第15話:神と神
・・・「私と同じ」?
え~っと、まず「女性」なので同じなのはわかる。種族としては、イリスは「見た目」エルフ(正確には「ハイエルフ」)だけど、
う~ん、そんなことは見ればわかるから敢えてイリスが言うのも変だしな~。
後は...、「中身が神様」ということかな?
・・・ん?という事は...??
俺がある結論に達したとき、察したようにイリスがこちらを向いて口を開いた。
「そう、旦那様の予想通り、この子も私と同じ『神』なの。かなり『神力』が減っているから、私の事も気が付かなかったみたいね。」
やっぱりこの子も「神様」だったのか。イリスと雰囲気が違った気がしたのは、さっき言ってた「神力」とか言うのが減っていたからなのかもしれない。
「でも、なんでその『神様』がこんなところにいるんだろう?『亜人の所に行く』とか言っていたみたいだけど、それに関係するのかな?」
俺が思っていた疑問をイリスに聞いてみると、彼女は困ったような顔をした。
「この子の『能力』がどの程度なのか分からないから何とも言えないわね。神にも『位』があって、それによって持っている能力が違うからね。」
「あと、この子が言ったことが本当かどうかは分からないから、文面通りに捉えない方がいいわよ。」
成程、確かにそうだ。この子が「神様」と分かったときに、その辺の可能性を排除していたみたいだ。
「それより、この子の『神力』が減っているのが気になるわね...。そうだ、ちょっと『天界』に行って聞いてくるから、旦那様はこの子を見ててくれる?」
「え?それはいいけど...。」
「大丈夫、すぐに戻ってくるから。じゃ、お願いね♡」
イリスはそう言うと、「何か」が抜けた感じがして、動かなくなった。
それより、さっき「神力が減っているのが気になる」って言っていたけど、どういう事なんだろう?
「神力」と言っていたから、「神様の力」だと思うけど、何かにその「神力」を使ったから減っているんだろうけど、「何に使ったか」が気になるのかな?
ところで、「神力」ってどうやったら回復するんだろう。アイテムとかはなさそうだし、天照様がこの子を寝かせたという事は、寝れば回復するのかな?
そんなことを考えながら、ベッドに寝ているニタリを見ていると、「ただいま。」という声がしたのでイリスの方を見ると、先ほどまでの人形ではなく、いつもの彼女がいた。
「えっ、もう行ってきたの?まだ1分も経っていないけど。」
俺がそう聞くと、イリスは微笑みながら答えてくれた。
「天界と地上界では時間の流れが違うの。そういう事だから気にしないで。」
成程?まあ、天照様がそう言うのならそうなんだろうな。
そう言えば前にイリス《天照様》が言っていたっけ。確か「神は人と比べて時間経過がすごく遅い」だったかな?それも関係しているのかもしれない。
「それで、何か分かったの?」
俺がそう聞くと、何故かイリスは豊満な胸を張ってドヤ顔をした。
「もちろん!まあ、あの
・・・この世界の創造神を「
そんなことを思いながら、話の続きを聞いた。
「
「・・・という事は、この子はその『監視神』なの?というか、そもそも『監視神』って何?」
俺の疑問に、天照様は丁寧かつ簡潔に説明してくれた。
まず、神には大きく分けて4つの位があって、それぞれの役割は次の通り。
● まず「最上位神」。世界の理を司る存在で、「大神」と言われている。この世界の創造神や天照様が該当して、各世界に1人(神?)しかいない。
● 次は「上位神」と「中位神」。世界を管理している「管理神」と言われており、「最上位神」が創った世界の「存続と安定」を管理している。「上位神」が管理と地上への指示、「中位神」はそれのサポートをする。所謂「
● 最後に「下位神」。世界を監視する役目を担っており、「監視神」と言われている。その名の通り地上...というか地上の「知的生命体」を「監視」して、世界の「存続や安定」に支障をきたす恐れがある事案が発生したとき「管理神」に報告するのが役目だそうだ。
「成程、そうすると、
「ううん、下位神は人間とあまり変わらない容姿をしているのよ。大雑把に言うと『神力を持っている人間』って感じかな?」
俺の質問に、
何でも、下位神の役割である「監視」は地上で行う必要があるため、地上の知的生命体に酷似した姿をしているとのことだ。
「昔はエルフとかドワーフの姿をした下位神がいたらしいんだけど、人族ほど神への信仰心がないから自然消滅したみたいね。」
どうやら、下位神は神力を「信仰心」というもので補っているそうで、その為教会の巫女という職業に就いているのが都合がいいようだ。
因みに、中位神以上の神力は自然に回復するらしく、天照様のような最上位神になると使用後即全回復するみたいなので、実質無限らしい。
そんな説明を聞いているうちに、ニタリが目を覚ましたようだ。
「・・・ん、あれ...?私、どうしてベッドに寝ているんだろう?確か、教皇様の
そう言って、目だけを動かしていると、覗き込んでいる俺たちと目が合った。
「あ、貴方たちは...。!そうだ、私が国境の警備兵に拘束されそうな時に助けてくれた...?」
ニタリは、そう言うと体を起こそうとしたので、イリスがそれを止めた。
「無理して起きなくてもいいわよ。今のアンタは『神力』がほぼ無いんだから、動くのも辛いでしょ?」
イリスの言葉に、ニタリは驚愕の表情を浮かべた。
「な、何故『神力』の事を...。あなた方は一体...?」
「その前に、アンタの『神力』を回復してあげるわ。話はそれからね。」
イリスは、困惑しているニタリの胸に人差し指を置くと、指先が仄かに光りだす。
「あっ...、何、凄い、私の『神力』がみるみる回復していく...。」
大体10秒ほどでイリスが指を離すと、先ほど疲労困憊だったニタリの顔色がすっかり良くなり、体を起こして自身をあちこち確認している。
「さて、今のアンタなら私が誰か分かると思うけど?」
イリスの言葉にニトリが反応し、じっとイリスを見ていると、何か気が付いたようで慌てて姿勢を正して土下座してきた。
「そ、その膨大な『神力』、もしかしてあなた様は『
ニタリは頭を下げたまま大量の冷や汗をかきながら震えている。
「別に取って食おうとは思っていないから、そんなに緊張する必要はないわよ?」
いや、それは無理でしょ。会社で言えば下請けの新入社員が親グループ企業の総帥に
「す、すると、そちらの男性は大神様の
「・・・まあ、形式上はそうだけど、『だ・ん・な・さ・ま』よ?」
ニタリが俺の方を見てそんな風に言うと、何故かイリスが凄い圧を彼女に掛けながら答えた。
「!!!すすすすすす、すみませんでしたぁーーーーっ!!!!」
その圧を受けて、ニタリはベッドに頭がめり込むくらいに下げて思いっきり謝っていた。
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