第71話 魔神様の特訓

主神様達の相棒、神獣の王の獅子様ご家族にご挨拶も済み、後ろ髪を引かれながらもお別れをし⋯

〖違うわよね〗

〖ええ、お母様〗

そんなことは⋯



『『みゃあ~ん(れい~またきてね~)』』ばいばい

『ええ、必ず来るわ~』えぐえぐ

〖ほら、行くわよ〗ずるずる

〖未練がましいですよ〗ずるずる

『あああ~子獅子ちゃんたち~』だばー

『『みゃあ~(やくしょくにゃよ~)』』

〖レイさん、気持ちは分かるけどそろそろ家族だけの時間にしてあげようね〗

『あ~ん、子獅子ちゃ~ん』じたばた

『『みゃあ~ん(ばいば~い)』』

パタンっ


実際は、こうして女神様二人に首根っこ掴まれて引きずられながら、強制的に退場させられたレイさん。

『ああ、癒しが⋯』しくしく

〖レイ、子獅子はお昼寝の時間よ〗

『あらあらまあまあ、それなら仕方ないわね』けろり

〖〖え?〗〗ずるり

〖や、やけにあっさりね?〗

『あらだって、小さい子のお昼寝は大事だもの』

当然よね。

〖そ、そうね(あんなに駄々こねてたのに)〗

〖その通りですね(レイが分からないです)〗


レイさんは健康や成長に関することならあっさり納得します。


〖ま、まあ、可愛い子獅子ちゃん達に癒されたし、一応、獅子に協力も頼めたしね。あとは工芸神に姿を変える装備とか、魔道具とか色々作ってもらって、それから〗

〖武神とばかり遊んでないで魔法の練習ももっとしないとね〗

〖聖域にいる鍛治神が魔力を通して使う武器なども用意してるはずですしね〗

〖そうよ。その為にもまずは魔法を鍛えないとね。うふふ⋯〗ぽきっぽきっ

〖まあ、お母様ったらやる気満々ですね。私もお手伝いいたしますね〗にこっ

〖わあ~良かったね。レイさん。めちゃくちゃ強くなれるよ。そうだ!エルフさんたちも呼んでこないとね~♪あ、天界樹ちゃんはどうしようか?精霊魔法も練習しなきゃだよね!〗

〖私のしごき⋯こほん。鍛錬の次でいいんじゃない?〗

〖そっかぁ~でも、声だけはかけないとね!拗ねちゃうもんね!〗

〖それがいいと思いますわ!お父様。楽しみは分かち合わないと!〗

〖だよね♪〗

楽しそうなのにどこか物騒な神様家族の会話⋯


『あ、あらあらまあまあ?ちょ、ちょっと、あの』

なんか話しがどんど進んでるけど?それに魔神様ってば〖しごき〗って言ったわよね?指鳴らしてたわよね?言い直せてないわよね?特訓は喜んで受けるけど、扱きはどうかと思うわよ?


〖うふふ⋯それじゃ始めましょうか〗パキッポキッ

〖頑張りましょうね?レイ。回復は任せてくださいね!いくらでもかけてあげますから〗にっこり

〖良かったね!彼女の回復魔法なら死にかけてもすぐ治してくれるよ~安心安全だね~♪〗にこにこ

〖はい!お任せ下さい〗にっこり


『あ、あらあらまあまあ?』

そのお話のどこに安心安全な要素があるのかしら?全く無いわよね!?


〖ふふふ。さあ、レイ。私たちが体の表面に常に魔力の膜を張っているのは知っているわね?〗にっ

『え?ええ。知っているわ』

魔神様のは膜が見えないほど薄いけど、常に魔力の膜を張ることにより、瞬時に魔法を放ったり、何かあるといち早く察したり、防御できたり、いいこと尽くしなのよね?


〖ふふ。そうよ?これを早く無意識で常時発動できるようにして欲しいのよ。たとえ寝ていてもね〗

『ね、寝てても⋯それは随分ハードルが高いわね』ヒク

それで?どうしようと言うのかしら?


〖だからね?まずは防御、シールドから強化してもらおうと思って♪ほら、まずは自分の身を守れてこそでしょ?〗にっこり

『そ、そうね?』ヒクヒク

なんでそんなに良い笑顔なのかしら?


〖だ・か・ら♪今から私の攻撃を耐えてみなさい。ああ、避けられるなら避けてもいいわよ〗にぃ~っこり


『え?』

なんですって?


〖ほら、行くわよ~。安心しなさい。今日は全部初期魔法にしてあげるわ♪魔法の名前も特別に言ってあ・げ・る♪〗うふふ キュイーン


『ちょ、ちょっと待っ』

〖待たない♪ファイアーボール〗ひゅんひゅんひゅんっ


『あわわわっどこが初期魔法よーっシールドっ!』ドガガガガッ

慌ててシールドを張ってなんとか直撃は免れたレイさん。


〖ダメじゃない。レイ油断しちゃ。もっと速く反応しないと♪それにそんな適当に張ったシールドなんて⋯ファイアーランス〗ひゅん


パリンっ

『しまっ⋯』ドカーンっ

『キャーッ』ゴロゴロゴロっ

シールドが割れた!吹き飛ばされるレイさん


〖簡単に割れちゃうわよ〗にぃ


『は、はい』

魔神様、随分と楽しそうね


〖もっと瞬時に魔力を練りなさい。そして無駄を捨てなさい。密度を濃く、穴が無いように。魔法はどこから来るか分からないわよ?グランドスピア〗ジャキンッ


『わっ』ザッ

地面から槍が!


〖偉いわ。よく避けたわね。でもこれはどうかしら?アースシェイク〗ぐらぐら


『わっわっ揺れる』

体制が整えられない!


〖うふふ。これはどうかしら?流れるプール♪〗ぐるぐるぐる


『ええ?きゃ、きゃあああ~』ぐるぐるぐる

目が回るわ~この魔法って~


〖うふふ♪そうよ!愛し子が畑仕事で編み出した魔法ね♪一度実践で使って見たかったのよね〗バチンッ


『そ、そんな』ぐるぐるぐる~

私に今使わなくても~


〖あら、自分の孫の編み出した魔法よ?あなた以上に相応しい人はいないと思うけど?〗


『そ、そんなことは~』ぐるぐるぐる

ないと思うわ~⋯無いわよね~?

と、とにかく抜け出さないと。目が回る~気を抜くと口や目に土が入る~それだけは嫌よぉ


〖そうそうちゃんとそうやって膜を作れば息も吸えるわよ〗


『はっ!確かに!』

これがホントの戦いだったら窒息死案件だわ!やっぱり何とかしないと


〖さぁ、どうする?レイ〗にやにや

どう出るかしらね?



〖意地悪いですわね、お母様〗

〖まあまあ、魔神ちゃんが楽しそうでなによりだよ〗

『主神様、そうじゃないと思うのは妾だけかのぉ?』

『いいや。天界樹だけじゃないな』

いつの間にやら呼ばれた天界樹様や、面白そうだとやって来た料理長さんたちも呆れている。

『ですが、今の状態はシールドで自分の周りに空間を作るのが精一杯。あそこからどうやって抜け出すのでしょうか?』

『そうですね。このままでは力尽きてしまうのでは?』

『『そんなっレイさんっ』』

ここで心配しているのはエルフさんたちだけ?



『う~ん』

どうしようかしら?このままだと埒が明かないわ。どうにかして出ないと。シールドは絶対に解けないし、なにか捕まるものでもあれば⋯何かないかしら?


周りを探すと⋯

『あっ』

あれを使えば⋯なら

『『緑の妖精さん、力を貸して!』』

念話で妖精さんたちにお願いをして

『『『『いいよ~』』』』

『『ありがとう。それじゃ⋯』』こそこそ

『『『『了解~行っくよ~せぇのっえいっ』』』』

来たわ!周りに生えていた蔦が一気に成長して私の方に!手の周りのシールドをできるだけ体に這わせて手で掴めるようにして、急いで蔦を掴んで

『『今よっ』』

『がってんしょうち!』

『皆、引けーっ』

『『『『どっこいしょーっ』』』』

蔦に思い切り引き抜いてもらった。


『『『『釣れたどーっ』』』』

『あらあらまあまあ~』ドーンっ


〖お見事♪〗


蔦に引っ張られて宙を舞い⋯気がついたら地面の上で寝ていた。


☆。.:*・゜☆。.:*・゜


お読みいただきありがとうございます。遅くなってすみません。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る