第21話 魔神様の援護射撃

そんな訳で、私を下ろすところがないと勝ち誇ったような天界樹様。


〖でも、天界樹の心配は分かるけどね?実際問題、実戦を体験するのは必要だと思うのよ〗

『魔神様っ』

〖そうですね。聖域の愛し子や、ちびっこたちも、先日魔物と戦いましたし、ダンジョンも体験しましたしね〗

〖くすくす。ちょっと特別仕様なダンジョンだけどねぇ。あら、それならダンジョンでもいいんじゃない?〗

『一人でかえ?』ぐすっ


神様たちは、私が冒険に出ることにほぼ賛成してくれてるようね。味方がいなくなった天界樹様がまたまた涙目に⋯う~ん、どうしたらいいかしら?


〖あ、ならよ、この間保護したエルフの巫女家族はどうだ?あいつらなら地上の常識も知ってるんじゃないか?〗

『あっ』

そうよね?と、思ったら


『あの家族とて、俗世から隠れてひっそりと暮らしておったのじゃろ?我らと大差ないのではないかえ?』ぐすっ


〖う~ん⋯〗

『たしかに⋯』


『それに、共に行くとなれば、それなりに強くなくてはならぬじゃろ?彼等の実力はそれほどでもないのであろ?』


〖ぐぬぬ⋯〗

『あう⋯』

天界樹様がどんどん正論をぶつけてくるわ⋯どうしましょ?


〖それなら、ドワーフの里に行ってみたらどうかしら?〗

え?ドワーフの里?


『なっ』ぱくぱく

あらあら、思わぬところから上がった提案に天界樹様のお口が⋯


〖まあ、お母様!素晴らしい案ですわ!聖域のくまさんとドワーフさん達は大の仲良しですものね!〗

〖ドワーフの里にはその子供たちもいるし、知らない仲でもないし。彼らなら地上のことも知っているし、実力もある〗

魔神様と、娘の女神様が手を取り合ってキャッキャウフフ⋯じゃなくて、魔神様はクールな笑みを保ってるわね。


〖ふ~ん、いいんじゃねぇか?聖域のドワーフたちには及ばないが、子供たちも中々の実力者だって聞いてるぞ。だが、実質、ドワーフの里をまとめてるのもそいつらだとも聞いてるからな、冒険者となるとどうかな〗

〖彼らが認める実力者なら良いのでは?〗


『ぐ、ぐぬぬ⋯』

鍛治神様、工芸神様、ナイスな提案よ!天界樹様が折れかかってるわ!


『そうですね。それに、エルフの巫女たちの案も私は中々良いのではないかと思いますよ。彼女達の魔力は中々高いですからね』

主神様の補佐さんも前向きに検討してくれてるわ!何と頼もしい!


〖そうね。貴方も下に下りるまで、もう少し鍛えてから行くでしょう?装備だって揃えなきゃいけないだろうし〗


『え?そ、そうですね。出来れば魔法ももう少し』

魔神様が私に声をかけてくださったわ。


〖そうよね。じゃあ、こうしたらどうかしら?私がエルフの巫女姉妹と貴方たちの魔法の底上げをするわ。武神と、それから医神も手伝ってくれるわね?〗

〖ああ。任せろ〗

〖そうですね。多少なりとも治癒魔法は使えないといけませんからね。時間を見つけて戻ってきますよ〗

『あ、ありがとうございます』

医神様は今、聖域で孫たちを見て下さっているから、孫たちの眠っている時などに来て下さることになった。


〖工芸神と鍛治神は装備を整えてあげて〗

〖引き受けましょう〗

〖おう!俺は聖域でドワーフ達と用意するか!あいつら、中々見所あるしな!お前に教わった暗器も増やしてやるぜ〗ニヤリ

『あ、ありがとうございます』

実は鍛治神様とは薙刀の話から、刀や暗器の話しと盛り上がって、すでに色々作って貰っているのよね。うふふ⋯手裏剣や苦無、憧れてたのよ!


〖それから天界樹、貴方も装備をお願いね〗

『なっ!妾はっ』

〖いい加減、認めてあげなさい。それに、これは彼女が生き抜くために必要なことだわ。貴方も本当は分かってるのでしょう?〗

『うっ⋯』

天界樹様⋯


〖天界樹、貴方が作ってくれた装備なら最強でしょ。安全に怪我なくいて欲しいと思うなら⋯〗

『⋯っ、分かった!分かった!妾が作る!全員分、冒険服から、お出かけ着から、部屋着から、下着まで作ってやるわ!』

『え、ええ?』

し、下着まで?


〖言ったわね?〗ニヤリ

『⋯あ、し、しまったのじゃ⋯』ヒク

〖言ったからには、ちゃんとやってもらうわよ〗

『わ、分かっておるわ』ううっ

天界樹様⋯

『ありがとうございます』


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

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お気づきかもしれませんが、おばあちゃんは時代劇好きの暗器マニアです。

『あらあらまあまあ、暗器、美しいわ』すりすり

『麗しき乙女が武器に頬擦りするのはいかがかと思うのじゃが⋯』

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