諦めていた望み

 私はチルとキアをみていて忘れていたものを思い出した

 それは失われていた青春であの時諦めた私だった

 

 私に青春なんてなかった

 私にトキメキなんかなかった

 

 あれから2億年経っているが、私は月がどうなったのかが知りたかった


 トトとレレはもう流石に生きてはいないだろう 

 あいつらのことを思い浮かべただけで未だに腹が立つ

 

 2人の話によると、私は5億年前に人類から飛ばされたイブの種子を元に作られたクローンらしい

 

 地球が滅びる時に生命の種子が入った箱が月へ飛ばされる

 

 おそらくこれまでに何度も地球生命は滅びているのであろう

 その度に、アダムとイブのコピーが月へ贈られている

 

 だったら、オリジナルのアダムとイブは何処にいるんだ

 オリジナルの生命は何処にいるんだ

 

 今地球に住んでいる生命の大半はコピー品から産まれた生命なのだ

 私が産み出したのだから

 2億年前に孕まされた私の子らの子孫が現存の地球生命なのだ

 

 だとしたら過去にも私と同じような境遇で、孕まされ地球生命を産んだものが何人もいるのではないか 

 

 そう考えると、私の知らない過去を知りたくなった

 

 今の人生をそれなりに楽しんで生きていければいいと思っていた

 地球も楽しいし、もう辛い事は懲り懲りだし、楽して生きていければいいと思っていた

 

 チルとキアをみていると、私も冒険してみたくなってしまった

 

 この出会いは運命だったのだと思った

 2人とだったら、楽しく宇宙が冒険できそうな気がしたのだ

 もう、月になんか行きたくないと思ってたけど此の儘じゃダメだ

 私は、月へ行く

 そして宇宙中を探検してアダムとイブを見付け出す

 何も知らずに生きていくのは厭なんだ

 

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