閑話:女神の独白1

 私は「アマテラス」。とある世界の「神」よ。

 神格は「大神たいしん」、つまり「最上位神」ね。

 最上位神と言うと、皆はさぞ忙しい事だろうと思うかもしれないけれど、実は結構暇なのよ。

 実際の業務は私より格下の者たちがやってくれるし、定期的に行われる他の世界の大神達による会議(と言う名の集まり)位しかやることないのよね~。

 だから、暇つぶしに「下界」の様子を見ていたりしているの。

 で、いつも通り「下界の観察」をしていたら、一人の男性を見つけた。

 その人の名は、「出望桐夫(でもうきりお)」さん。一見普通の男性に見えるけど、あの人は私の「運命の人」。何故かって?私がそう感じたから。

 そんな訳で、彼の観察が始まった。彼が親族に冷たくされていたり、無茶な仕事を押し付けられて疲労困憊になっていても、私は見守ること出来ない。

 神である私が下界に「直接」介入することは禁忌タブーだから。

 そんな歯痒い思いをしながら観察をしていたある日、いつも通り彼を観察しようとしたらなんと「彼」が見当たらない。

 私は錯乱してあちこちを手あたり次第探したけど、見つからない。

 そんな時、部下から「緊急連絡」があったので、仕方なく一旦捜索することをやめて用件を聞いてみたら、何と。

出望桐夫を死なせてしまった」

 と言ってきたのよ。

 ・・・

 あー、うん。分かった。コイツ部下の女神は地獄界に左遷追放ね。

 ふっざけんじゃないわよっ!私の愛しい「きりたん(太陽神命名)」に何てことしてくれたのよっ!!

 当然のごとく私はブチ切れたんだけど、その時コイツやらかした部下が「彼の魂を『例の部屋』に連れてきている」と言ってきた。

 ・・・ん、ということは、ここに「きりたん」がいるってこと?

 よーしよしよしっ!!でかした!その行いに免じて「今回は」処分を「保留」しておいてやるわっ!!

 私は、意中の人に会えることでウキウキしていた。ただ、私は「神」。会えたとしても、一緒になることはできない。どうしよう...、そうだ!

 彼を「生き返らせ」て、私は「陰で」「いつも通り」見守ればいいんじゃない?

 そう閃いた私は、早速生き返らせる「先」を探した。元の世界の「器《身体》」はになっちゃったからね。

 すると、「都合よく」ある世界で「転生者」をしていたので、そこの統括神(創造神)と「お話」をして、転生してもらうよう手筈てはずを整えた。

 そんな様子をはたから見ていた連中(全員「神」)は「そこまでするか」とドン引きしていたが、そんなことは気にしない。

 ・・・さて、化粧良し、髪型良し、服装良し、その他もろもろ準備よーしっ!!

 あー、緊張する~。大丈夫かしら、会った瞬間抱きしめないようにしないと、彼をびっくりさせちゃうから。初対面の印象は大切だからねっ!

 ・・・あ、謝罪が先ね。うん、ここは「誠心誠意」謝らないと。

 ・・・よし、行くわよ!

 あ、アンタやらかした部下は来なくていいわ。業務に戻って頂戴。

 ----------

 ・・・うふ、うふ、うふふふふふふふふふふふふふぅ~~~っ!!!

 あーーーーーーーーーっ!!!今まで生きてきた中で一番うれしい時よぉーーーーーーーーーーっ!!!

 聞いて聞いて、実は「彼」が私の提案を「断って」きたのよ。私の渾身の案だったから、少し衝撃をうけちゃった。でも、理由を聞いてみたら、納得した。そうよね、今迄いままでみたいなことが転生後もって思ったら、いやよね。

 ごめんなさい、私が無力なばっかりに。自分の無力感に危うく泣きそうになったわ。

 なので、せめてもの罪滅ぼしの為に私の力で「何でも一つだけ欲しいものを与える」って提案したの。今の私ができる精一杯の償い。

 そしたら、彼、何を望んだと思う?

 うふ、うふ、うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふぅ~!!!!

 なんと、「わ・た・し」!!

 言われたときは、一瞬何か分からなくて、間抜けな顔をしちゃったわ。・・・嫌われなかったかしら?

 キャーッ、キャーッ、キャーッ!!!これって「愛の告白」よね、よね、よねっ!!

 この気持ちを「彼」が転生先に送られるまで我慢するの大変だった。思わず表情に出るところだったわ。・・・大丈夫よね?バレていないわよね?

 彼が無事に転生したことを確認した瞬間、私は堪らず叫んじゃったわぁ~~。小躍りしちゃった。だって嬉しいんだもん。ちょっとだけならいいわよね、いいわよねっ?良いって言いなさいっ!!

 周りの連中(全員「神」)は私の歓喜する様子を見て「コイツ、遂に頭がおかしくなった」とか失礼な事をほざいていたけど、特別に許ーすっ!至福の時だから、今だったら何を言っても良いわよ。あ、ただ「罵詈雑言」を言ってきた奴は「しっかり」覚えておくからね?そうだ、あの部下の懲罰はこの件でチャラにしてあげるわっ!!「彼」に感謝しなさいっ!!

 ・・・ふう、多少は落ち着いたけど、嬉しくて思い出し笑いが止まらない~♪うふ、うふ、うふふ♪

 さて、これからいろいろ「輿入こしいれ」のための準備をしなきゃいけないわね。

 そうだ、私「も」行く異世界について、あの「創造神」に詳しく聞いておかなきゃ。

 よし、そうと決まったら早速行動開始よっ!これから忙しくなるわねっ!!

 ----------

 ・・・全く、あの「創造神耄碌ジジイ」も融通が利かないわね。私の「夫」になる人なんだから、転生先を「王国の跡継ぎ」位に変えてくれるように「お願い」したんだけど、すでに転生しているから無理って言ってきやがった。

 ・・・まあいいわ。それより、私が転生する下界のことをあいつ創造神に聞いたところ、どうやら彼の転生先の国って「人族至上主義」思考らしい。

 どうしようかしら、私の「器」として考えていた「もの」だと、いろいろ都合が悪いかもしれない...。

 でも、「彼」の好みに合う「器」って、が最適なのよね~。

 このままだと「彼」に会ったときに嫌われるのが目に見えているわね。う~ん。

 頑張れ、人生(神生?)で一番大事な時なのよ、知恵を振り絞るのよ、私ッ!!

 ・・・・・・・・

 そうだ、「彼」が「人族至上主義」思考に染まらないようにすればいいんだわっ!

 ちょっと強引だけど、出来ないことはないわね。というか、私からすれば簡単な事だけどね。

 それじゃあ、あの創造神に頼みにいかなきゃ。まあ、アイツに「拒否権」はないから大丈夫よ。アイツのはいろいろ握っているからね。女神の情報網舐めんなよ?

 次に会う時は18年後かぁ~。私からしたら、あっという間の時間のはずなんだけど、すっごく長く感じるのよね~、はぁ。

 よし、それじゃあその間に「花嫁修業」をしなくちゃいけないわっ!

 待っててね、貴方に相応しい「妻」になるから。「だ・ん・な・さ・ま」♡

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俺と女神様の異世界夫婦生活 白牛乳P @key001

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