キア
キア
俺はキア
両親は世界でも屈指の探検家だったらしい
俺は宇宙船の中で産まれたのだという
2人は一度、地球に戻って母の姉に預けた後、すぐに旅立ったのだときいている
その3年後、両親は行方不明になった
公には死亡したことになっている
本当のところはわからない
人類に多大な貢献をした
宇宙の地図を広げ、未知の生命を記録し、文明を地球に持ち帰ったのだ
莫大な遺産が残った
俺は3歳にして、先進国が30年生産活動するのと同等の金額を手に入れてしまった
命を狙われる日々が続いた
母の姉カヨさんは、工学博士で、国の研究機関に働いていた
忙しい人だった
だから、カヨさんは使用人を雇っていた
俺は使用人の人によく面倒をみてもらっていた
使用人は、護衛も兼ねていた
命が狙われているのだ
11人雇っていた
その内の、ミカンという使用人が好きだった
親代わりみたいなものだった
けれど、殺された
俺を守るために銃で撃たれた
家が焼かれたこともあった
カヨさんの働いている研究施設が襲撃されたこともあった
研究施設は爆破され燃え盛り、優秀な研究者が建物の中で缶詰めにされて、全員死んだ
偶然なのか、わからないが、俺とカヨさんだけは生き残った
「どうして、あたしと、キアだけが生き残るのよ。」
カヨさんは、俺の両親を疫病神だといって、呪った
俺を気味悪がっていた
俺が8歳になる頃、カヨさんは婚約した
お腹の中に子供もいた
けれど、婚約者は、殺された
カヨさんは、もぬけの殻のようになって、精神崩壊しかけたが、お腹の中の子だけは、と必死に生きようとし気を保った
もう使用人は累計して500人ほど雇って来たが、全員死んだ
無事出産した
この世のものとは思えないほど、美しい愛らしく神々しい赤子だった
リアと名付けられた
リアは特異な性質を持っていた
みつめた者を魅了し、意の儘に操れる
リアにみつめられたものは、誰しもが虜となり、思考が支配され、リアの命令しかきけなくなるのだ
未だ、物心もついていない赤ん坊のリアが、殺し屋をじっとみつめた時、殺し屋が銃を床に落とし、赤ん坊のように泣きじゃくって癇癪を起した
思考のはっきりしていないリアの心の有り様が反映されたのであろう
リアにみつめられ、窓から飛び降りて、死んだものもいた
リアにみつめられ、ナイフで自分の喉を一刺しして死んだものもいた
リアにみつめられた、殺し屋が、銃を乱発させ、辺りの人が皆殺しにされたこともあった
無邪気だったリアは、自らの能力に気づく事もなく、無意識で好奇心の儘に、人を魅了し、操ってしまっていたのだ
いつしか、リアの不気味で悍ましい能力はリアリアと呼ばれていた
誰もがリアを気味悪がり、おそれた
しかし、特殊な能力にはリスクが憑くものだ
リアは、ある日突然、意識を失った
心臓も止まっていた
息もなかった
カヨさんは、嘆き、正気を失った
「リア、リア、あたしのかわいいリア。どうか目を覚まして。」
カヨさんはリアにキスをした
禁断の熱いベロチューだった
2人は美しかった
親子を超えた、恋愛なのかも知れなかった
俺は邪魔でしかなかった
2人の間に俺は必要ないのだ
リアは起きなかった
1週間ほどしてリアは目を覚ました
リアはリアリアの代償として、リアリアを99回使うと1週間身動きが取れなくなることがわかった
無防備になるのだ
1週間もの間
カヨさんは、そんな奇妙で悍ましいリアを可愛がった
誰よりも愛していた
リアは私たちを守ってくれる
リアがいないと、もう誰も、俺たちの護衛をしたがる人なんていなくなっていた
いたとしても、報酬目当てで、いつ裏切られるかわからない恐怖があるのだ
カヨさんはリアを使って、護衛をリアリアにしたのだ
リアは、利口だった
物心ついた時には、自分が置かれている状況を理解していた
3歳ごろには、言葉が理解出来た
護衛をリアリアで操作することも出来た
護衛は1000人ほどリアリアにされて操られたが、全員死んだ
俺はただ祈った
どうか、カヨさんとリアに、これ以上の不幸が訪れませんようにと
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