モルト
「街中の至るところに監視カメラがあるね。」
俺はあたりを見渡していった
「人間ポイント制度を導入してるからだよ。」
チルは答えた
【人間ポイント制度】
人間に点数をつける仕組み
監視カメラで常に監視されている
SNSやインターネットでの発言や行動も全て監視され、国家独自の基準で点数が付けられる
その点数が高い人はよりよい国のサービスを受けられる
「あ~噂ではきいてたけど本当だったんだ。」
ニャ国にはない制度だけど有名な話ではあった
「面白いこと考えるよね。あたしたちのことも国の中枢には筒抜けだよ。」
チルは苦笑した
「それにしても酷い有様ですね。」
俺はハルの街を眺めていった
「ええ。酷いわ。」
チルは悲しそうな沈んだ声で頷いた
ナルゼンの全世界飛行機墜落テロによって高層ビルがいくつか墜落し主要な工業施設も破壊されていた
「プリン研究所は大丈夫かしらね。」
チルは心配そうに思案した
「大丈夫だといいけれど。」
俺は答えた
「あたしも行くわよ。」
チルは言った
「ついてきてくれるんですか?」
俺はきいた
「ええもちろんよ。2人の方が心強いでしょ?。」
チルは優しく微笑んだ
ネネコに乗ってプリン研究所まで移動した
「よかったプリン研究所は無事みたいね。」
チルは安堵した
【プリン大学】
チルル共和国屈指の名門大学
世界で1、2を争う強化人間手術の技術を持つプリン研究所を有している
生徒数 3万2109人
世界中から優秀な生徒と研究者、教授が集まる
敷地面積 3平方キロメートル
創立287年
「ようこそ。」
校門を潜ると背の3メートルくらいありそうな不気味な雰囲気の女が現れた
真っ赤で地面に着くほどの長い髪をしている
「誰ですか?」
チルは少し緊張し震えた声で質問した
「ふふふ。待っていましたよ。」
女は不気味な笑い声をあげた
得体の知れない感じを憶えて俺は身体中から寒気がするのを感じていた
「僕はモルト。プリン大学の創設者だよ。」
モルトは不敵な笑みを浮かべて静かにいった
プリン大学は287年前に創立されたとされている
創設者が生きているはずがない
どういうことだ一体―
というより此処はどこだ?
気が付くと俺達は薄暗い館の中にいた
殺風景な部屋の奥にモルトは突っ立ていた
天井が10メートルはある高い吹き抜けになっている
「ふへへへ。」
モルトは屈んで俺の顔に近づきジーと至近距離でみていた
何が面白いのか、不気味な笑みを浮かべ、声が部屋中に響いている
「やっぱり。君だあ。」
モルトは俺の顔を両手で包み込んで触った
「よく似てるね。僕の愛しきマキに。」
モルトは白目を剥いて薄暗く俯き加減に笑みを浮かべた
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