第65話 杖は?

美しい弓の正体は、天界樹の枝と、グリ様のしっぽ!

そんな物凄いものを、その辺にあったペンでも渡すようにヒョイっと渡されてしまったエルフさんたち。

面白···じゃなく、気の毒な位ピシッと固まってしまった。


〖おやまあ、そんなに驚きますか?精霊樹の杖より、少々上という位だと思うのですが?〗

工芸神様、恐らくそれも一般の物とじゃ、比べる対象にはならないかと···あら?


『そういえば、魔法と言えば杖なイメージだけれど、杖はないのかしら?』

昔から魔法使いと言えば杖と箒よね?まあ、エルフさんに箒はないと思うけど。あら?聖域の孫たちは空飛ぶ箒や絨毯、畳にスケボーまであったわね···


〖そうですね···レイ、杖は何をする為のものだと思いますか?〗にこ

あらあらまあまあ、私の質問に、工芸神様から逆に意味深な質問と笑顔が帰ってきちゃったわね


『何のため?えっと、触媒?魔力を増幅させるため?とか?』

そういえば何でかしら?と、考えたけど、この位しか思いつかないわね。だってアニメやマンガ、小説の中の常識みたいな感じだったし···


〖ええ。概ね正解ですよ。杖を媒介にし、魔力を集め、魔法を増幅し発動する。でも、それは杖である必要はありません。現にレイ、貴方は杖など使っていないでしょう?〗

『あ、そうでした』

使ってなかったわ。


〖それに、杖は武器としては不十分ですからね。長杖でしたら攻撃を受け止めたり、殴ったりは出来そうですが、剣のように切りつけることも出来ない〗

『確かに』

鈍器の感覚ね。


〖ならば、どうしたら良いと思いますか?〗


『どうしたら···?』

杖がないなら両手が空くわよね?まあ、山道なんかで長杖をストック代わりにするならいいかもしれないけど?あと気分盛り上げるために突き上げたりとか?まあ、それはいらないとして···

魔力の増幅、あと、コントロールなんかは、イメージ次第···

〖因みに、普通の方はレイや源のようにイメージだけで大魔法を使うのは難しいですよ。普通はね?ふふ···〗

···はい。却下なんですね。なら、代わりになる物に付与しちゃえば···例えば

『アクセサリーとか、服とか、武器とか?』


〖ご名答です〗にっこり

工芸神様が笑顔で答えられたわ。


『なるほど、確かにそうすれば杖はいらないわね。武器···あら?十手って、杖と同じくらいの長さじゃないかしら?』


〖ジッテ?〗こてん


『あ、いえ、昔のね、そういう武器があったのよ。まあ、それはおいおいね···』

しまった!また質問攻めにされちゃうわ。神様たち、私たちの知識に貪欲なところあるのよね。


『えっと、武器やアクセサリー、服なんかでって話しよね?特別な素材で作ったり、魔石を使ったり?』

話を何とか戻さないと~


〖ふっ。そうですね、あとは鎧などの装備なども同じことが出来ますね〗

あらあらまあまあ、後で聞き出すってお顔してるわ。忘れてくださいな。


『鎧?あの重そうなやつ?身動き取れなくなるんじゃ···』

ガシャンガシャンと


〖それは大丈夫ですよ。皮で作りますので、軽くて柔らかいものになります。性能だってフルプレートにも負けませんよ。何せ天界の素材で私と天界樹たちで作るのですから〗にっこり


『あ、あはは。ありがとうございます』

ありがたいけど、それもエルフさんたち気絶案件じゃないかしら?


〖まあ、ギルドで新人があまりに良い装備をしていると目をつけられるそうですから、良いカモフラージュになるのではないでしょうか?〗

『なるほどね』

そういえば小説なんかだと、手に入りやすい鞣し革の装備から入ることが多いんだったかしら?

武神様や鍛冶神様たちの立派な鎧を見てたから忘れてたわ。


〖いや、俺達も普段からフル装備でいる訳じゃないぞ〗

それもそうね。印象の問題よね。


〖まあ、そんな訳で、今の所、杖は考えていません。作るとしたら、先程レイが仰っていたジッテなるものの詳細を聞いてからですね〗ニヤリ


『あ、あはは』

忘れてくれはしないのね···やっぱり失敗したわぁ


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

遅くなってすみません。お読みいただきありがとうございます。

十手って、ずっと『じゅって』だと思ってたんですけど『じって』なんですね?知らなかった···

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