第81話 これからの計画?

さぁあああ~っと、爽やかな風が緑を撫でていく。


『あらあらまあまあ~♪すごいわぁ。豊作ねぇ。うふふふ』


『『『『あは、あははは⋯⋯』』』』


見渡す限りふさふさの緑。その中をせっせっと働く出来るちびっこゴーレムさんたち。そして、小さな白とオレンジの物体。ぷっくりまん丸な白い何かにはとっても短い手と足が⋯⋯

ぷくっと丸みを帯びた逆三角のオレンジの何かにも、どこかセクシーなあんよが⋯⋯モンローウォーク?


『『『『あは、あはは⋯⋯』』』』

大人のエルフさんたち、壊れた⋯


『気の毒にのぉ⋯⋯まあ、レイじゃからのぉ』はぁ⋯

〖レイさんだからねぇ⋯あははぁ〗

こちらはいつものことと諦めモード


『ええと、皆さん?どうなさったのかしら?ほら、エルフさんたちの畑もしっかり育ってるわよ?』

収穫しなくていいのかしら?ちなみに私の畑の方はもう何故か二度ほど収穫終わったのよね。


『あ、はい⋯⋯』

『そうですね⋯⋯』

『これも充分おかしいことなんですが⋯⋯』

『だめよ⋯⋯比べる基準が違いすぎる』


大人のエルフさんたち、頑張って。でも


『姉様っ!これおいしい!』

『うん!マンドラゴラさんが選んでくれたキャロとっても甘いね!』

『『ありがとう!』』

『⋯⋯』くねくね

マンドラゴラが苦手だったエルフ姉妹はかわいいマンドラゴラさんとすっかり仲良し!苦手なキャロもこれならおいしいよ。と、渡されてすっかり克服?お礼を言われたマンドラゴラさんがくねくねして照れてます。思いの外、感情豊か?


『やはり子供の方が順応力が高いのかのぉ?』

〖そうだねぇ。若いってすごいよねぇ〗

見た目は若い美男美女の天界樹様と主神様が言われてもすごい違和感⋯


『あらあらまあまあ、癒されるわねぇ。若いっていいわねぇ』にこにこ

ここにも違和感が⋯⋯


『父様、母様、このトウモコロシ?どうやってとればいいのかな?』

『こっちのトマトも美味しそう!』

『『引っこ抜けばいいのかな?』』


背の高い作物は初めてのエルフ姉妹、根菜みたいに引っこ抜く気みたいです。


『あらあらまあまあ、抜かなくていいのよ。こうやってポキッともげば大丈夫よ。やってみて。あ、それからトウモロコシね。モ・ロ・コ・シ』


レイさんがポキッと折ってみせた。続いて真っ赤に熟したトマトももいで渡してみせると


『『おおぉ~掘らない!楽ちん!楽しい♪』』ぽきぽきっ

『あらあらまあまぁ?そこ?』

野菜は掘らないと収穫出来ないものと思っていたのね。根菜はたしかに体に良いけれど、それだけじゃダメよ!食はバランスよくとらないと!これは、もっと色々なお野菜、それに果物を育てないと!

妙な責任感に目覚めたレイさん。なんかメラメラしてるけど⋯⋯


『レイよ。畑仕事にエルフたちの栄養管理に燃えるのも良いがの?其方、忘れておるのではないかえ?』

『え?』

何をかしら?天界樹様、握りつぶした扇、直されたのね。


『其方は修行し強くなり冒険者になるのであろう?畑作りが悪いとは言わぬが、本業は魔法に武術。そちらを忘れてはおらぬじゃろうな?』じと~

『え?あ、あらあらまあまぁ?忘れてなくてよ?ちゃんと修行もしていますわよ?おほほほほ?』

してるわよね?私、昨日も武神様をぶっ飛ばしたはずよね?

〖お前、絶対俺を敬ってないよな!?〗

あらあらまあまぁ?ここにいない方の声が聞こえたような?おほほほ。


〖天界樹ちゃんだって畑ノリノリだったのにね~〗にまにま

『こほん。主神様、それはそれ、これはこれじゃ』

〖そうだよね~〗にまにま

話の腰を折るでないわ


『まあ、たしかに妾も楽しくてついつい羽目を外してしまったことは認めるのじゃ』

〖あ、認めちゃうんだ~〗にやにや

だから、主神様、うるさいのじゃ

『じゃがのぉ、そろそろ期限を設けて行動に移すべきじゃと思うのじゃよ』


『期限⋯⋯』

『そうじゃ。まずは手始めにエルフたちの名付けじゃな。武神様と魔神様の判断も仰がねばならぬじゃろうが、早い内に聖域に降りて名を貰ってきた方が良いと思うのじゃよ』

『天界樹様、それは名づけをして直ぐに冒険に出るということ?』

『いや、まずはレイに常識を叩き込むのが先であろう』

『うぐっ』

痛いところを突かれてしまったわ⋯⋯

『まあ、先に名を貰いに行き、その時に聖域にいる鍛冶神様に武器を作って頂くのも有りではないかと思うのじゃが、主神様はいかが思われますかえ?』

主神様にもお伺いを立てねばの。⋯⋯後で拗ねられても面倒じゃからの。


〖何か今、裏の声が聞こえた!?〗

『気のせいであろ?』

鋭いのぉ。こんなところだけ


〖くすん。何かひどい~。うん。でも、僕も賛成かな。弓や防具はともかく、エルフちゃん達の剣やナイフは鍛冶神ちゃんに誂えてもらったら安心だよね。あちらにはドワーフさんたちもいるしね〗

『なるほど』

オーダーメードの武器。いいわね。やっぱり自分に合ったものを使わないとね。

〖武器を作るにも時間がかかるだろうから、その間、また天界に戻って修行してもいいしね。それに、レイさんに常識を教えてもらわないといけないしね〗

『うぐぐっ』

常識、また言われたわ。


『悔しかったら常識を早う身につけよ!』ビシィッ!

〖あはは、大変だねぇ、レイさん〗

『うぐぐぐ⋯⋯はい』

意地でも身につけてみせるわ!異世界の常識!

『ほどほどにの』

身につくかは分からぬしのぉ

〖頑張って~〗

常識が逃げていきそうだけどね~


天界樹様と主神様が何気にひどい。


〖さて、それじゃあ、どうしようか?今、行っちゃう?〗

『『『『え?』』』』

『『ふぇ?』』

遠巻きに話を聞いていたエルフさんたち急に話を振られてびっくり!ただでさえ話についていけてないのに⋯⋯


『主神様、妾から提案しておいてどうかとも思うがの、いくらなんでも急ではないかえ?』

〖そう?だってさ~誰が一緒に行くか大モメになると思わない?〗

『む⋯⋯それはそうじゃが、何も言わずに勝手にした後の方が恐ろしいのではないかえ?』ぶるっ

特に魔神様が⋯⋯

〖⋯⋯そうだね〗ぶるるっ

特に魔神ちゃんが⋯⋯


魔神様への皆さんの認識が⋯⋯


〖じゃあ、僕たちは戻って計画を立てようか~〗

なんとか僕が行けるようにしないとね~

『妾も参加するのじゃ。妾が発案者じゃからの』

何とかして妾が会いに行くのじゃ!

〖『あ、レイ(さん)は』〗

〖このままエルフさんたちと畑よろしくね〗

レイさんがいたら

『これは種じゃ。よろしくの』

暴れるじゃろうしの

〖じゃあね~〗

『後での』

シュンッ


『あ、ちょっとっ』

引き止める間もなく行ってしまったわね。仕方ない⋯⋯


『何だか、置いてけぼりにされてる気分だけど、続きやりましょうか』

種も預かったし⋯⋯

『『『『は、はい』』』』

『『うん。トウモロコシとトマト、収穫するね』』

『ええ。よろしくね。終わったら果物も植えましょう』

『『わ~い♪果物、楽しみ!』』にこにこ


なんだかよく分からないまま、畑仕事を再開するレイさんとエルフさんたち。エルフ姉妹だけは純粋に楽しんでいるようです。

『若いって素晴らしいわね~』しみじみ

『『『『はい』』』』


☆。.:*・゜☆。.:*・゜


お読み頂きありがとうございます。大変お待たせ致しまして申し訳ありません。やっと再開です。フォロー、いいね、感想もありがとうございます。

中々書けなくて、間が開きすぎて読み返したりしながら何とか書けました。

お休みしている間に、父のことがあったり、こちらの元の作品、レイさんの孫が主人公の『転生初日に~』が書籍化出版、されたりと色々ありました。お求め下さった方、ありがとうございます。巻末QRコードから番外編もお読み頂けますのでよろしくお願いします。

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