ネネコ
次の日の朝10時
俺とチルは基地から立つことになった
「食料とか準備しないとね。」
チルは車に食料と武器を積んでいる
「ちょっと、いいですか。」
俺はチルに耳打ちした
「みてください。」
俺はムゲンの箱とポーチを取り出した
中から家や車、武器を取り出す
小さな箱からミニチュアサイズのものが出て来て外に出しきると元のサイズになるのだ
「は?」
チルは衝撃を受けてフリーズしてしまった
「頭が追いつかない。なんだこれ?」
チルはポカンと口を開いて目を丸にしていた
「両親の遺産の1つで、物を無限にしまっておけるっぽいです。」
俺は説明した
「あ~、まさかとは思ってたけど君、伝説の探検家ジルとマキのご子息か。」
チルは目を輝かせていた
「うん。」
俺は首を縦に振った
「ふふ。よかった、君だったら力になってくれそうだ。」
チルは嬉しそうにしていた
「遺産を狙って俺を殺そうとしませんか?」
俺はチルの反応を伺っていた
「そんなことしないよ。」
チルは即答した
「よかった。」
俺はチルの挙動から大丈夫そうだと思って胸を撫でおろした
「あたしの父も地球人の探検家だった。水星じゃ有名な人だよ。」
チルは遠い昔を懐かしむように目を細めた
「ワープで行けるといいんだけれどね。あれは技術的に問題がありすぎる。」
チルは車に凭れて窓から中を覗いた
「生存確率が低いんだよね。」
俺は確認した
「ええ。特に地球のは危険すぎる。強化人間でもね。」
チルは答えた
「この車はユーリー団の開発したものですか?」
俺はチルの凭れかかっている車を指さしていった
「ええ。ユーリー工業の技術を集めて作ったトランスフォーム車、ネネコよ。」
チルはネネコについている液晶画面に指をかざした
「ネネコ、ドアを開いて。」
チルは命令した
「はい。ドアを開いたよ。」
ネネコからかわいいロリ声がきこえた
「ネネコには人工知能が搭載されていてね。こうやって喋れるのよ、カメラから地形をみて自動で運転もしてくれるわ。衛星からのマップ情報とか色んな情報をネットから取って来てきて最適な運転が出来るように努めてくれるのよ。」
チルは説明した
「ネネコ、猫型になって。」
チルは指示を出した
「わかったよ。」
ネネコは返事をして猫型になった
猫ちゃん姿だ
足が4本ついていて4足歩行できる
車輪では移動できないような道とかもこれだと移動できそうだ
【ネネコ】
トランスフォーマ車
4つの姿に変形できる
・四輪車
・猫
・機械美少女
・小型航空機
6人乗り
人工知能が搭載されていて話せる
自動で運転することも出来る
その他に武器としてアサルトライフル、機関銃、散弾銃、狙撃銃、拳銃、煙玉、閃光玉
爆音玉
食料を2週間分ほどを積んだ
「ここからルー大陸沿岸部都市ニャルハまで一般道路で14時間、高速道路を使えば8時間ほどで行けるけれど、戦争中だから迂回しつつ行きましょう。」
チルは提案した
「そうだね。」
俺は同意した
ネネコに乗って山と川を渡り、洞窟を通り、移動する
「この先はマズいわね。亜人削除の会の会員が陣取ってるわ。こんな山の中にまでいるなんて―。」
チルはネネコの中からモニターとレーダーをみて面倒くさそうに黒目を横にやった
「多分、向こうもこちらに気が付いてるね。」
俺は様子を伺いつつ答えた
すぐにでも奇襲を仕掛けて殲滅しよう
長年の勘だ
リアリアもカヨさんの催眠も今はない
俺自身、命を狙われ続けてきた
自身を守るために殺しをすることは何度もあった
ここは街中ではない
殺れる
「奇襲を仕掛けます。ついてきてください。」
俺はネネコから飛び降りて、ムゲンポーチからスナイパーライフルを取り出し、近くにいる亜人削除の会の会員たちの中のリーダー格らしき男を撃った
よし、命中だ
ヘッドショットを決め頭から血が噴き出す
「よし、距離を詰めて爆破する。」
俺は手榴弾を両手に取って投げた
バーンという爆発音と共に、亜人削除の会の会員たち陣取っていた小さな基地は爆発し燃え盛っている
まだだ
まだ生き残りがいる
始末しないとやられる
「やめて!。」
チルの叫び声がきこえる
「やめて?」
俺はききかえした
「命を奪うのはやめて。」
チルは悲しそうにしている
「殺らなきゃ、こっちが殺られるよ。」
俺は返答した
「かわいそう。その歳で人殺しなんてあんまりだよ。」
チルは俺を抱きしめた
「大丈夫だから。」
いい匂いがした
優しい匂い
「あたしだったら殺さずに無力化出来る。」
チルはアサルトライフルを持って、残り部隊を撃っていった
同じ人殺しじゃないか
俺はそう思った
「殺してない。みて。息はある。」
チルは亜人削除の会の会員の近くによっていった
「本当だ。」
呼吸と心音を確かめて生存を確認して呟いた
「面白い銃でしょ。速度は申し分ないのに、致命傷にはならない銃弾を使ってる。ユーリー団の技術屋に作って貰ったんだ。」
チルは胸を張って誇らしそうにいった
殺せばいいのにと俺は心の中で思った
「あたしは殺しが好きじゃないんだ。だから殺さずに無力化出来る道具しか使わない。」
チルは沈んだ声で打ち明けた
「キア君はどう思う?」
チルはきいた
「俺は殺した方がいいと思う。あとでまた命を狙われるかも知れないし、ちゃんと始末しないと面倒になる。」
俺は正直に答えた
「そう―。あたしはやっぱバカだから誰とも殺し合いなんかしたくないし、自分を殺そうとした人さえ許してしまう。誰も死なせず戦争を終わらせたい、もうたくさん死んでるけど、犠牲者は増やしたくないんだ。」
チルは語った
素敵な考えだとは思ったが、理想論だとも思った
「わかってくれなくてもいいよ。けどお願い、あたしの前では人を殺さないで。」
チルは頼み込んだ
「わかったよ。」
その澄んだ瞳をみていると抵抗することも出来なくて俺はいった
「ありがとう。」
チルは安堵した声でいった
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