 歩は突然のことになにが起きているのか理解出来ず、唖然とした。

「通常の人間への情報伝達はノイズが強く、受信感度も低いので解像度が悪いのですが……いかがですか? あなたの脳に直接、近くを飛んでいた撮影用ドローンの中継映像を投影しています」

 歩は声のする方を振り向くと、同様の方法で打ち上げ花火を見るソフィアが隣で解説していた。

「すごい……。景色だけじゃなく音まで聞こえるよ」

 モニター越しではない、既存のテクノロジーでは不可能な、おそらく人類で初めての体験を歩は目の当たりにしていた。

 その限りなく生に近い、圧倒的な光景と音に、歩は息を呑んで魅了された。

「いまはオンライン上にある情報、映像と音声だけですが、BETAを投与した人類が増え、各々が体験した情報がビッグデータに集まれば、視覚と聴覚だけでなく、嗅覚、触覚、味覚にまで及びます。理士はある意味で、物理の障壁を超えることが可能なのです」

 打ち上げ花火が終わり、ソフィアは歩の頭を放す。

 蕩けるような表情を浮かべた歩は、まだ心ここにあらずと言った様子であった。

「お気に召していただけたようで幸いです」

 ソフィアは歩のその様子を見て、喜んでもらえて良かったと、微笑んだ。

「これが、BETAの本来の使い方、なのか……」

 博士たちが追い求めてきたものの一端を体験した歩が少しずつ現実に戻ってくる。

 ソフィアと鼻先が触れ合いそうな距離であることに気付いた歩は、慌てて距離を取った。

「……あの、さ」

 言いにくそうに鼻先を掻きながら、歩はソフィアに話しかける。

「はい」

 ソフィアはまっすぐ歩を見つめて応えた。

「……いままで、悪かったな。お前を轢いちまったり、散々ぞんざいに扱ったり、真理ちゃんなんてお前をぶっ壊そうとしたし」

 歩は視線を泳がせながら、これまでの彼女への扱いを謝罪した。

「いえ、全てはあなた達にそうさせてしまった私が悪いんです」

 ソフィアはゆっくりと首を振り、それは自分たちのせいだと、彼女もまた謝罪をする。

「いいや、俺たちは圧し掛かった責任から逃げたかったんだ。ソフィーの責任じゃない。すまなかった」

 なぜそう扱ってしまったのか、その根っこの部分を歩は話し、立ち上がるとソフィアを正面に捉え、頭を下げた。

「……ありがとうございます」

 歩の真摯な態度を嬉しく思ったソフィアは、お礼を返した。

 歩はベンチに前屈姿勢で座り直すと、合わせた手を見つめながら再びソフィアに話しかけた。

「……なぁ」

「はい」

 変わらずソフィアは彼に応える。

 歩はどう言おうか一寸思い悩む。

 意を決した歩は上体を起こし、ソフィアの方へ身体ごと向けた。

「俺、ソフィーの助けになりたい」

 歩はソフィアを真っ直ぐ見つめた。

「ありがとうございます」

 ソフィアもそれを正面から受け止め、頭を下げる。

 歩は彼女のその仕草が、彼の伝えたかった内容の全てが届いていないと感じ、彼は咄嗟に彼女の手を握った。

「ヨウさんたちの仇討ちだけじゃない。BETAが正しく使われる世の中を目指す手助けがしたいんだ」

 歩はいつかの日のことを思い出していた。

 それはシュルティ博士を倒した日の歌舞伎町。

 真理の迎えの際に車内で交わした問答。

 自分は何になりたいのか。

 その答えを、歩はソフィアを助け、シュルティ博士が望んだ世界を目指す存在になりたいと望んだ。

「はい」

 ソフィアは自分の手を握り、そう話す歩に唖然としながら頷く。

「俺じゃ、ダメかな?」

 ソフィアのその反応を歩は拒絶と感じ、手を放して俯きながら彼女に尋ねる。

 ソフィアは肩を落とす歩を見て、今度はソフィアが彼の手を取った。

 ソフィアの手の感触に気付き、歩は顔を上げる。

 視線の先のソフィアは、ゆっくり首を振る。

「いいえ。……ただ」

 ソフィアは慈しむように歩を見つめ、

「……あの日、あなたに助けて頂いて、良かったなと、思いました」

 そして月明かりのような優しい笑顔で彼に笑いかけた。

「な、なんだよそれ……。おっ、いのりからLINEだ」

 抽象的な回答をしたソフィアに対し、歩は照れ隠しをしながら手を放し、座り直す。

 歩はいのりが一向に来ないことに話題を逸らそうとスマホを取り出す。

「ショッピングモールの方、人気が少ないから今のうちに来いってさ。行こうぜ」

 いのりから連絡が入っていたことに気付き、歩はソフィアに手を伸ばし促す。

「はい」

 ソフィアは頷き、歩の手を取って立ち上がると、二人はいのりの元へ歩き始めた。

 二人は露店の雑踏を手を繋いで歩く。近くのゴミ箱には、空になったベリーベリージュースのカップが三つ入っていた。

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