第3話:森と魔物
・・・目を開けると、そこには
まあ、
「ん~っ。」
イリスが俺の首に腕を回してキスをしてきた。
「・・・ぷはぁっ。いきなりどうしたんですか?」
顔を離して俺が聞くと、イリスは天使のような笑顔を見せた。
「え、だって目の前に旦那様の顔があったから、なんとなく、ね♡」
だそうだ。あ~もう、なんて可愛いんだ
しかし、
「あと、口調が元に戻っているゾ?もぅ。」
そう言って、ちょっと「むぅ」とした顔のイリスが俺の鼻を人差し指で触れた。
「それより、これからどうしようか?」
イリスの質問に対し、俺は少し考えて、こう答えた。
「まずは、この国を出よう。
「とはいっても、どこに何があるかさっぱりわからないから、とりあえず情報収集をしようか。」
俺の意見に、イリスも同意してくれた。
「そうね。一応この辺の地形は把握しているつもりだけど、念のためこの場所を『
「えっ、そんなことができるの?」
俺が驚いた口調で聞くと、彼女はにっこりと微笑んだ。
「簡単よ。『ちょっとだけ』意識を上空に飛ばすだけだから。」
そう言うと、彼女は目を
・・・
大体1分位経った頃、彼女が目を開けた。
「・・・分かったわよ。」
流石は天照様、頼りになるな~。
それで、まずは今居る場所だが、例の街から前世の距離で言うと大体20kmぐらい南西にある、周囲が5kmぐらいの森林のほぼ中心。
そこからさらに南に行くと、村や町が点在していて、そのはるか遠くにお城らしきものが見えたそうだ。
「多分、そこが『王都』なんだろうな。とすると、反対側に行けばいいのかな?」
「う~ん、ここから北と西には大きな山脈があるわね。西の方は山を越えるとすぐ海だし、北の山脈は人が超えるのは結構大変かもね。」
俺の提案に、イリスはそう答えた。
「そうすると、東に行くしかないか。東の方はどうなっているの?」
「東には、ここより大きな森が広がっているわ。その先には、大きな川が流れていて、その先にまた森が続いている感じね。」
ふーん、そうすると、東は「大森林」で、ここはその端っこなんだろうな。
「ただ、この辺りは『不自然』に平原が広がっているのよね~。人族が『開拓』したのかしら?」
「かもね。さて、それじゃあ行先は決まったから早速移動しようか。いつまでもここにいると『キーリオ君』を知っている者と遭遇するかもしれないからね。」
「そうね。」
東に向かうと決めた俺たちは、早速移動を開始しようとしたら、イリスが立ち止まった。
「どうしたの?」
俺がそう聞くと、彼女は能面のような顔になってこう答えた。
「・・・どうやら、囲まれているようね。まったく、
そう言って、彼女が辺りを見回すと、いくつもの目がこちらを見ており、ガサガサと草をかき分けて「それら」が姿を見せた。
「何だ?犬...、にしては結構デカいな。何か『角』みたいなのが生えてるみたいだけど...?」
俺がそんな感想を言うと、イリスはこちらを振り向く事なくこう言った。
「あれが、この世界の『魔物』と言う生物よ。野生動物に『魔力』を注入されて『強化』された『生物兵器』ね。」
「生物兵器」とな。そうすると、「何者」かによって「意図的に」生み出されたものなのか。
「何だか、かわいそうだな。誰だか知らない奴に「道具」にされているなんてな。」
俺がそんなことを言うと、イリスは振り向いて優しい笑みを見せた。
「旦那様は優しいのね。あんな連中にも同情してあげられるなんて。」
「でも、
そう言うと、再び連中の方を向いた。
「「グルルルル...。」」
連中は、どうやら
「旦那様は私から離れないでね。すぐ終わらせるから。」
そう言うと、イリスは魔物を睨んだ。すると、犬らしき魔物はまるで風船が割れるように弾け飛んだ。
そして、周りを囲んでいた20体近くの魔物たちは、彼女がぐるっと見回すだけで叫び声をあげる間もなく爆散してしまった。
「・・・すげぇ。」
流石は太陽神。戦闘力が異次元だ。もしかして、この世界で彼女に勝てる者なんていないんじゃないかと思うほどの圧倒的な力を見せつけられた。
「・・・旦那様に悪意を向ける者は、たとえ誰であろうとも『
そんなことを無表情のイリスが呟いた。正に「神の怒りに触れた」だな。
「それじゃあ、行きましょうか。」
そう言うと、イリスは表情を一変して笑顔になると、俺の腕を組んで密着してきた。
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あれから俺たちは、日が暮れるまで森の中を歩き続けた。
「旦那様、日も暮れてきたからこの辺りで休みましょう。」
イリスが、俺の腕に密着しながらそう言ってきた。
「そうだな。流石に夜の森を歩くのは危険だからな。」
まあ、
因みに、ここまで来る間に何回か魔物に襲われたが、全てイリスがひと睨みして爆散させていた。
「それにしても、結構歩いたと思うんだけど、余り疲れていないな。流石にお腹はすいたけどね。」
俺がそう言うと、イリスが「ムフー」という顔をしてきた。
「それはそうよ。旦那様には『
「それに、戦闘力も上がっていて、その辺の魔王程度だったら瞬殺できるしね。」
なにそれ、チート能力じゃないですか!?流石は
「それじゃあ、今から『家』を用意するから、ちょっと待っててね。」
と言ったかと思ったら、徐に腕を突き出すと周りの木がまるで生き物のようにうねうね動き出し、あっという間に『家』が出来てしまった。
「・・・こんなものかな?さあ、入りましょう。」
俺が口を開けて呆けていると、イリスがそう言って俺の手を引いてきた。
「ア、ハイ。」
そうして、俺たちはイリスが「造った」家に入った。
それにしても、「ログハウス」ではなく「
中に入ると、向かって右には風呂場とトイレ、真ん中には
俺がまた呆けていると、イリスはいそいそと服を脱ぎだし、俺の手を引いてきた。
「ほらほら、旦那様も脱いで脱いで♪肉体的には疲れないけど、精神的には疲れているから一緒にお風呂に入ってゆったりしましょう。」
そう言うと、あっという間に服を脱がされて、浴槽に連れて行かれた。
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明けて翌日。結局あの後風呂場で一回、風呂から上がって3回やりました、はい。
何だか、盛りの付いた獣だな。実際そうだけど。
「それじゃあ、片付けるわね。」
やたら肌がつやつやしているイリスが、外に出てそう言いながら、家を作るときと同じく腕を突き出すと、家がぐにょぐにょと動き出し、なんと元の木の状態に戻ったのだ。
「仮の家だったから、ちゃんと元に戻しておかないとね。」
と言って、俺の方を振り向いてウィンクした。
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それから3日、俺たちはようやく森の中ほどにある川にたどり着いた。
「ようやく中間地点か。イリスが言った通り大きな川だな。向こう岸が見えないや。」
「そうね。肉体的には疲れていないけど、同じ景色ばっかりだったから飽きてきていた所だったのよね~。」
はぁ、とため息をついて、イリスがそんなことを言ってきた。
「それじゃあ、今日のところはここまでにするか。かなり川幅が広いから、渡る方法を考えないといけないしな。」
俺がそう言うと、イリスも頷いた。
「そうね。まあ、向こう岸に渡るくらいなら私の『空間転移術』で済むからいいとして、川を眺めながらまったりするのもいいわね。」
渡る方法があっさり解決したことで、俺たちは川辺に仮設住宅を建てて、その夜は窓から川を眺めながらまったりしながらしっぽりとした。
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次の日、イリスの提案通り瞬間移動で対岸に着くと、そこには一人の少女が倒れていた。
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